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勘違いおじさんの婚活日記  作者: 蒲池拓也
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おじさんの初めての就職

 10年前に初めて書いた物が出てきたので、修正&加筆をして投稿させてもらいました。

 当時は自分がおじさんになることなど想像できず、ましてや結婚なども考える年齢ではなかったこともあり、おじさんや結婚に対しての考えが浅いものでありました。

 ただ、自分も歳をとり周りも結婚している人たちが多くなってきたこともあり、もう一度この作品に向き合いました。

 よろしければ、目を通していただきアドバイスをいただけるとありがたいです。

「廣瀬さん、今年で四十四歳ですよね私の年齢知ってます? ちょうど半分なんですよ。そんな年下の女の子が、何もないオジサンと付き合うと思いますか? 迷惑なんですよ」

 同じコンビニのバイト仲間である、星野優の冷たい言葉に廣瀬は冷や汗を流し、狼狽える事しかできずにいた。 

 

 

 廣瀬樹は高校を卒業してからというもの、働くこともせずに実家暮らしを謳歌していたのだが、身内や世間の自身を見る目に耐え切れず四十四歳にして初めて働く事を決意したのだ。

 コンビニのバイトなら高校生でもやっているし、初めての仕事とはいえ自分でも十分に働けるだろうし、もしかしたら仕事が出来すぎてすぐにでも社員として働いて欲しいってことにもなるかもしれないな。

 初めて社会に出ることに胸を躍らせた廣瀬は、家から5駅離れたコンビニのバイト募集に応募することにした。5駅も離れていれば顔見知りと会うこともないし過去の自分を知る人もいない、初めて働くにはこれ以上にない働きやすい環境だろうと考えたのだ。

 

 廣瀬はバイトの面接では、誰もが知っている有名大学を卒業し誰もが知る会社で働いてきたのだが、体の調子を崩してリハビリがてらに働きに来ているという架空の設定を作り上げ見事に採用されたのだ。

 働き出してからは経歴が架空の設定だとバレないように必死で働き、業務の進め方の改善も積極的に行い他のバイト達から一目置かれる存在になっていると感じたし、若いバイト達には兄貴的な存在として親しまれている事に喜びを感じた。。

 そういった努力が店長にも認められて、働き出して間もないながらもシフトは常にパンパンで嬉しい悲鳴が出るほどだった。バイトリーダーとして期待されている事を意気に感じ若いバイト達の指導係もかって出て、新しいバイトの仕事やプライベートの悩み相談なんかもしてあげていた、自分で言うのもアレだがこんなにいい上司はどこを探してもいないんじゃないだろうか。

 

 星野優は最近新しく入ってきた大学生のバイトの女の子だ、大人しい性格なのだろうか周りのバイトともあまり関わることもなく黙々と仕事をこなす真面目な子で、どうにかして周りと仲良くなってほしいと思い、いろいろと気にかけてあげていたのだ。

 次第に、他のバイト達とも休憩時間には雑談をする機会も増えてきたみたいで、小耳に挟んだ話では休みの日には一緒に遊びに行くようにもなったんだとか、バイトの冴子に聞いた話ではこの前の休みは一緒にカラオケに行ったんだと、バイト達の兄貴として優が皆んなと仲良くできてることは喜ばしい事であり、自分がこの店ではなくてはならない存在なんだと改めて感じた。

その後もコンビニでの仕事はなんの問題もなく順調に続き、他のバイトからも店長にも頼られ、このまま社員になるのは既成事実となっていたのだが、一つ由々しき事態が起きているのだ。

 優と同時期に入ってきたバイトの岡倉というチャラい男なのだが、何度指導してもその通りに仕事を進めず周りの輪を乱してしまっている、このままでは時期社員としての管理能力を問われることにもなってしまうし、何より他のバイト達にも悪影響である。

 店には店のルールがあるのを彼はわかっていない、どうしたものかと思っていたところに優と冴子の会話が耳に入ってきた。

「冴子ちゃん、明日の飲み会って8時に駅前に集合でよかったよね? 」

 なんだ今日は、バイト達で集まって飲み会をするのか。

「その飲み会ってメンバーは誰がくるの? 」

 俺は二人に尋ねる、もし岡倉も来るのならいい機会だ、仕事の進め方や社会人としてのルールをみっちり教えてやろう。 

「えーっと、冴子さんと愛さんと岡倉君にあと何人か来る予定です」

 優が答えると 

「そうか、なら俺も行かせてもらうよ明日は19時には仕事が終わるんだ、8時に駅前で集合だね」

 明日で、俺を悩ましていた問題も解決する。怖いくらい順調に人生が進み始めていたのだ。



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