第4話 作戦会議って、かっこよくない?
今回、専門用語が出てくるので、先に説明しておきます。
・冥府門
→冥府と大陸を繋ぐ扉。回廊巡りをしたものだけが、通行する許可をもらえる。
基本、魔王などのモンスターはこの扉から、各地に転送される。
・回廊巡り
→この大陸にある国、全てに訪れ、その国の刻印を全て集めることで貰える称号。
達成者は0人というほど、鬼畜で辛いらしい。スタンプラリー的なもの。
ラオンは妹と一緒に、本を見せながら、両親に全容を話した。
今の現状を。この大陸の危機を。
数分間に及ぶ説明が終わると、ロジャーが言った。
「すぐに、魔王が召喚されたであろう位置に、時間操作系の魔術師を配置しなければ…
けどな… 俺の言う事なんて、誰も聞いてくれないのでは?」
王はすぐに的確な判断を下したが、怖気づいてしまった。
そう、王がこう思うのも無理はないのだ…
この国は、前から島国だった。
厳密に言えば、大陸にある湖の中にある島である。
その為、国民には固定観念がある。
王はこうでなきゃいけないとか。身分がどうとか。
おそらく、外界から隔てられた閉鎖的な場所による特性だと思うのだが…
とにかく、それはロジャーが王になる前からある、ルーツのようなものだ。
だが、ロジャー。すなわち国王はそれをぶち壊した。
まぁ、若気の至ってやつ?だと思う。
具体的には、店の営業時間の制限を無くしたり、年に2回は祭りを開催したり。
そんな、王の固定観念をぶち壊すような行動に、好印象の国民もいたが…
半分くらいの国民は、王のことをよく思っていない。
それから、王は慎重に行動するようになってしまった。
家では、慎重の真逆だが。
ちなみに二つ名である“脳筋のロジャー”は、この若い頃の行動が由来だったりする。
「悩むことないわよ。国民に左右されないで意見を貫きなさい。
それが王の役目でしょ。」
そこで、口を開いたのはマリヤだった。
慎重になりすぎる王を叱るように。宥めるように。
そこで、ラオンもフォローする。
「もし、その作戦が成功すれば、国民からの株も上がるよ?」
ロジャーは2人から忠告を受け、いつものテンションを取り戻すと、陽気に言った。
「よし、今から時間操作系の魔術師を、魔王召喚の場所に集めよう。
作戦はそれでいこう。魔王はまだ召喚されていないが…
2回目の爆音から数時間後に召喚されると、本には書いてあったな。
まだ時間はある。この大陸を守るため、他国にも協力してもらおう。」
それを聞いたみんなは、頷き、作戦会議を開いた。
「まず、各国に情報を伝えなければな。」
「そもそも時間操作系の魔術師を集めて何するの?」
「魔王が来たら、そこのエリアを時間停止状態にするんだよ。」
「なるほど… でも、その後はどうするの? それに魔王がどこに来るかも分からないよ」
作戦会議中は基本、ロジャーとラオンの会話がメインだった。
そこでマリヤが、考えを述べた。
「魔王の来る位置はおそらく、*冥府門の向こうだと思うわ。
過去の資料の情報を参考にした上で。
時間停止した後は、*回廊巡りした人に任せればいいわ。」
最もな意見に感動しつつ、ラオンは言った。
「回廊巡りって… 誰がやるの?」
そう、回廊巡りは、意外と辛い。
国を全部巡るのには、結構、時間と体力と仲間がいる。
今も、達成した人はいないので…
最悪、誰もいないのでは?
という疑問が出たが、
「ラオン、お前がやるんだ。
成功したら、お前の欲しいものをいくらでもやる。」
という残酷な王の発言で消え失せた。
突然の、王のわがまま?発言に全員が驚いた。
しかし、ラオンはすぐに別の事を考え…
[うん! 何となくそうなると思ったよ。]
と、ラオンは心の中で絶叫しつつ、顔を上げて言った。
「了解。そのかわり、僕が死んでも文句言わないでよ?」
本に死を覚悟した方がいい。と書いていた為、特に驚きはしなかった。
というか、死ぬつもりはないけど…
ラオンは、もう何言っても、王には敵わないと諦めて苦笑いした。
「ちょっと、地下行ってくる。討伐に必要な武器とか情報があるかもだし?」
王子は、覚悟を決めて、討伐の準備を進めることにした。
城-地下
ここは、牢獄と武器庫、大図書館がある。
牢獄には、今は一人もいない。
この国は平和だからね…
とりあえず、ラオンは武器庫に入り、武器を確認した。
「結構、強い武器あるじゃん。
まあ、僕は魔術の方がいいけどね…」