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じいちゃんから届いたカセットテープ【1000文字読み切り】


ある日、小包みがポストに入っていた。



ポスト



そう、前世紀の遺物。

今ではもう、家の前に飾りとして置いておくしか使い道の無い物。それが僕の家にはまだあった。

今日それに、届け物の到着を知らせる矢印が立っていた。


「郵便」なんてものもとっくに無いから、多分魔法で今日届くようにしてあったんだろう。

手書きの差出しの日付けは今から七十年前。

右肩上がりで癖の強い、じいちゃんの字。



いったい何が入ってるんだろう?



気になった僕は、その場で小包みを開けた。

中から出てきたのは小さな機械だった。微かに見覚えがあるような気もする、手のひら大の小さな機械。

それの他には、紙が一枚。

紙には機械の説明。


…説明って言っていいのかな?

雑な機械の絵と矢印。それと『聞く』『巻き戻す』『開ける』『ひっくり返す』などのいくつかの単語と、もう少し細かい説明。

それ以外は何もない。

メッセージも何も。


じいちゃんらしいなと苦笑しつつ、とりあえず『聞く』と書かれたボタンを押した。

カチャンと小さく音がして、機械が動きだす。小さな二つの輪がクルクル回っているのが、透明な窓から見える。

ジジっと音を立てて、それが鳴った。


「孫よ」


じいちゃんの声を響かせて。

それは、じいちゃんからの音声メッセージだった。


じいちゃんの黒歴史。

後悔。

だからおまえは後悔のない人生を送るようにと、じいちゃんが僕に宛てたメッセージ。

暖かな声に、思わずじんわり涙が滲む。


じいちゃんは、昔も今も変わらないな


そう笑って涙を拭う。

メッセージが終わったので『巻き戻す』を押した。ギュルギュルとちょっと不安になるような音を立てて小さな輪が高速で回り、やがて止まった。

そっと機械の表面を撫でる。



じいちゃん、ありがとう



いつも僕のことを可愛がってくれているじいちゃん。

大好きだ。


………これ、じいちゃんにも聞かせてやろうっと


ニンマリ笑って機械のボリュームを最大にした。

そして再び『聞く』を押す。

家に向かって歩きながら。


「じいちゃん、じいちゃん!面白い物が届いたよ!」


僕のじいちゃんは今年四百歳。

数十年前に発見された凄い草のおかげでエルフの寿命は大幅に延びたので、まだまだ倍は生きそうだ。


そんなじいちゃんの耳に、過去の自分の声が届く。これが届く頃には自分はもうこの世にいないと思って送った、恥ずかしいメッセージが。


すぐに「ニギャーーー!!!」と凄い顔をしたじいちゃんが、家から元気に飛び出してきた。



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