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【短編集】幼馴染から婚約者になる

今日、雪だるまは彼女に恋をした

作者: ぽち焼きタマゴ

小説家に『なろうラジオ大賞3』応募作品です。


テーマは雪だるま

 僕の幼馴染達は、とても仲が良い。


 幼馴染と言っても、家が近いわけではない。親世代が皆同級生で、学生時代から仲が良かったらしく、今でも毎月数回お茶会やお泊まり会をしている。そこに連れてこられた僕達は、必然的に幼馴染と呼べる関係になった。


 僕は彼らより二つ年上で、名前で呼ばれるより、お兄ちゃんと呼ばれる事が多い。少し歳の離れた本当の妹と同じように彼らを可愛がっていた。


 いつからか、その中の一人に特別な想いを抱く。ふとした時に見た、微笑む笑顔に僕は心が暖かくなった。これが、親愛なのか、友愛なのか、恋なのか…よく分からないけど、あの子は僕の特別になった。




 ある雪の日に、僕達は雪遊びをしていた。最初は、皆んなで一緒に遊んでいたけど、あの子の瞳に僕が映らないのは分かっていた。


 笑顔の彼女と、無口な彼は、いつも一緒で、世話を焼き手を差し伸べる彼女は、彼の事が好きなのだと思う。でも、彼はいつも無表情だから、よく分からない。両思いでないなら、まだ僕が間に入る事はできるのかもしれない。そんな事を考えながら、彼らを眺めていた。


 ザー・ドッ・ドサッッ


 突然彼の上に雪が落ちてきた、木の上に積もった雪が落ちたみたいだ。彼は雪の上に倒れて、雪に埋まってしまった。慌てて駆け寄ると、身体を起こして顔だけ出した。それを見た彼女は言う。


「あービックリした!大丈夫?」


「大丈夫」


「ふふふっ、雪だるまみたいね」


 彼女は笑いながら彼の顔に手を伸ばして、ついていた雪を払った。その時、僕は恋に落ちる瞬間を見た。



 二人は両思いになった。お互いまだはっきり自覚していないだろうから、この時なら間に合ったのかもしれない。でも、僕は二人とも大好きだから、お兄ちゃんだから、この想いに鍵をかけた。


 願わくば、あの笑顔を僕にも向けてほしい。これくらいは、思っていても許されるだろう。


 まだ雪の中に座っている彼を助け起こす。


「大丈夫だった?」


「大丈夫」


 と言った彼は、頬を染めて微笑んだ。



 今日、雪だるまは彼女に恋をした。


幼馴染から婚約者になる シリーズ

別幼馴染視点です。


「鏡を見てから〜」の彼が、いつ彼女に恋に落ちたのか、第三者視点で書いたらこーなりました。

幼馴染の細かい設定も、やっと入れられて満足。


今回の主人公が淡い想いを抱いたのが誰だったのかは、読んでくれた方に委ねます。

私も知りません。主人公の彼のみぞしる。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回の主人公の切ない胸の内、お兄ちゃんだからと想いに鍵を掛けるところが素敵でした。 [一言] その後、二人が婚約したと聞いたときの主人公、この時の記憶が蘇ってまた切なさを感じながらも、きっ…
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