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茶道の逸話 ー響け「おもてなしの真実」ー  作者: shoundo
第6章 織部レン・織田との戦い
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第33話 蒲生さんと芝山先輩の話

高山さんが残り4人と店員さん1人を連れて、私と織田次期当主のいる応接室に入ってきた。


店員:「若、これはどういうことですか?」


織田:「ああ、山上か。なに、この店の存亡を賭け、利休派の話を聞くことにした。俺を納得させればこの店をつぶすことにする。」


山上店員:「そんな勝手に、当主が黙っていませんよ。」


織田:「ふん、親父の言いなりになってたまるか。」


山上店員:「わかりました。では、当主に報告するため、私も同席させていただきます。よろしいですね、若。」


織田:「いいだろう。さて、待たせたな。ではそこの女から話をしてもらおう。」


織田次期当主が指差したのは、蒲生さんだった。


蒲生:「えっ、私?私が逸話を話すの?」


織田:「どうした、早くしないか。」


蒲生さんは私の顔を見て、不安げにしていた。私が蒲生さんに向かってガッツポーズを見せると、蒲生さんは頷き、織田次期当主の方をまっすぐ見つめた。


蒲生:「私が話せる逸話は、疲れた利休さんがお茶を三杯もらうという話です。」


織田:「よし、話してみろ。」


蒲生:「疲れた利休さんが、あるお寺で喉が渇いたのでお茶をお願いします。すると、ぬるいお茶をたくさん入れて出してきます。疲れていた利休さんは、一気に飲み干します。そして、もう一杯欲しいとお願いします。」


蒲生さんは、ちらっと私の方を見て、再び話し始めた。


蒲生:「次に出てきたのは、熱すぎず、ちょうど良い量のお茶です。おいしく飲んだ利休さんは、もう一杯欲しいとお願いします。」


蒲生さんは、私の方を見たので、私は力強く頷いて見せた。蒲生さんは、自信をもって織田次期当主に向き直り、話を続けた。


蒲生:「最後に出てきたのは、熱くて、量が少ないお茶です。利休さんは感動します。おもてなしの心を感じたからです。」


織田:「その話のどこに、おもてなしの心があるんだ?」


蒲生:「喉が渇いた人にはたくさんの飲み物を出して、次に普通のお茶を出した。最後、良く味わってもらうために、熱くて量を少なくした。これは、疲れた人においしいお茶を味わってもらうための最高の方法なんです。だから、おもてなしの心になるんです。」


織田:「なるほど。山上、どう思う?」


山上:「確かに、その方法だと、身体に無理なくおいしいお茶を飲めるでしょうね。おもてなしの心ですか・・・。」


織田:「では次、そこの男、話してみろ。」


織田次期当主が指差したのは、芝山先輩だった。


芝山:「蒲生さんには負けられないね。じゃあ、僕は『早船』の逸話をします。」


織田:「よし、話してみろ。」


芝山:「早船は、富士山のような模様がついた赤い楽茶碗の名前で、利休さんが大阪で茶会を開く際、船で大急ぎで取り寄せたことから付いた名前です。重要なのは、この茶碗が金継ぎされているということです。」


織田:「金継ぎとはなんだ?」


芝山:「割れた茶碗などを漆でくっつけ、金で装飾する方法です。赤い茶碗に映える金色。白い釉薬の富士山。これにより、とても趣深い味わいになり、お客さんを楽しませることができるのです。これこそ、おもてなしの心だと、思いませんか?」


織田:「なるほどな、金継ぎによって、味わいがでて、客を楽しませるのか。山上、どう思う?」


山上:「金継ぎは、模様によってはとても趣深いものになると聞いたことがあります。早船は、さぞ素晴らしい茶碗なのでしょうね。見てみたいものです。


芝山:「今は、畠山美術館というところにあるようですよ。」


織田:「今度行ってみるか、山上。」


山上:「ぜひ。」


現在の蒲生の特殊能力

 ・頼れる仲間

 ・恋のキューピット・初級

 ・逸話の伝道師・初級(☆LVUP↑)

  『三献茶』

現在の芝山の特殊能力

 ・カッコよさピカ一

 ・白い歯が光る

 ・カメラマン・初級

 ・逸話の伝道師・初級(☆LVUP↑)

  『早船』

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