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痴愚神礼讚/ΜΩΡΙΑΣ ΕΓΚΩΜΙΟΝ

作者:葦驢亭
 痴愚女神モリアが語りだす。きわめて私的で主観的なギリシア神話。
 どこまでが本当のことで、どこからが彼女の法螺なのか……。

 そもそも痴愚女神モリアはエラスムス『痴愚神礼讃』の語り手であって、ギリシア神話には出てこない。
 にもかかわらず、彼女は太陽神の周廻宮殿に我が物顔で居坐って、話をつづける。

「いえ、一応、全部本当のことを話しているつもりですよ。ワタシの記憶ちがいでないかぎりは。今さら嘘つかなきゃいけない理由もなし。ワタシは大統領でも総理大臣でもなし、医科大学の学長でもなければ、国税庁の高官でもないですから」
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