王様の腕輪
忘れていたが、俺は住む所がない
「ギルド長、俺の住む所を世話してくれ、馬鹿領主の事で忘れていた」
「分かった、探しておこう」
「指輪、集めておいた、頼む」
「分かった、暫くここを入室禁止にしてもらえるかな」
「分かった、私はいても良いのか」
「ギルド長は今更だよ、手伝って貰えるかな、指輪を机の上に並べて貰いたい」
個数は三十個ほどだった
「ギルドの職員て結構いるんだな」
「表ではなく倉庫とか解体とか現場に結構いるんだ」
「用心のため、家族のいる人の家族の人数も知りたいな」
「そっちの作業している間に調べてくるよ」
並べた指輪に手をかざし念を込めていく、さして時間はかからなかった、終わったのでソファに座って休憩する、ギルド長が戻ってきた
「子供、両親など全部で五十六人いたよ」
「じゃあ、これ、俺の故郷じゃミサンガっていうんだが、これも念を込めてある、六十預けるから使ってくれ、管理は厳重に頼むよ」
「え、良いのか、こんな凄いもの売りに出せば、最低でも白金貨一枚でも安いくらいだぞ」
「だから、その価値を知っているのは、ギルド長とグレンだけだから、知らない人はただのみじかい紐にしか見えないよ、一つ王様にやっても良いか」
「そうだ、一番味方してほしい王様にやらなきゃ、良いよ王都に行って、なにか尤もらしいものに物に念を込めてくるよ」
王都に、いや王宮に転移した、しかも王様の私室に、ちょうど王様はいた机に向って何かしていた
室内にいるのだが、ドアをノックする
「入れ」
「もう入ってます」
「うん、」
ドアの方を見る
「栄太ではないか、いつ来た」
「今です」
「何しに来た」
「王様に守護の念を送りに」
「守護の念とは」
「王様、腕輪持ってます?」
「ああ、いくつも持ってるよ」
「一つ貸して下さい」
王様が出してくれた腕輪を持つと、両手で握り念を込めた」
これを肌身離さず付けていてください
「何時でも付けていれば良いのだな」
「栄太の言う事だ、信用できるが」
「また、試したいのですか」
「そうだ、実感したい」
「所がないな、では又入室禁止にしてください、そして町人のような服に着替えることはできますか」
「城下の視察用に地味な服がある、それでいいか」
着替えたが、それで地味なの、と思ってしまうが,しょうがない
「城下に、しかも下町に行きますけど、良いですか」
「うん、行こう」
わくわく顔だ、城下に転移する、街を歩く、王様は嬉しそうにキョロキョロして歩いている、いかにも悪にぶつかった
「てめえ、何処見て歩いてんだ」
いきなり殴るかかろうとしたが、ゆっくりと拳を下ろし始めた
「その腕輪を付けた王様を襲うと、皆ああなって動作が遅くなってしまうんです」
「なるほど、あれなら私でも避けられるな、分かった、ありがとう」
男がもたついているすきに、王様を物陰に連れてゆき、王宮に戻ってきた
「肌身離さず付けているよ、ありがとう、お礼にこれをやろう」
奇麗な剣をくれた
「よい、これでも足りないくらいだ、屋敷をやるから王都にしまないか」
「遠慮します、縛られるのは嫌なんで」
「自由は約束する、いざというとき力になってくれれば良い」
「あくまでもこの国を拠点とする事は約束できますが」
「それで良い、毎月ウィンの所に給料を振り込むから、約束だぞ、王宮の出入りも自由に出来るよう
手配しておく」
「わかりました、其れじゃあ帰ります」
「約束したからな」
その声を聴きながら転移した
ギルド長ウィンが部屋にいた
「どうだった」
「うん、喜んでいたよ」
この国を拠点とする約束をさせられた事を言うと
「やはり、栄太程の人間を他の国に取られたらと思うと、王様の気持ちがわかるよ」
「俺はそんな大物じゃないよ」
「お前、自分の価値を分かってないな、お前世界征服だってできるんじゃないか」
「まぁ、そんな面倒な事やればできるだろうけど、やらないよ」
「恐ろしい、やればできるってわかっているんだ」
「それより、みんなに配ったか」
「配ったよ、くれぐれも肌身離さず付けているように、良く言い聞かせながら」
「良かった、これで一安心、じゃあ帰るよっていても、ここの宿泊施設だけどね、住宅貸家でいいから早く頼むね」
一階に降りる
「ブラックウルフ、買取してもらえる」
こんなにギルドに来ているのに、買取カウンターは初めてだった
「ここじゃ狭いな、倉庫に行こうか」
担当の職員について倉庫にきく、異空間から倉庫の床に並べる
「大きなマジックバックだな」
マジックバックと言う事にしていこう
「ブラックウルフを五頭も、普通なら驚くところだが、あんたなら、何があっても当然だな、鑑定に少し時間がかかる、時間をくれ」
「分かった、後で来るよ」
ギルドに併設された食堂で夕飯でも食べよう、シルビーとリリーも呼んでこよう