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栄太の漫遊記  作者: ベン マウント
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守護の指輪

冒険者ギルドには酒場兼食堂と宿泊施設がある、その一室に姉妹はいた、ノックをすると

「はい」

シルビーの声がした

「高杉だけど」

ドアが開いてシルビーが顔を出す

「どう、落ち着いた」

「はい、何とか、どうぞ入ってください」

「お邪魔します」

入るとリリーはシルビーの背中に回って隠れる、顔をのぞかせ栄太を見ている

「怖い思いしたね、もう大丈夫だからね」

そう言いながら座る

「もう、あそこには戻らない方がいいよ、必要なものがあったら俺がとってくるから」

「あそこには惜しいようなものお花にもありません、只あそこしか住むところがないので」

「住むところは、俺が何とかする」

「何故、そこまで」

「俺があいつらに手を出したおかげで,あんたたちに危険な思いをさせてしまったんだ、責任を取らせてくれ」

「責任って、私たちを助けてくれただけ、二度も」

「ああ、助けた形だけど、もう少しやりかたがあった、調子に乗って遣り過ぎたんだよ、あんた達にまで被害が及ぶとは思わなかった、もう少し手加減していたら、俺にだけ敵意が向いただろうに」

「そんなこと」

「そんなことあるんだよ、とにかく責任を取らせてくれ、そうじゃないと俺の気が済まない」

「そんなことはないと思いますが、今の私には妹を抱えてどうすることもできません、お言葉に甘えさせてもらいます」

「ありがとう,そうして貰えると俺も気が楽になる」

「こちらこそ、甘えて申し訳ありませんが、よろしくお願いします」

ポケットから用意しておいた指輪とミサンガを出す

「これ、お守りなので身に着けていてほしい」

「そんな、この上貰えません」

「家、これを身に着けていると危険からにげられるから、付けていて、そうすると俺が安心だから」

ミサンガを取り

「リリーちゃん、手を出してくれる」

恐る恐る手を出してきた、手首に結んでやる、赤と緑と黄をみつあみにしたものだ、眺めて気に入ったのか

「おじちゃんありがとう」

にっこりして言って来る

「偉いね、お礼が言えるんだ」

「すみません、じゃあ私も」

そう言って指輪を左手薬指に嵌める

「あっ、ちょっと」

言い出したが、此処は異世界そんなこと気にしなくていいだろう

「いえ何でもない」

言ったが、ちょっと意識しちゃった、亜麻色の髪、色は抜けるように白い、つぶらな濃い緑の瞳、小鼻の小さいかわいい鼻、胸はある方だな、身長百六十センチくらいかな

「高杉さん、どうかしました、そんなに見られると恥ずかしいんですが」

しまった、何自分の世界に入っているんだ俺は

「いや、何でもない、ごめん」

改めて見たらシルビーすごい美人じゃん、色々あり過ぎてわからなかったが、日本にいた時代なら話もできないような女の子だ、スラムにいたことと、汚れた衣服や顔でわからなかったこともあるが

「後で街に食事でもしに行こう、ギルド長たちと打ち合わせがあるから、ちょっと行ってて来るけど」


ギルド長たちは揃っていた

「領主たちおとなしいね」

「兵たちがゆう事を聞かないらしいぞ、栄太の脅しが相当効いているようだな」

「それは結構、次に来たらもっと怖がらせなきゃね」

「お前を敵に回したくないよ」

「大丈夫、もう大事な友達だから」

「ありがとうよ」

「だが、用心はしなければ」

「それなんだけど、領主の事だ、どんな手を使ってくるか分らない、ギルド関係者全員に警護を付ける訳にもいかないし、守護の指輪、というものを作ろうと思う」

「どんなモノだ」

「指輪を貸して」

ギルド長の嵌めていた指輪を借りると、手の中に握り込み念を送り込む

「嵌めてみて、グレン、日頃の恨みを込めて、ギルド長を本気で殴ってみて」

グレンはギルド長の傍によると

「このやろー」

突然大声を出して拳を振り上げ振り下ろすが、ゆっくり降りて行った拳はコツンと頭にあたっただけだった

室内に遮音結界を張ってあったから、外には聞こえていないはずだ

「どうだった」

グレンに尋ねる

「うん、大声を出すつもりがないのに、叫んでしまった、それと力を入れても手が早く動かない」

「それが守護の指輪の力だよそれが」

「はぁ、どういう事よ」

「指輪を嵌めた者に、暴力をふるおうとすると、いくら、そっと隠れてやろうとしても,自然に、大声でさけんでしまう、行動はゆっくりになってしまう、と言う事」

「そんな、ありえない、もしほんとうなら、どんな高級な、鎧を付けるよりも安全と言う事になる」

「でも見ての通り、だから関係者全員指輪を持ってきてもらいたい、それに俺が念を送りこむから」

「みんな指輪の一個くらいは持っているだろう、持って来させるよ」

「ただし、ご利益、いや効力については秘密、知れれば大騒ぎになるから」

「そうだ、騒ぎ程度ではすまんかもしれん、分かった、職員関係者には上手く言って持って来させる」

ギルド長が張り切っている

「それだけで対策は十分じゃねえか」

グレンが呟いている


リリーは慣れたのか俺と手をつないで歩いている、もちろん反対の手はシルビーとつないでいるが、はたから見たらどう見えるだろう、そんなことを考えてしまう、浮かれていないで周りの気配を探る、物陰に二つ怪しげな気配があった、気配に注意しながら歩く、それにしても俺は異世界にきて二日目、ベテラン冒険者

並みの行動をとっているのではないか、前世の自分では考えられない、すべて万能のなせる業だが、グレンに教わったレストランが見えてきた、中に入りテーブルに座る日本の高級とは言えないが、中程度のレストランくらいだ、何の肉か分からないがステーキ風のものを頼んだ、お子様用はなくリリーも一人前を頼んだ

「ちょっと」

この世界では何というんだ、トイレとは言わないだろうが、、シルビーが頷いてくれたので助かった、

怪しい気配の場所に転移する

通りの向かいの建物の陰からレストランを伺っている男の後ろに転移して、肩を叩き

「おい、落ち着いて食事できないから、あそこに隠れている奴を連れてかえれ」

「ひっ」

男は腰を抜かしたのだろう、へたり込んで、目の玉が飛び出すほど目を見開いてこちらを見ている

「わかったか」

頭を縦に何度も降っているが声が出ない

「はひー」

ようやく声が出たようだ、立ち上がると、言われた建物の陰から、もう一人の男を引きずるようにして、走り去った、トイレでいいのかな、その場所に戻ると何もなかったように席にもどった

料理はもう来ていた

「先に食べればよかったのに」

「でも、悪いから」

「食べよう」

何の肉か分からなかったが旨かった





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