告白
近頃は、シルビーに秘書のような事をしてもらっている、リリーはメイドたちにを、子守りをお願いし、時々は孤児院に遊びに行くよう言ってある、同年代の子供たちが多いから、行くのが楽しいようだ
処で俺は冒険者なんだよな、やっている事がちょっと違うような気がするが、事がまぁ深く考えない
ダラム公爵からは、何も言ってこない、王様の計画は、街の主だった人たちには伝えてある、だが、皆不安だろう、国の貴族のトップを、敵に回すかもしれない作戦だ、通信も交通も発達していないから、作戦が伝わるには時間がかかる、相手が動き出すまで、少しだけ伝達を便利にしようと思う、いや、少しではなく飛躍的かもしれない、こんな世界でも、情報は重要だ、戦などでも情報が物を言う、馬に乗って、あるいは鳥を訓練して、くらいしか方法がない、それを、持ち運び出来て、瞬時に情報が伝わる、大変な武器になるはずだ
「念話の金貨を、魔道具に見えるように工作して、作ろうと思う、それを、王様に進呈して、王の作戦の助けにしようと思うが、どうだろう」
魏都度長に相談してみる
「それは、王様は喜ぶだろうが、良いのか」
「いいさ、この話はウィンが話せ、ウィンが王様に貸を作っておくと、何かと都合が良い」
「いや、お前からしろよ」
「どうせ俺が作る事は分かってるんだ、俺が直接よりウィンが紹介の方が、後々王様に貸が増える、一人より二人分な」
王様と二人だけでの計画なんてごめんだ、せめてウィンは巻き込まなくては、ついでにグレンも
「まあ、お前がそう言うのなら良いけど」
最近はグレンも、ウィンの補佐のような仕事が忙しくて、冒険者はお休み、ほとんど事務所に詰めている、
三人で早速使用計画と、製作に関して相談する
貴族も全員がダラム公爵派ではないと思う、俺の見たダラム公爵の印象から、人望があるとはとても思えない、だから王様派が一人もいないとは考えられない、汪様派にこれから作る、魔導通信機を渡し、王様への信頼を固めていく、それが狙いだ
シルビーは、訳が分からないまま、俺の傍で終始黙って座っている
「シルビー、今日は家にいても良いんだよ」
「いいえ、大丈夫、栄太さんの事を、少しでも助けたいから、いろいろ覚えたいし、知りたいから」
「そうか、なら良いけど」
偶然助けられ、そのまま、なんとなく世話になっている、縁も所縁もない人に、それが心苦しい、まだ、心のどこかにそんな気持ちがあるらしい、如何すればその気持ちを、安らげてやれるか、分からない、歳さえ離れていなければ、俺がもう少し若ければ、奇麗だし可愛いし、性格だって悪くないし、絶対嫁にしてしまうんだが、それは無理だし、今は本人の気の済むようにしてやるしかない、何がどうなろうとも、傍に居て欲しいから、俺の我儘かもしれないが
打ち合わせを終えて
「飯でも食いに行くか」
二人で街に出て食べようと、並んで歩いていると
「栄太、ご無沙汰だな、シルビーちゃんとデートか」
声の方を見ると、ゴルドだった、相変わらず知り合いでなかったら、避けて通りたい容貌をしている
「そんなんじゃないよ、今は俺の付き人をしてくれているんだ、変な事を言うとシルビーが、嫁に行けなくなるだろう」
そう言い返すと
「何処にも、お嫁になんか行きません」
何故かシルビーが俺を睨んで言う
「はい?」
怖いよ、何を怒っているんだ
「だってよ」
ゴルドが冷やかすように言う
「何だか分からんが、行こう」
シルビーの肩を押して歩出す
「ちょっと待てよ、聞いたか森に魔物が増えている事」
「いや、討伐の方は最近顔を出していないんで」
「例の地竜がいた事、変だと思わないか、何か森で異変が起きているんじゃないかと」
「そう言えば、そうだよな、ウィンには」
「とっくに言ってある、調査隊を出しているよ」
「俺には何も言わなかったぞ」
「ウィンは、何でもかんでも栄太を頼るのは、って考えているんじゃないか」
「そうか、だったらその気持ちを尊重しよう」
「ああっ、承知だけしておいてくれ、最後に頼みになるのは、結局お前だからな」
「うん、頭に入れておくよ、じゃあな」
ゴルドと分かれてレストランに入る、目立たないように、今までやって来たので、街の有名人にはなっていない、出来る限りギルドを通すことにしている、その為顔見知りは大勢いるが、友人は少ない、こういう場所に入っても、ほとんど知り合いと会わない、だから気楽だ、テーブルにシルビーと向かい合って座る、なんだかシルビーが、何時になく緊張している気がする
「どうした、緊張する程の店じゃないだろう」
「栄太さんは、私が嫌いですか」
「何を言い出すんだ、嫌いなわけがないじゃないか、大好きだよ」
「じゃあ、結婚してください」
「はぁ」
言葉が出ない
「駄目ですか」
「駄目じゃないけど」
「じゃあ、結婚してください」
「ちょっと待って、こんな小父さんだぞ、良く考えて、まだ若いんだから」
「良く考えました、早くしないと、栄太さんを誰かに取られそうで」
「何を言ってるんだ、俺がそんなに持てると思うか」
「本人が知らないだけで、凄く持てるんです、うちのメイドさんたちなんか、隙あらばとねらってるんですよ、お妾さんでもいい、なんて言ってる人もいるくらい」
「はあ~あ、何でそうなるんだよ、そりゃあね、シルビー可愛いから、若ければ口説いちゃうのにな、なんて考えたことはあったけど、こんな小父さんがシルビーと結婚なんて、犯罪に近い事だよ」
「良いじゃないですか、じゃあ、犯罪者になってください」
「なってくださいって、シルビーってこんな子だったっけ」
「こんな子なんですけど、駄目ですか」
「分かった、、分かったけど、すぐに結婚は待とうよ、俺はシルビー一筋でいける自信はある、でもシルビーは、こんな小父さん嫌になるかもしれないから、時間を置こう、絶対浮気しないから」
突然の思っても居ない告白に、しどろもどろだ、俺としては願ってもない事なのだが、俺にとってうますぎる話だ、公表はしない、二人だけの内緒の婚約、と言う事で納得してもらった、嬉しいけど照れ臭いよ、内緒のまま慣れて行こう、格好つけたけど、内心は嬉しさでおかしくなりそう、落ち着かなくては、その後の食事、旨かったかって、味なんか覚えていないよ




