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栄太の漫遊記  作者: ベン マウント
20/61

ダラム公爵

翌朝、案の定ギルドから

「ギルド長が至急ギルドに来てほしいと」

職員が飛んできた、予想していたので、覚悟して支度をする、出かける支度を手伝いながら、シルビーが心配そうに眼で訴えてくる

「心配するな、こっちは悪くない」

「でも、相手は貴族様だから」

「大丈夫、貴族でも、国王でも、俺の身内に何かしたら、相手になって遣る、心配ない」

「まさか、国王様なんて」

「まぁ、国王とは、そんな事しないけどな」

俺と国王の関係は、ウィンと、グレンしか知らないけどね

シルビー、執事のガルトやメイドたちに送られて家を出る

「全く、仰々しいから止めろというのに」

出かけようとすると、いつの間にか、勢ぞろいしてお見送り

「仕事であり、役目です」

そう言って聞かないのだ

歩いて十分くらいの距離だ、それでも急いで歩く、商店も店を開け、街は朝の活気に満ちている、来たばかりの頃と全く違う街のようだ

ギルドに着くと、冒険者たちでホールは人で溢れていた、魔物狩りばかりでなく、物流関係の護衛、建設の関係、人手が幾らあっても足りないほど、街は発展している、混雑する中を横切ってギルド長の部屋に直行する、ドアを開けて入ると、ウィンだけではなくグレンがいるのは分かるが、顔だけは知っている、街の実力者達が顔をそろえていた

「不味い、やはり大問題になったか」

流石に冷や汗が出て来た、だが、俺は悪くない、堂々とするのだ、自分に言い聞かせる、いわゆる開き直りだ

「皆さん、お揃いで、何か問題でも、俺なんかがお邪魔ですよね」

帰る振りをする

「待ってくれ、栄太にも聞いてほしい話だ、問題が持ち上がった」

栄太にも?、俺の事じゃなく問題が、内心ほっとしたが、それ以外問題とは

「行政的な事は俺には分からんぞ」

ウィンの顔を見る

「いや、街の事だが、実は・」

、ウィンが説明を始めた、クロードの街は、三人の領主が納める土地に接している、クロードの街は前領主が処罰された後、自治区として王の承認を得て、ウィンを中心に平民代表と、議会のような形式でやってきた、、貴族の治めない、この国で唯一の街だ、特別な産物も産業もない、そんな街だったが、最近、街が活気づいてきた、周りの貴族たちは、密偵を送り込んでいただろうが、大して旨味の無い街を、王に進言してまで欲しいとは思わなかったようだ、だが、この国の全貴族が前々から、クロードの街が気に入らなかったようだ、王の独断で、貴族の治めない街、そんな街ができてしまった、その街が発展すれば、貴族の存在価値が危うくなる、そんな危機感もあっただろう

「ダラム侯爵がここを併合すると言って来たんだ」

「冗談じゃない、ふざけた事を、王の認めた事だろうが」

「確かに、王の承認の証もある、だが、言って来た相手が悪い、ダラム公爵なんだ」

「公爵だからどうした、王が認めていることを」

「確かに王が認めている、だがダラム公爵は、貴族の最高位に君臨し、全貴族の代表的存在で、王も一目置く人物なんだ」

「じゃあ、従うしかないのか」

「それしかないのかも、王も強く出られなくて頭を痛めているようだ、王が押し切ると、内乱に発展しかねないしな」

「全貴族が反対じゃあ、王もての打ちようが無いか」

集まっている面々を見ながら

「みんな、納得しているのか」

皆、首を横に振っている

「納得はしていないが、この状況だ、断れない」

「断ればどうなる」

「力ずくでも押し通すだろうな」

「例えば」

「間違いなく、公爵の私兵の軍が街に攻め込んでくる」

「それじゃあ、言う事を聞くしかないじゃないか」

「うん、だから、前領主を追っ払った、お前にも了解を得たかったんだ」

「仕方ないな、戦争にでもなれば、一番の被害者は市民だものな」

「そうなんだ、だが、王様の力もこれで、大幅に弱まるな、実質グラム公爵がこの国の、最高実力者になってしまう、現実に王も逆らえないんだからな」

「国の権力のバランスなんて、俺には関係ないが、王様が少し可哀想だな、原因が俺達のこの街だと思うと、尚更だ、それでグラム公爵とは、どんな人物だ」

「貴族の中の貴族、と言われている、つまり、栄太、お前には絶対合わない人物だ」

「どういう事だ、俺だって合わせるべきは合わせるぜ」

「兎に角、格式を重んじ、平民を軽んじる傾向が強いと聞いている」

「おい、そんなのが領主になるのか」

王の力が弱まる、俺の屋敷は国が賄ってくれている、そんな領主が来れば、俺の立場は

「そうか、じゃあ、俺はこの街を出るわ」

「どうして、そうなる」

「俺の家の経緯、あんたが一番よく知ってるよな」

そう言われて気付いたようだ

「そうか、でもあれは王様個人が出しているのような」

「あんた、場所を考えろ」

こんなところで王様との話は不味いだろう

「すまん、その話は後で」

その時、ウィンが何か考えるような素振りをしている、そして、俺にだけ聞こえるように

「王様から念話だ」

そういった後、在室のみんなに声をかける

「みなさん、ちょっと席をはずします」

そう言って別室に入って行った、皆、何事かと不安そうに、ヒソヒソと話し合っている、分かっているのは俺だけだ、不安になるのも無理はない、暫くして出て来たウィンは

「皆さん、明日の朝、又ここに集まって貰えますか」

参加者は戸惑ってはいたが、異論なく皆帰って行った、残ったグレンと俺にウィンが

「実はね、王様が地竜の件で、栄太の名前を出して良いか聞いてきた、そして、地竜を倒したものが、クロードの街の後ろ盾だと言えば、ダラム公爵も諦めるのではないかと言う事だ」

「俺は、それで通るんだったら構わないが、話の通り、ウィンの後ろにそう言う奴がいる、と言う事で、俺の名は伏せた方が、効き目があると思うがね」

「それもそうだな、地竜を一人で倒すなんて、そんな人間が居たら、外国も戦争を仕掛けることを躊躇うよ、王様は其処を狙っているんじゃないか、ダラムの上を行ってるような気がする、王様は最初から、ダラムなんか、問題にしていないのか」

そう言った後

「そうだ、栄太、守護の腕輪、もう何度も役立ったらしいぞ、刺客を免れたそうだ、良く礼を言っておいてくれとのことだ、直接礼を言いたいが遠いし、大体そういう事を嫌がるだろうから、だってさ」

王様分かっていらっしゃる

「まぁ、その為の物だから役立ったらうれしいよ、其れじゃ、俺も帰るぜ」

「王様と相談しておく」

ギルドを出てのんびりと歩く、大騒ぎしても、案外すんなり片付きそうだ、歩きながらふと目に着いた、行く解きあったかな、そんな事を考えながら目を凝らす、ダラム公爵様ご一行、この街で一番高級宿に掛かっている、ウィンよ情報にもっと力を入れろよ、もう、目の前に来てるじゃないか、誰か出てくる気配に、思わず物陰に隠れ伺ってしまった、出て来た男は、ウィンの話を聞いて、薄々そうではないかと思っていた、夕べ命令していた男だった、続いてレストランにいた男が出て来た、お忍びとか言って、ちゃんと看板挙げている、ウィンは完全に甘く見られている、それとも挨拶にも来ないと、いちゃもん付ける気か、有り得る話だ、急いでギルドに戻る

「もっと情報集めを重要視しないと、これからこの街は、いや以前から、この街は敵に囲まれているのと同じなんだぞ、情報収集に力を入れなきゃ、自分の街に敵が来ていても知らなかった、では済まされないぜ、それと、ウィンの言う通り、俺はあいつとは絶対に馬が合わん、と言うより合わせん、あいつがこの国の主導権を握るなんて、絶対阻止してやる、王様の言う通りにならなかったら、俺が何とかする」

「どうしたんだ、急に」

夕べの事の顛末をウィンとグレンに話す

「またやってしまったか、だが、気の毒なのは公爵だな」

「なんでだ、シルビーが貶められたんだぞ」

「相手が、お前じゃ、歯が立たないだろう、気位ばかりたかいから、そんな話をどこにも持っていけないだろう、特にこの街では、七人の護衛騎士が、一人の人間に倒されてしまいました、誰に言えるのだ、気の毒に、一生それは秘密にするだろう、天下の公爵様の護衛騎士が、そんな無様をさらして、他貴族に知れたら、ダラム公爵の権威がガタ落ちすること必至だからな」

ウィンが如何にも楽しそうに笑っている

「良くやった」

俺は面食らってしまった、又意見されると覚悟していたのに、褒められるとは思わなかったから

「情報の事は分かった、後れを取ると住民皆が困る事になるからな、強化するよ、公爵はお忍びだろう放っておけ、知らなかった事にしておけばいいよ、そんな事があったら、余計忍ばなきゃいけないだろうに、良く看板挙げさせているよ」

「そうか、分かった、しかしウィン、感心したよ、最初会った頃よりだいぶ腹が座ったな」

「ハイハイ、誰かさんのお陰で、苦労が増えるばかりだから、覚悟ができただけだよ、お前とこれから付き合うには、もっと覚悟が居ると思っているよ」

「俺って、そんなに問題起こしてるか」

「これだ、もういいから帰れ、後は王様の打つ手の、答えがどう出るかだ」

今度こそ家に帰る、今度は急ぎ足歩いていると、又あの宿の前に立派な馬車が、横付けしていた、帰るのだろう、その横を浮動機が通りすぎる、一行全員がそれを見送っている、他所から来た者には、珍しいはずだ、見えなくなるまで見ていた、公爵が狙っている物の本命だろう、だがそうはいかない、何があっても阻止してやるからな、と言うよりも、製作の権利も技術も俺の物だから、お前に一切触れもさせない



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