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栄太の漫遊記  作者: ベン マウント
17/61

孤児院

異世界にきて、初めて平穏な一日になりそうだ、ちょっと普通の人と違っているかもしれないが、と言うのは、大陸中に名の知れた、大組織のトップが俺の横を歩いているのだ、各国の王様も一目置く大物だ、興津がいるだけで普通じゃない

「お前、戻らなくておおんのか」

そんな大物に、お前呼ばわりする俺も大概だが

「お前といると色々面白そうだ、暫く厄介になるよ」

「好きにしたらいい、だが、今日はシルビー、とリリーの服や色々女の子の物を買いに行くだけだぞ」

「それもいい、体験したことないからな」

なんか調子が狂うが、俺も女の子の買い物など、付きあった子はない、夕べに一件以来シルビーと何となく気まずい雰囲気だが、声をかける

「シルビー、後でスラムの連中に話に行くか」

「はい、お願いします」

シルビーも気になっていたのだろう、急に眼が輝きだした、可愛い、つい見とれてしまう

「早く行きたいと思っていたけど、高杉さんが忙しそうで」

「すまなかった、今日は大丈夫だ、買い物を済ませたら行こう」

女性の買い物は時間がかかると聞いたが、シルビーは遠慮しているのか、進んで選ばないので、店員に選んで貰いすぐ決まるので、時間はかからなかった、りりーは

「きれい、可愛い」

を連発しはしゃいでいたが、やはり小さいので決めることができず、店員おすすめで決まった、ほかに、女の子に何が必要か、俺には分からないので、いずれメイドの誰かに相談して買わせよう

ロイドは邪魔にならないように離れていたが、買い物が終わると肩を並べて来た、シルビーとリリーは後ろから付いてくる

「次は」

ロイドが聞くので

「この街のはずれにスラムがあるんだ、其処へ」

「今度は何をするんだ」

「ああ、ちょっとな、シルビー達が世話になってた場所だ」


スラムの代表みたいな人を探し話をする

「ありがとうございます、良い話なので、皆で移住することにしたいと思います」

「なんだか、決断が速いような」

「はい、その村はほとんどが、此処から行った人たちです、村が安全になったと、翌日には誘いの連絡が来ていたのです、だけど、元の仲間を疑うようですが、そんな簡単に安全な場所になるなんて、奇跡でも起こらないと無理だと、半信半疑だったのです、でも、あなたの話で嘘じゃない事が分かった、だからです」

「そうか、そうですよね、気がつかなかった、シルビー良かったな」

「はい、私と妹だけ楽な暮らしができるようになって、此処の人たちに申し訳ないと思っていたんです、よかった、此処にいる間は、周りのみんなにお世話になっていたから」

「うん、良かったな、ギルド長に頼んで、移住を手助けしてくれるよう頼んでおくよ」

「ありがとうございます」

「お前、こんな事までやってるのか、呆れた、これじゃあ将来、俺より忙しく成る事は必至だな」

「そんなことは無いヨ、俺に関りがある事だけだよ」

「性格的にそれでは終わらないだろうな、まぁ、俺が手伝えることは手伝うから」

「迷惑かけないようにするけど、もしもの時は頼むよ」

「分かった」

その後、何事もなく、四人で街を散策、ロイドは二日ほどのんびりして帰って行った


その後、ギルドから馬車などを手配してもらい、スラムの住人は居なくなった、スラムが無くなったというのだろうか

「スラムの後地は病害虫が沸かないよう、奇麗なに更地にしたよ、何れ村が栄えて農産物でも大量に取引できるようになったら、此処を取引場所に使えばいいよな」

いわば市長のような立場になったウィンが言う、本当にそうなってほしいものだ

「ところで栄太」

「何だ改まって、気持ち悪い」

「気持ち悪い言うな、実は領主の一件も片付いて、危険がなくなったが、あれはどうする」

「あれって」

「ミサンガとか言う奴、預かっているもの、貸してあるものをかえすか」

「どうしよう」

「実は、本当のことを言えば、騒ぎになるから、お守りとして暫くの間貸すだけ、と言う事で関係者に貸してsるんだが、評判が立っちゃってね、あれをしていると幸せになれる、と言う噂だ、強盗に襲われたけど逃げられた、魔物に襲われたけど逃げられた、言った効果で助かったのは分かるが、夫婦円満になったなんて言うのもあるんだ」

「へー、皆が幸せになるのに役立つなんて、いいじゃん、でも夫婦円満て分からないな」

「それが、話を聞いたら笑っちゃったぜ」

なんでも、酒癖の悪い男が、飲んでは女房に暴力を奮っていた、たまたま、その女房と言うのがギルドの事務員だったんだよ、ミサンガを借りた日、いつものごとく、酒を飲んで暴力が始まったんだが、ネグろうとするが動きが遅くなって、逃げられてしまう、、いつもの事なので、ただでさえ逃げるのが上手くなっているのに、動作が遅くなっている、女房も不思議に思ったが、この時とばかり、日頃の仕返しに、亭主の頬を往復の平手打ち、怒った亭主が殴ろうとするが殴れない、これが毎日続くと、さすがの亭主も毎日頬を打たれるのが嫌になり、酒は控えめ女房の言う事は聞くようになったそうだ、

「そんな噂が広まって、ミサンガのお陰と言う事で、欲しがる人が大勢出て来たんだが」

「でも、安易にそんなものを配ったら、問題だろう、其れと邪心を持った者には効果が出ないよ」

「勿論、言われたから知っている」

「考えておくよ、それまで預けておく」

「分かった、貸した物は回収しておく」


前世では、こんな穏やかな気持ちの時はなかった、生活の心配も、ノルマの心配もない、異世界に感謝だ

今、初めて一人で森に来ている、どんな魔物が出ても怖くはないが、一人森の中にいる感覚は初めてだ、孤独と言うか、自由と言うか、生きている実感がする、危険な森の中で、俺は正常じゃないのだろう

「くそ、負けるものか」

悲鳴に近い、そんな声が聞こえた、急いで声のした方に走る、樹木が疎らになって少し開けた場所で、少年が一匹のゴブリンと戦っていた、身長は百五十くらいのゴブリンだが、大人なら小さく見えるがだろう、少年には自分より大きいくらいだ、こん棒を錆びた剣で必死に受け、戦っていた、何とか互角の様子だが、いずれ物音を聞きつけて、ゴブリンの仲間がすぐにやってくるだろう

「お前一人か」

「一人だけど、手を出すな、僕一人でやっつける」

「馬鹿か、お前、すぐに仲間が何匹もやってくるぞ、じゃあ、俺は帰るからな」

何を慢心しているのか、懲らしめるため、怖い思いをさせなければ、分からないだろう、帰る振りをする、案の定、二匹にゴブリンが現れた

「ごめんなさい、助けてください」

悲鳴に変わった、持っていた件で素早くゴブリンをかたずけ、少年を小脇に抱え森の外に出る

「何と言う無茶をやっているんだ、俺がいなかったらお前は死んでいたぞ」

「すみません、仲間が食べるものが無くて、魔物を倒して売って・・・」

「仲間はどうしているんだ、みんなもう動けない、僕だけ何とか動けたから、何とかしようと」

「運がよかった、此処まで無事だっただけで儲けものだ」

「下を向いて蹲ってしまった

「歩けるか」

「もう、動けない」

「お前、名前は、年はいくつだ」

「ジン、十二歳」

「背負ってやる、立てるな」

フラフラと立ち上がり、向けた背中に倒れ込んできた、それを背負って歩き始める

「仲間は何人いるんだ」

「五人」

驚いたことに、領主の館の傍の空き家で暮らしていたようだ、そして、領主の家の残飯で生きていたらしい、豪華な暮らしをする、領主の所の残飯は、結構な御馳走が毎日出て、食べるのには困らなかった、それが、突然、領主が居なくなり、残飯は出なくなった

「親はどうした」

親は理由は分からないが、領主に捕まったまま居なくなったようだ、なんだかやりきれない気持だった

領主が知らぬ間に、初年たちをい生かしていて、それを止めたのが俺なんだ、結果的に、少年たちを苦しめてしまった事になる、俺がした事は間違ってはいないだろう、でも、何とかしなければ、背中で寝息が聞こえて来た、家の近くに転移する、ガルトにジンを預けギルドに行く、ギルド長に訳を話し、五人の子供を、収容するため手を借りる、五人は雨露を辛うじてしのげるような、空き家の中で横になっていた、良く生きていたと思う,家に連れて行き、面倒をシルビーやメイドたちに頼むと、ギルドに戻る

「この街には孤児院はあるか」

「無いヨ、あの領主だぜ、そんなことに金を使うかよ、だが、作らなければと思っている」

「速急に設立してくれ、資金は俺が出す、地竜の話はどうなった」

「王様が地竜を処分できるよう、大陸中の国に声をかけて、オークションを開く準備をしている、もう少し時間がかかるな、だが、地竜なら、お前が一生ぜいたくな暮らし、をしても、使いきれない金額で売れるだろう、其処から資金を出してくれるなら、先行投資で今から設立できるだろう」

「それから、例のミサンガだが、あれを使って孤児院の運営資金の足しにしてくれ」

「何もかも、お前一人に頼ってしまって良いのか」

「良いんだよ、少しでも世の中のためになれば」

ミサンガは一年契約で貸し出し、その貸し出し料金を孤児院の運営に充てることにした、そうすれば、毎年決まった金額が入ってくる、持つ人は保険に入ったようなものか、もともと俺にとって只のようなものだ、紐に念を込めるだけ、前世で言う技術料ということだ、もちろん街からの補助も出ることになり、即、建設をはじめることになった、街でも悪政のせいで孤児が増え苦慮していたそうで、資金の目途さえ立てば、話は早かった、家に戻ると、風呂に入れるのは、体力的に無理なので、体を拭いて、大人の上着を寝間着にして、安心したのか子供は眠ねむっているという、ほっと胸をなでおろし、ソファに座ると、シルビーが温かいお茶を持ってきてくれた、シルビーについてきたリリーが膝に乗ってくる、最近はすっかりなついてくれて、可愛くてしょがない

「栄太さんは疲れているんだから」

シルビーが言うが

「良いんだよ、これが俺の一番の癒しなんだから」

そう言ってリリーを抱きしめる

「あまり、りりーを甘やかさないでくださいね」

ロイドの補助もあったが、あれ以来シルビーが、俺の身の回りの世話を専門にやってくれるようになった、むなしい高杉さん、から、栄太さん、そう呼ばれるようになったのは、格段の進歩だ、虚しい思いの一日だったが、家に二人が居てくれることに感謝





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