表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
栄太の漫遊記  作者: ベン マウント
13/61

地竜

翌朝、村じゅう総出で見送られ森に入った

結局、名前も告げずに村を出た、村長は興奮のあまり、名前を聞いてこなかった、只の冒険者という認識だ、これでよかったのだ、グレンの言うには、こんな有り得ない機能の仕組みは、何れ、有名になる、これが一人の人間の仕業だとわかったら、栄太を世界中が狙って来る、奪い合いになり、国同士の戦争にもなりかねないことを遣ってしまったのだそうだ、軽はずみの人助けは、それ以上の不幸を、招きかねない事を肝に銘じた

薄暗い森の中は木が濃すぎて、俯瞰の映像は樹木が移るばかりで、役に立たない、久しぶりにチャッピーに相談だな

「チャッピー」

「何だ、長い間ご無沙汰だな」

「どうせ状況は全部見ていたんだろう、呑気にしていられてよかったじゃん」

「まぁ、そうだが、なんか用か」

「うん、俯瞰の景色が役に立たないんだ、空から見ても樹木ばかり移っていて」

「だったら、俯瞰からの熱感知にして、気配察知能力の感度を挙げればいいだろう」

「なるほど、さすがチャッピー」

「眠るぞ」

「ありがとう、どうぞ」

気配感知の感度を挙げると、周りに多数の魔物の気配分かる、俯瞰の熱源探知には位置が赤く映る、小物の魔物に対応は面倒なので、強めの威嚇をまとって進む、それでも襲って来る魔物は結構大物の部類なので、三人で協力して倒して進んだ、目的地を決めてあるわけでは無いが

「どこまで行くんだ」

聞くと

「この辺までは来たことがある、もう少し先まで行ってみたいが、いいか」

「別にかまわんよ」

ゴルドも

「俺もかまわないぜ」

「じゃあ、行こうか」

グレンを先頭に俺、ゴルドと続く

「気配の強いのが五体、もう少しで遭遇するぞ」

「わかった、栄太がいると助かるな」

静かに、気配を立ち近づく

「オーガだ一体はオーガキング、俺たち三人でもやっかいだぞ、どうする」

グレンが言うゴルドが

「とても無理だな、引き上げよう」

俺は、問題ないと思ったが、口を出さず、引き返しはじめたが

「ガウー」

後ろからうなり声

「不味い、きずかれた」

グレンの言うようにオーガの巨体が見えている、日本でいう鬼だ、あっという間に囲まれてしまった

「終わった」

ゴルドが言う

「こうなったら、俺たちが気を引く、栄太だけでも逃げろ、ゴルド良いな」

「おお、せめて栄太だけでもな」

グレンが

「俺の我儘に突き合わせた為に、すまん」

「なに、この世の終わりみたいなこと言ってるんだ、俺に任せろ」

オーガは少しは知恵があるのか、周りを取り囲んだまま、獲物がどう動くかみている、困っているのを楽しんでいるように見える、オーガキングだろう、ひときわ大きな一体はニヤリと笑ったような気がする、冗談じゃない、戦闘モードになる、オーガたちはいかに大きくても、俺にとっては、只立っているだけの木偶の坊に過ぎない、まずオーガキングのこめかみに剣をお見舞いするが、硬い、剣がはじかれた、オーガキングは打撃を感じたらしく、首を揺らすと俺を睨み、大きな拳が飛んできた、それを躱し、体に金剛と剛力をまとう、オーガキングの拳を躱した流れで、跳躍こめかみに剣をたたき込む、小さな俺を殴るため屈んでいたオーガキングは、そのまま倒れ込み動かなくなった、他の四体はそれを見て固まっている、その間にこめかみに延髄に剣を刺し込み四体を倒した、その間一分程だろう

「ふー」

金剛と剛力を解く、体が柔らかくなったのを実感する

一息つく、グレンとゴルドは、目を見開いたまま彫像と化している、いつまでも動かないので、二人の頭にチョップする、やっと動き出したグレンが

「どこまでも、化け物だな」

と呟く様に言う

「いや、比べたら化け物がかわいそう」

「どういう事だよ」

「もう、何も言わん、何でもありだ、栄太のやる事に耐性を付けなくては」

「帰るってもんだろう」

「ああ、一度気分は死んだからな、さすがに疲れた」

五体を収納すると

「帰るか」

振り向いてさすがに、ぎょっとした、オーガの対処で全く気がつかなかった

「今度こそ終わった」

オーガなんてものじゃない、顔だけでオーガくらいある、トカゲのような顔があった

「おい、こんな所に地竜なんて、聞いたことないぞ」

「俺も」

そう言いながら、二人とももうおしまい、という顔で俺を見ている、さすがに無理だろうと言う事だ

歯向かうとおもっていない、只の餌だと思っているのだろう、ノソリと一歩地数いてきた、跳躍して頭の上に飛び乗る、再び金剛と剛力をまとう、振り落とそうと頭を振る、多数ある突起につかまって耐える、指先に集中ビームの出力を高め、脳に向かって放つ、ずっしん、と音を立てて頭が落ちた

二人は何も言わなかった、全長二十五メートルはあるだろう地竜を収納し

「帰るか」

物言わぬ二人は無視して帰路に就いた、名前を聞かれたり、またもお祭り騒ぎにならないよう、村には寄らずに帰ることにした、街に帰るまで二人は失語症と言う病気にかかっていたようだった

一晩野宿して帰ったのだが、何で俺が口も聞いて貰えず、気まずい思いをしなければならないのか、そう思った

「栄太、ゴルド、今回の事一切誰にも話すなよ、俺はギルド長の所に行ってくる、初めて口をきいて、誰にも話すなって


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ