ゴルド
非常に濃い内容の三日間だった、前世とは比べようもない展開だ、二日で国王様と知り合いになり、国王が頼りにするってどんな存在よ、よく脳が絶えていると思う、トラブルは全て避け、目立たないように、地味な仕事を必死で生きていた、世の中の底辺の存在、そんな人生を歩んでいた、どちらかと言えば情けない男が、パニックにならないよう、あらかじめ知識を脳にあらかじめ送り込んでくれたのだろう、誰の仕業か未だに分からないが、感謝しなければ
住む家も決まり、今日こそ依頼を受けて稼がなければ、朝起きてギルドの食堂で朝食を済ませ、受付のカウンターに向かう
流石に朝は人が多い、三人の受付に行列ができている、登録の時の女性の列につく、暫くして順番になった
「いらっしゃいませ、今日はギルド長の所はいいんですか」
「皮肉なの」
「いえ、ギルドに来てもここに来たのは、登録の申し込みの時だけですよね、後はグレンさんとギルド長以外用が無いのかと」
「それを皮肉というんだよ、冒険者が依頼も受けないんじゃ登録の意味がないだろう」
「わかるんだ、皮肉が」
「冗談言ってないで、聞きたいことがあるんだ」
「何でしょう、ギルド長に聞けばいいのに、私でいいのかしら」
「まだ言ってる、とにかく、登録して初めて依頼を受けたいのだけど、如何すればいいの」
「あそこに、掲示板があるでしょう」
指さす方を見る、掲示板があり、大勢の人が見ている
「ああ、分かった、あそこで見て」
「ランクにあった依頼を剥がして、此処に持ってくればいいの、ランクに見合わない危険とみなしたら、許可はしないですけどね、貴方なら制限はないでしょう、見て来て下さい」
掲示板を見ていると、小説ではお決まりのストーリーが来ちゃった
「見ない顔だな、俺が指導してやろうか、新人だろう」
見た目四十くらい、身長百八十以上ありそうな大男、筋肉隆々、前世なら脱兎のごとく逃げるか、いいなりになるか、今は
「いや、新人だけど良いよ、俺は一人が好きなんだ」
「何だと、人が親切に言っているのに」
ここまで定石どおりとは
「お断りします」
「貴様」
「やめとけ」
グレンが立っていた
「グレンさん」
「指導を無理強いするな」
「でも、こんなひ弱そうな奴、一人でもし何かあったら、目ざまが悪いじゃないですか、一緒に行って無理なようなら、諦めさせなければ諦めさせなければ、命は一つしかないから」
定番じゃなかった,優しいんだ
「ありがとうございます、でも、大丈夫ですから」
「栄太、こいつはゴルドっていうんだが、昔、友達を無くしているんだ、新人の頃に、それで新人が現れると、こう捨ているんだが、俺と同じで口下手でな」
「グレンが口下手とは思わないけどな」
「相手をしてやってくれるか、ゴルドが納得するように、ちなみにゴルドはBランクだ」
グレンの言うのもわかる、ゴルドの優しさに免じて相手をするか
「分かった、訓練場でいいんだな」
グレンが頷く
訓練場に移動しゴルドと対峙する
「何時でも良いぜ」
まだゴルドは自分が有利だと思っている、朝ギルドにいた、ほぼ全員が来ているだろう、結構な観衆が固唾を飲んで見守っている
「俺を安心させる腕前を見せて見ろ」
「行きます」
素手でもいいが、また怒らせるといけないので、模擬刀をもって構える
多分栄太の姿がブレた様に見えたと思う、念じると異次元から相手を見る形になる、素早く動くと相手はブレた後見えなくなり、止まった場所で見えるようになる、現実には瞬間移動した様に見えるのだ、グレンの時のように小手を打つ、ゴルドは持っていた模擬刀を手から落とす
触れるほどの傍に移動している栄太を見て、一瞬固まっている
「お前、何をした」
「俺の勝ち」
そう言うと、案の定
「もう一度」
納得がいかないようだ
「今度は俺から行くぜ」
言うなり大上段で切り付けてきた、異次元から見る栄太の目には、スロービデオを見ているように見える、きりきりの所でかわす、空を切った剣を横に振る、剣先ギリギリまで移動してかわす、今朝洞に来た剣を上から叩く、現実には物凄い速さで打ち下ろされた、剣の勢いにゴルドは再び剣を手から落とす
呆然として落ちた剣を見つめている、シンとしていた観衆がワ~と騒ぐ何を言っているのか分からない、騒ぎが収まるのを待って
「まだやりますか」
ゴルドは首を横に振って
「勝負にならねえよ、お前、遊んでるだろう、腹が立つ」
「いえ、真剣です、只、けがをさせないように気を使ってます」
「畜生、腹が立つがみとめざるをえねえ、グレンさん、知ってたんだよね、」
「ああ、俺もやられたよ」
「グレンさんが、そうなら俺なんて、馬鹿に見えたでしょう」
「いや、栄太は化け物だから」
「化け物以上ですよ」
「おい、何で俺が化け物呼ばわりされなきゃいけないんだ」
「化け物は化け物さ」
二人で頷きあって、歯が立たない事への鬱憤を晴らしているようだ