降りれない木
「とりあえず、ここから出たいどうすればいいんだ?」
俺はコトハにそう問いかける。こんな高いところから降りられる手段はそう多くない。できればエレベーダーやエスカレーターがあればいいのだがそんなものはないだろう。はしごかそれに類するものがあればいいのだが俺は急に嫌な予感をひしひしと感じ取ってきた。
「あ...」
コトハは少し声を上げて深く考え込んでしまった。
ふわふわと物憂げに考え込んで飛んでいる姿は妖精にふさわしい神秘性を俺に感じさせた。でも他に絶望も与えてきた、そう妖精は飛ぶのである。木にはしごなんて作らないね、しょうがないね。
「嘘だろ?ここから降りるって木登りとかそんなレベルじゃないぞ、崖下りだ。」
俺は少し前に見せられた光景を思い浮かべながら、ここから降りるための脳内シュミレーションを実行してみた、結果はすべて落下死だ。
「あわわわあわ、なにか、なにかいい方法はしってませんか?」
コトハは慌てていて役に立たない。異世界に来て木から降りられなくて速攻で帰るとかすごく嫌だ。
せめて観光くらいしてみたい。今のままでは叶わなそうだが。ボルダリングとかやってみたら降りられたかなあ、とか思考を巡らせながら下の方に足を引っ掛けられそうなものなどを探しているとなんだか怪しい集団が凄く大がかりなはしご?あれは攻城兵器の櫓みたいなものだろうか、それをこの木につけて上の方に登ろうとしていたのである。
「おーい、コトハさんあれはなんだい?」俺は少し離れたコトハに呼びかけるとコトハはふわふわと飛んできて、それをみてこう叫んだ。
「あ、あれは枝泥棒です!!!!!」