世界樹にて
「何ってるんだ?召喚って。」俺は女の子に尋ねることにした。
「召喚は召喚です。お母さんが急に『世界が滅ぶからそれを止められる人を召喚する』って言って、準備して、そして死んじゃったの。」未だに嗚咽などを漏らしながら少女が答えたものをまとめるとこんな感じだった。
冗談を言ってると思いたかったが、目の前にいる少女明らかに羽が生えていて更になんか周りがおぼろげに光っているという他にも色々あるが明らかに人間ではないと思われる特徴があったことや、他に周囲に可愛らしい15cmもない妖精のような人形の半透明な存在が女の子の母親の死を悼むようにくるくるとまわりながらきれいな光景を作り出していて少なくとも俺を騙すためだけにこんな手残ったことをできる知り合いには心当たりがなかったこと、極めつけはここの場所だ。
そう、ここは異世界のエルフの森を含んだ巨大な森林地帯らしく、そのなかでも今いる木は世界樹と呼ばれるでかいでは済まないくらいの巨木だ。ビルの50階くらいはあるのではないか?そのくらいでかい木の頂点に近い位置にあたる枝と葉で構成された部屋だったのだ。外の様子を見せてもらったが見渡せど見渡せど木しかないこの光景に圧倒されるばかりだった。
こんな所地球にあるのか知らないし、あってもほぼほぼ一瞬で東京からここに連れてこれるわけがない。
数々の神秘的な光景や事実を見せられて少なくとも女の子の話を頭ごなしに否定することを自分の中の何かが拒否し始めたため、さらなる状況確認のため俺、赤坂 勇輝は目の前の、世界樹の魔力から生み出された妖精の女の子、ことはの話を本格的に聞くことにしたのだった。