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砂鯨が月に昇る夜に  作者: 小葉 紀佐人
最後の一撃
87/93

27-3


曲刀が深く突き刺さった外骨格に広がるヒビから金色の光が溢れ出し


月明かりの眩しい夜空をより一層輝かせながら


『ソレ』は粉々に砕け散った


落ちてくるシグ


しかし力を使い果たしたのか、上手く身を翻せず


バサロにお姫様抱っこのようにキャッチされた


「よっしゃぁああ!!後はコイツだけだガ!!」


この状況を理解しているガラムだけが拳を振り上げて喜び、目の前の大黒海に持っていたブーメランをかざす


カザもシグもバサロも、大黒海に目をやると砂鯨達が大黒海に噛り付いている異様な光景に言葉を無くす


「…ど、どうなってんだこれ」


バサロの腕から優しく降ろされたシグは、フラフラになりながらも大黒海を見据える


「分からない…けどまだ終わって無いんだ……」


横に立つカザは、『赤い何か』を倒せたのに未だに暴れる大黒海を見て、気を緩める訳にはいかない事を知る


その言葉に、少し辛そうにカザを見るシグとバサロだったが


防壁の後方


シャングリラの一部の巨大な船が


音を立て、まるで大きな口を開くように


主砲を剥き出しにさせた


「待ってたぜアズー!!」


叫ぶシグ


主砲がエネルギーを溜め始めた


その時だった


ベチャっ!!


ベチャっ!!


防壁の上に


『赤い何か』が


2体現れ


挟まれた


唖然とするカザ達


「…1匹だけじゃ…なかったのかよクソがっ!!」


「お前ら…絶対シャングリラには行かせない!!」


「うぉぉぉおおお!!」


武器を構え、満身創痍の軋む身体を動かして


3人は『ソレ』に向かって行った




「第1っ!第2コア!共に充填率100パーセント!!いつでも行けるわっ!!」


「はいっ!!」


ルーペの報せにアズーはすぐにリンクシステムを作動させる


それは旧式の時と同じやり方で、ジャリハートのリンクシステムを起動させたままコアとコアの間に持ち上げて繋げるやり方だった


しかし


「…あれ?……あれ!?」


動かないリンクシステムに焦りを隠せないアズー


「動かないの!?」


ルーペの質問に無言で頷くアズー


外の様子を映したモニターには、必死に防壁の上で戦うカザ達の姿が見えていた


アズーはバッと顔を上げると走り出し、アマンダの乗っていたアーム付きの重機を借りてコアに向かって走り出す


「ちょっと!!あんた死ぬよっ!!」


アマンダの制止を無視してリンクシステムに激突したアズーは、アームでリンクシステムを掴むと上へ上へと持ち上げようとする


ギシギシと金属が歪む音が響き、溢れ出したエネルギーがアズーを襲う


「止めなさいっ!!どれだれの力が出るのか分からないのよ!?…アズー!!」


ルーペは声を枯らしてアズーに叫ぶ


ゾイを抱えたティトはどうしたらいいかもわからず、ただ心配そうにアズーを見ていた


「…みんな…みんな!!命を賭けて!…ボクを待っています!!ボクだけ!…ボクだけ命を賭けないなら!!そんなのは!!友達の資格…無いっ!!」


必死にリンクシステムを持ち上げようとするアズー


その姿を見て、ティトはゾイをそっと床に寝かせて走り出す


もう一つのアームの付いた重機に乗り込み、アズーの隣に着けると、同じようにリンクシステムを持ち上げる


「ティト!!」


止めようとするレンチ


「お願いっ!!やらせて!!…私だって…みんなの友達だものっ!!」


アズーとティトは重機のエンジンをふかし、最大出力で持ち上げる


軋むアームとリンクシステムを固定する金属が音を立てて歪んでいく


「「上がれぇぇぇえええ!!」」


メキメキとナットやビスが弾け飛び


2人はリンクシステムを所定の位置まで持ち上げた瞬間


全ての音が消え


青白い


歪みや濁りの一切無い超高密度の光のエネルギーがコア同士を行き来する


ルーペを見るアズー


それに気づいたルーペは


ルナバーストの発射スイッチを


押した



外の大黒海は、リンクシステムが成功した瞬間


2つの大きな触手から光の玉を作り出し、放電させていた


何かを


感じ取ったかのように


外でも同じだった


全ての音が消え


全ての人間が主砲に目を奪われていた


誰も見たことは無いが


例えるならば


まるで宇宙で星が生まれる瞬間のような


音の無い


しかし美しく


果てしない程の力が


主砲から放たれた


防壁の上の『赤い何か』はその余波だけで跡形も無く吹き飛び


それは容易く大黒海の作り出した電磁フィールドを破った


そして


大黒海を貫く


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