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砂鯨が月に昇る夜に  作者: 小葉 紀佐人
最後の一撃
86/93

27-2


起動したジャリハートのリンクシステムはコアとコアの間で光を放ち、ルナバーストのコアも起動して充填を始める


さっき現れた腐者は、レンチや他の整備士達に消火器でメッタメタに凍らされてどこかへ運ばれて行った


ゾイを抱きかかえたティトは、力無くぐったりとするゾイの身体を見る


顔から首もとにかけて黒いシミのような侵食がゆっくりと広がって行くのが見える


「…何でこんなにゆっくり……」


ティトはゾイのどこかから漏れる光を服をめくって確かめる


ゾイのお腹のあたりに、よく分からない光の模様が浮き出ていて、どうやらその光の力のお陰で侵食が遅くなっているんだとティトは思った


それでも侵食はゆっくりだが確実に広がり、ゾイも苦しそうにしている


「…お願い……みんな…早くっ……」


ティトはゾイを抱きしめる力を強めた



外の砂漠は青く光り輝き、防壁の上に立つカザ達を下から照らしていた


黒い人型の『ソレ』は何度も立とうとしたが上手くいかず、諦めたのかドロドロの液体に戻ると、中にいる『赤い寄生虫』の体に沿うような形状になり、頭部に一本の長い角を生やした


触手の先端を針のようにして地面に突き立て立ち上がる


その間に先頭をシグ、真ん中にカザ、その後ろにバサロと前後にフォーメーションを組み直して3人は武器を構えた


形状を変えた『ソレ』から発せられる殺意


しかしそれに臆する事無く、腰を落として睨みつける3人


風が


止んだ


一気に距離を詰める『ソレ』に向かって行くシグ


不規則な突然の加速で放たれた頭部の角の鋭い突きをシグは咄嗟に曲刀の腹で受け流すが、体勢を崩して『ソレ』の後方へ転がり避ける


『ソレ』はシグに見向きもせずにカザ達の方へ走り抜ける


空かさず走り込んだカザの鋭い突きを高く跳躍して避けると、そのままバサロに触手の針を伸ばす


ひとつ


ふたつを避け


バサロはそれ以外の触手を拳で砕く


露わになった触手を鷲掴みにして引き寄せると、頭部の顎に強烈なアッパーを叩き込む


メキッと内部の『赤い何か』に深いヒビが入り、そのまま上空に吹き飛ぶかと思われたが、『ソレ』は鋼鉄の防壁に触手を突き刺し伸び上がった所からゴムのように縮み、頭部の針でバサロに迫る


一瞬の判断の遅れ


バサロはアッパーの体勢からそれに対応出来ない


迫る頭部の針


バサロの眼前に迫ったその時


『ソレ』はグンッと


後方へ引き寄せられる


打棍技 奥義 『乱れ雪月花』


『ソレ』の真後ろで放たれたカザの奥義


避ける間も無く狩猟棍の嵐のような打撃に、黒い腐者の部分も、触手や硬い外骨格までも打ち砕かれていく


そしてカザは『ソレ』を空へと打ち上げた


その瞬間だった


防壁の目の前の大黒海


その周囲の光り輝く砂漠の中から


砂鯨達が現れて大黒海に噛み付いた


踠き暴れる大黒海を8頭、いや10頭程の砂鯨達が、まるで取り押さえるように四方から噛み付いて離れない


その光景に触手とひとり戦っていたガラムは驚き、カザ達の方を見る


打ち上げられた『赤い何か』


それを追うように飛翔する黄色い光


曲刀 奥義 如月きさらぎ


刃は赤く、しかし曲刀自体は黄色く輝きを放ち


打ち上がる流星の如く『ソレ』に曲刀を深く、突き刺した


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