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砂鯨が月に昇る夜に  作者: 小葉 紀佐人
繋がる心
83/93

26-2


「ヤツら一体何と戦ってる!?それに…」


紺色のエアリードで大黒海の周りを旋回するゲイルは腐者とは何か違うものと戦うカザ達と、月の光では無い砂漠から発せられはじめた淡い光に困惑していた


「彼らはここでするつもりなのか?…『月登り』を…」


ゲイルの目線の先、少し離れた場所で回遊する砂鯨の群れが、満月の光に呼応するように体から放つ光を強めていた



ジリリリリリリィ!!と機関室にたどり着いたエレベーターが到着のベルを鳴らしてシャッターが開くと、ティトとアズーとゾイが飛び出した


それに気づいたアマンダとレンチとルーペ


「ティトちゃん!!」


「ルーペ!!」


走り寄るルーペを抱きしめるティト


それに近寄るアマンダ


「ったく心配させるんじゃ無いよっ!!」


ルーペの上からティトを抱きしめるアマンダの目は少し潤んでいた


「ごめんなさい…反省は後でするから、今は急いでやってもらいたい事があるの!!」


そうティトが言うと、後ろから謎の機械を抱えた眼鏡の少年が現れた


「あ、あの!皆さん始めまして!!あのですね!ティ、ティ、ティ」


「ちょっとアズー、落ち着いて!ちゃんと話せばみんな分かってくれるから!!」


緊張でうまく話せなかったアズーは一呼吸置いて眼鏡を直す


「このルナバーストを!僕が開発したリンクシステムで強化します!!」


そう言って腕に抱えたジャリハートのリンクシステムを前に出す


「ルナバーストのコアは残り2つですよね!?」


「え、えぇ。確かに2つあるわよ?」


矢継ぎ早なアズーの言葉にアマンダもちょっと困惑しながら答えていたが、ルーペはアズーが見せるリンクシステムをマジマジと見つめると「ちょっと見せて!!」とアズーの腕からもぎ取り床に置いてバラシ始めた


アズーが何か言う前に手持ちの工具でどんどん分解していくルーペ


「…リンク……リンク…ジャイロシステムをこんな形で繋げるなんて……」


リンクシステムをバラすのに夢中になっていたルーペが突然顔をあげてアズーを睨みつける


「あなたがコレを?」


「あ、え、まぁ…僕が、作りました」


その言葉にあからさまに悔しがり「くぅ〜!!」と変な声をあげるルーペはひとしきり悔しがった後、すっと立ち上がった


「認めるわっ!!私以外にこんな天才がいたことをっ!!…構造は分かりました!あなたはコレをルナバーストのコアでやりたいんでしょ!?」


そう言われ、うんうん頷くアズー


「なら手伝って!!」


アズーはルーペに手を引かれて機関室の倉庫のような場所へと連れて行かれてしまった


それを心配そうに見つめるアマンダとレンチ


「大丈夫。アズーは私が出会った2人目の天才なんだから!!」


誇らしげにそう言ったティトに、アマンダとレンチは「おっしゃぁあ!手伝うか!!」「当たり前じゃないのさっ!!」と2人の後を追って行った




「うぉおおおおらぁ!!」


雄叫びを上げて黒い人型の『ソレ』に殴りかかるバサロ


父親のバサラから授かったメタルナックをはめたその拳は、背中の針の様な二本の腕に阻まれるが、バサロは引くこと無く拳の連打で背中を狙う


そこへカザとシグが交互に上下左右から絶妙なコンビネーションで正面を責め立てる


少し離れた場所ではガラムが未だに触手を伸ばそうとしてくる大黒海と一人で対峙していた


「くそっ!!キリがないガ!!早く仕留めるガ!!」


横目でカザ達の戦いを見るが、3人がかりでも決定打を作れずにいた


3人の攻撃を見事に防いだ『ソレ』は、体を回転させて3人を吹き飛ばす


「…はぁ、はぁ、はぁ」


「くそっ、はぁ、はぁ、コイツ…何もんだマジで…はぁ」


「はぁ、武器を交えたから分かるけど…コイツは…武術を知ってる」


3人は中身が得体の知れない寄生虫のような存在に、どこか武闘家の達人と相対しているような感覚を覚える事に困惑していた


「大黒海といい、『コイツ』といい。都合が良すぎるんだよ!!…テメェは誰だっ!!」


叫びと共に飛び出したシグ


素早く独特な足捌きで『ソレ』の両腕から放たれる突きをかわして懐に入ると、胸に曲刀を突き立てた


が、硬く硬質化した皮膚に阻まれる


「くっそ!」


シグはそのまま曲刀を下に振り抜き迫る右腕をかわして飛び下がる


しかし左腕の突きがシグを追い


シグの眉間に刺さる


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