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砂鯨が月に昇る夜に  作者: 小葉 紀佐人
本当の敵
80/93

25-3


鋼鉄の防壁の上


目を瞑り、ゆっくりと狩猟棍を回し始めたカザ



「ねぇ、どうしたら強くなれるの?」


まだ幼いカザは家のテーブルでナザルと夕食を食べていた


「んー…強くかぁ、大人になれば誰だってそれなりに強くはなる。だけどなぁ、武術っつーのは力だけじゃ強くはなれねぇんだ」


「じゃあ何があれば強くなれるの?」


そう言われ少し考えたナザルはカザの胸に拳を伸ばして優しく当てる


「ここと、集中力だ。その2つが研ぎ澄まされた時、お前は誰にも負けねぇ」


「………わかんないょ」


触れられた胸を押さえながら考えてみたが、その時のカザにはまだ分からなかった



目を閉じても視える大黒海の中の『何か』に意識を集中しながら、カザは狩猟棍を縦横無尽に回転させてその速度を上げる


カザの周りの空気が張り詰めていき


足もとの砂利や小石が宙に浮き上がる


その横でジャリハートに跨ったまま光だしたバズーカを構えるシグ


「…こないだの借りは…返してもらぞ」


静かに狙いを定め、ゆっくりと呼吸を止める


高く跳躍して壁に飛び乗ったバサロは瓦礫を担ぐと、全身の筋肉に力を込めた


引き金を引いたシグ


放たれたリンクボムは、紫色の光の帯を引きながら大黒海の顔に直撃し、眩い光と爆音が響くと下顎だけを残して頭部は跡形も無く吹き飛んだ


瞑っていた眼を見開き、カザは左足を踏み込むと横一閃に狩猟棍を振り抜く


上段 砂の型 真空波


力技 隕石投げ


ナザル程大きくは無いが力強く鋭い真空の刃と、音速を超えた衝撃と共にバサロの手から放たれた瓦礫は、大黒海を突き抜け赤い『何か』まで真っ直ぐに突き進む


が、『何か』は大黒海の中を泳ぐようにひらりとかわす


シグは直ぐにバズーカを開くと、新しいリンクボムをセットする


「…やっぱな、再生が早い」


シグは吹き飛んだ根元から湧き上がる腐者を見てバズーカをコックし、カザも狩猟棍を再び回し始めた時


大黒海の太い触手の2本が解け、無数の細い触手をブワッと広げて鞭の様にしならせ、それに身構えるカザ、シグ、バサロ


その根元をキラッと光る物が通り過ぎ


左右の触手がバラバラと地面に落ちていく


何かと思い横を見る3人


そこには帰ってくるブーメランを見事にキャッチしたガラムがいた


「お前ら手を休めるなガ!!本体はあの赤い奴だガ!!どんな状態でも気を抜くなガ!!」


ガラムがそう叫んだそばから大黒海は右側の奥から太い触手を伸ばして、カザ達に迫った


カザの真空波がソレを縦に斬り裂き、シグの放ったリンクボムがその間をすり抜け爆発すると、太い触手が弾けて短くなった部分がのたうち回る


お互いに一歩も譲らない攻防に


砂漠の空気が緊張で満たされていく



「ちょっとぉ〜!!どうなってんのよ!!」


ティトとアズーとゾイはシャングリラの中、ルナバーストの機関室に繋がるエレベーターへと走っていたが、そこに通じる通路の隔壁がどこも閉じてしまっていて先に進めずにいた


ティトは閉じた隔壁の横に設置された艦内通信機のボタンに飛びかかる


「ちょっとイオ!!これじゃあ機関室に行けないじゃない!!」


『すみません、その先には侵入した腐者がいるので開けられません』


「じゃあどうすれば良いのよ…」


思い悩むティトを心配そうに見つめるアズーとゾイ


しかしティトはハッと顔を上げて通路の上をキョロキョロと見始めるとまた艦内通信機のボタンに飛びついた


「ねぇ!この通気用のダクトはエレベーターの前まで繋がってるの!?」


扉の近くでこちらを見ている監視カメラから分かるように指をさすティト


『ちょっと待ってください…ええ!確かに繋がってます!ですがエレベーター前の通路には腐者が三体いますよ!!』


ティトはそこら辺に置いてあった木箱を台にしてよじ登ると、ダクトの網を持ち上げた


「そんなのエレベーターに乗ったもん勝ちっしょ!!」


意気揚々とダクトの中へと入っていくティト


それを見てちょっと嫌そうな顔をしてお互いを見るアズーとゾイ


「ちょっと!!何してんの!?早く来なさいよ!!」


ダクトの中から怒鳴るティトにケツを叩かれたアズーとゾイは、慌てて後に続いた


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