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砂鯨が月に昇る夜に  作者: 小葉 紀佐人
消える希望
77/93

24-3


「どうするよ!?このまま突っ込むったって俺ら無事じゃ済まねーぞ!?」


そうシグに言われ、こっちを向いている大黒海に突き進みながら考えるカザだったが、大黒海は待ってはくれない


大黒海の身体の一部がピカッと光った瞬間、カザもバサロもそれを左に避けていく


放たれたレーザーは砂鯨たちに直撃するが、身体から発せられる青白い光に弾かれて四散すると、気にするそぶりも見せずにカザたちを追って左へとついてくる


タンクからアズーが叫ぶ


「このまま左から大黒海の目の前まで行って!!リンクで加速して後ろへ回りましょう!!あの壁と大黒海の間をすり抜ければ!!砂鯨と大黒海は鉢合わせます!!」


「…分かった!!」


大きく右の方へ膨らみながらも向かって来る砂鯨を大黒海は何度もレーザーで攻撃するが、その全てを弾き返しながら砂鯨たちは爆進する


近づいてくるジャリハートとサンドバギーを、大黒海は細い触手を鞭のようにしならせて構える


「…なぁ、アイツデカくなってね?」


「は、離れてて分からなかったですが、確かに大きくなってますし形も変わって…ますね」


シグの質問に答えたアズーは、目の前に迫る大黒海の禍々しさに隠していた恐怖がじわじわと湧き上がるのを感じた


「こ、こんなやつと戦うなんて知らなかったギャ!!も、もももうここでいいギャ!!降ろすギャ!!」


急に暴れ出したゾイを抱えて抑えるガラム


「ゾイっ!!腹括くくるガ!!ここで逃げたら村には帰れんガ!!…俺たちは…戦士だガ」


ガラムのその言葉に、ゾイはハッとなり落ち着きを取り戻す


「…そうだギャ…ゾイもゲグ族の戦士…生きて村に帰るギャ」


腹を括ったゾイはガラムの膝から降りてシグとガラムの間に座り目の前の大黒海を睨む


「ティト!アレがシャングリラ!?」


カザは大黒海の後ろの高台に目をやる


「そうっ!あそこにいるみんな…私の家族!!」


その言葉を聞いたカザは、目の前の大黒海に視線を落とす


「なら、早く帰ろう!!」


「うんっ!!」


ティトはカザの腰に回した腕をギュっと強くした


「みんなっ!!行くよっ!!」


カザの声に全員無意識に歯を食いしばる


「せーのっ!!」


カザとバサロは同時にリンクシステムのレバーを引き


ドンっと並走した車両は加速し


大黒海の目の前を通り過ぎる


そのすぐ後ろの地面を打ちつけ砂を撒き上げる触手


それは執拗に追ってくるが、ジャリハートとタンクのスピードについてこれない


大黒海の真横にすり抜け、飛んでくる腐者の針を避けて後ろに回る


巨大な鋼鉄の壁と大黒海の間をすり抜け、付いて来ている砂鯨を確認しようと大黒海の真横に出ようとしたジャリハートとタンク


っ!!!!


目の前に大黒海を避けた砂鯨の一頭がカザたちの方へ向かって来る


カザは避けようとハンドルを切る


砂鯨はガバッと口を大きく開き


ジャリハートとタンクは


避ける事も出来ずに


バフンっ!!と砂鯨の口の中に飲み込まれて行った


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