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砂鯨が月に昇る夜に  作者: 小葉 紀佐人
古代兵器
70/93

22-2



『提督っ!!提督っ!!』


『もうちょっと変わりなさいっ!!…ゲイルっ!!いつまで呆けてんのっ!!アイツが来てるのよっ!!戦うんでしょっ!?』


シャングリラに設置されたスピーカーからアマンダの声が響き渡り、ハッと我にかえる提督


夕陽に目をやると、夕陽の中に浮かぶ黒い体躯が陽炎によって揺れている


「…すまんっ!今すぐ行く!!俺がエレベーターに乗ったらすぐイージスを作動させろっ!!」


そうシャングリラに向けて叫んだ提督ことゲイルは、シャングリラから降りて来ているエレベーターへと走り、中に入ると同時に上昇ボタンを押した


ゆっくりと上がっていくエレベーターから見える崩壊した街の至る所の地面が割れ、そこへ砂が流れ込んでいく


割れ目は広がり、中から銀色に輝く四角い巨大な物体が4つ現れた所でゲイルはシャングリラの中へと消えていった



「ったく心配させんじゃないわよっ!!」


シャングリラの司令室では不機嫌なアマンダとそれを気にする余裕も無く情報を集めるイオは、砂漠に向かう形で設置された様々な機器を見ながら3人のオペレーターと交互に話し合っている


それとは別に、2つの持ち手がセットされた机の椅子に座る頭の毛が一本も無いピクルと、天才科学者のルーペが何やら口論をしていた


「ですから何度言えば分かるんですか!?こっちがX軸でこっちがY軸なの!!」


「だからエックスとかワイとか言われても分かんねーんだよ!!」


「…デモデモ級のバカですね」


「何だって!?」


「…デモバカ」


とさっきからずっとこの調子だが、そこへゲイルが駆け込んで来る


「遅いわよっ!!こっちは準備万端なんだからねっ!!」


「悪い悪い」


そう言ってホログラムの大きな枠の中に望遠レンズで映し出された大黒海を見た瞬間、ゲイルは息を飲んだ


「…これは…大黒海なのか?」


「ええ、7年前のアレとはかなり風貌が違うようね」


ゲイルの隣に並んで映像を見るアマンダは、眉間にシワを寄せそう呟く


映し出された映像には太い触手を無数に生やし、それを後方になびかせながらこちらへ向かって来ている


「恐らく砂の街バルウとの戦闘の後、変化したのでしょう…大きさも、磁場異常も7年前のデータの倍近くになっています」


情報の確認が取れたイオは冷静に状況を説明する


「…分かった。だがこのまま無駄に近寄らせる訳にもいかない。イオ、イージスシステムを作動させろ。まずは『ほこ』だ」


「はい、イージスミサイルシステム。起動!」


イオの指示に従ったオペレーターが電子機器を操作すると、窓から見えている銀色の四角い物体の2つが割れてT字の形に変形すると、中から大量のミサイルが現れた


「照準器、目標捕捉。いつでもどうぞ!」


「撃て」


オペレーターはゲイルの指示とほぼ同時にミサイル発射ボタンを押した


並べられたミサイルは各砲台から6基、全部で12基が端から順に勢いよく発射され


4キロ先の大黒海へと突き進む


着弾と同時に円形の光が無数に輝く


12基全てが命中し、遅れてやってくる鈍い破裂音が司令室に響いた


映像では舞い上がる砂でよく見えないが、一瞬見えた大黒海の損傷した姿に司令室、そしてその映像を見ていたシャングリラの乗組員たちからも歓声が上がる


がゲイルは直ぐに指示を出す


「次弾装填!残りのミサイル全て撃ち切るまで攻撃を休めるな!!」


「はいっ!!」


オペレーターはゲイルの指示通りすぐに装填するとミサイルを次々に発射する


嵐のようなミサイルの攻撃に大黒海の正面はグチャグチャに吹き飛び、頭部と思われる場所は原型を留めることが出来なくなっていた


「いいぞ…このまま押し切れば」


映像に釘付けになっていたピクルがそう願った瞬間だった


大黒海の後方から


細い光の線が放たれ


大黒海へと向かうミサイルの全てを空中で撃ち落とした


薄暗くなり始めた空に広がる爆炎


何が起こったのか分からずに映像を食い入る様に見つめるゲイルたち


「提督っ!!高密度のレーザーです!!」


イオがそう叫んだ矢先だった


大黒海は後ろにたなびかせていた太い触手を2本、前方に構えると、その先端に白い光の玉が現れ、そこから光の線が放たれる


それは一瞬でミサイルの砲台を貫き


2つのミサイル砲台が爆発し、その衝撃でシャングリラ全体が揺れた


「くっ!!…マズイぞ」


机にしがみついて何とか体勢を保ちながら乱れた映像を睨むゲイル


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