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砂鯨が月に昇る夜に  作者: 小葉 紀佐人
奥義
63/93

20-1



「「「ぅわぁぁぁぁぁぁぉ!!」」」


大漠流の流砂に囚われ


大漠布へと爆進していく装甲サンドバギーのタンク


バサロは一緒に流れてくる巨石に縄でも引っ掛けて向きを変えられないかと周りを見渡すが、こうゆう時に限って一個も無い


どんどん迫る地獄の入り口にさっきから止まらない汗を服の袖で拭うシグ


ハンドルは外へめいいっぱい切ったままだが、一向に外へ逃げる事が出来ない


「もう駄目だギャ!!おしまいだギャ!!」


諦めかけたその時


リンクシステムの腐石が砕けた


アズーは慌ててカバーを開き小さな腐石を投げ入れ締めて、シグを見る


目を合わせ頷いた瞬間、アズーはリンクシステムのレバーを引いた


四輪のタイヤ全てが高速で回転し、車体は外へと向きを変えたが、後輪が大漠布の入り口で沈み引っ張られる


「おっおっおっ落ちるガ!!落ちるガっ!!」


後部座席のガラムは少しでも後ろを軽くしようとゾイをアズーに手渡すと、後輪が持ち上がり間一髪、タンクは大漠布から切り抜けることが出来た


が、横から大漠流など関係ないとばかりの砂鯨の群れが突っ込んでくる


「いぎゃぁぁぁぁぁ!!」


ゾイ目掛けて体当たりしてくる砂鯨を、シグはハンドルを切ってかわすが、その揺れからゾイを守ろうとアズーはゾイを抱きしめた


「きぃゃぁぁぁぁぁぁ!!」


アズーはゾイにビンタをくらわされ、後部座席に逃げていくゾイ


「えぇ!?な、何で何で!?」


シグもアズーもびっくりして振り返る


「ゾイは女の子だガ!!いくら子供でも後ろから抱きつくのは失礼だガ!!」


驚愕の事実に開いた口が塞がらないシグとアズーとバサロ


「ごっ、ごめんね!悪気は無かったんです!!」


ガラムの胸にうずくまり出てこなくなってしまったゾイ


「…駄目だよアズー。女の子を泣かしたら」


声は真面目なのに顔はニヤニヤしているシグの肩を殴るアズー


そんな事をしてるうちに大漠流から抜け出し、タンクは改めてシャングリラへと向かい走り出した

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