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砂鯨が月に昇る夜に  作者: 小葉 紀佐人
闇の力
60/93

19-1


砂漠を、小さな点とそれを追う砂煙が東へと向かう


シグ達の乗る装甲サンドバギーのタンクは、砂鯨の群れに追いつかれそうになると、シグの隣に座ったアズーがタンクに新しく装備されたリンクシステムのケースを開けて、そこに小さな腐石を入れてレバーを引く


その瞬間、タンクのトルクが一気に強まり加速して砂鯨を突き放すが、しばらくすると小さな腐石は砕けて消えてしまうのでその都度リンクシステムのケースに腐石を入れる必要がある


カザに追いついたのもこのリンクシステムのおかげで、後ろに新しく増えたゲグ族の子供のゾイは見慣れないシグ、アズー、バサロに少し警戒する


「ゾイ、大丈夫だガ。さっき一緒にいたカザの仲間だガ」


そう言われホッとするが、ガラムが生きていた事に今更気づきガラムの胸に飛び込むゾイ


「ガラムっ!!死んだかと思ったギャ!!何で1人で残ったギャ!!」


とガラムの胸をガンガン殴る


「い、痛いガ!悪かったガ!!」


そうガラムは謝るが、ゾイは胸の中でワンワン泣くので困った顔で隣のバサロを見るが、バサロは嬉しいのかニコニコと笑って何も言ってくれないのでガラムはゾイの背中をさすった


「で!?このまま東へ行ってればいいんだな!?」


と無くなった左腕の包帯から少し血が滲んでいるものの、痛みは無い様子のシグは隣のアズーに聞く


「はい!ただ、僕たちがシャングリラに着くのが先か、その前にカザが追いついてくれるかが問題です」


「どっちにしろ俺たちが砂鯨に飲まれたら終わりだかんな」


「そうですね。今はとにかくシャングリラへ向かいましょう」


そう言ってアズーは残りの小さな腐石の数を確認する


大丈夫、まだ足りる


そう思いしばらく砂漠を突き進んでいた時だった


遠く前方に見える大きな岩が


右から左へと移動している


「…おい、何だよこれ」


3人は目の前の光景に目を奪われる


砂漠の砂が


川のように流れ、タンクの行く手を阻む


恐らく砂漠の地下の空になった水脈が陥没し、そこに砂が流れ込んでいるのだろうが規模が大き過ぎる


「最近出来た大漠流だいばくりゅうだガ、多分かなり先まで砂の川だガ。このまま入れば流されて大漠布だいばくふに落ちるガ」


村ごと砂漠を漂流するゲグ族のガラムは、この砂漠で起こる自然現象に詳しく、3人はゲグ族に生まれて初めて感心したがそれどころではない


「じゃ、じゃあどうすんだよ!?もう後ろ来てんぞ!!」


走りながらもサイドミラーで後ろから迫る砂鯨を確認するシグ


「…リンクした勢いで突破するしか」


「でも流砂だぞ!?沈んだらもう出れねぇぞ!?」


アズーの提案に、昔初代ジャリハートでアジャリナジャリの蟻地獄に落ちた時の事を思い出し過敏に反応するシグ


「タンクはそんなにヤワじゃない」


と後ろに座っていた少し窮屈そうなバサロが言うと、シグは生唾を飲んだ


「わ、わかったよ!!…大漠流が何だ!!こちとら大黒海まで死ぬわけにはいかねぇんだっ!!」


「あっちでも死ぬ気は無いですけどね」


シグのやる気に空かさず突っ込むアズー、それに言い返す余裕の無いシグはタンクのハンドルを強く握った


前方に迫る大漠流


アズーは手に小さな腐石の入った袋を持ち、リンクシステムのケースを開けて腐石をひとつ入れる


「ゾイって言ったか?その、砂鯨って美味いのか?」


後少しでアズーがレバーを引くのに訳の分からない質問をするシグ


「な、ななんでそんな事聞くギャ!?」


「これで無事だったら詳しく教えてくれよな!!」


そう言い切る直前に


アズーはリンクシステムのレバーを引いた

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