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砂鯨が月に昇る夜に  作者: 小葉 紀佐人
怒り
48/93

15-1



夕陽の差し込む部屋


真っ白なブーメランの様な形をしたティトの船のエアリードが照らされ、折れていた筈の翼はアルミニウムで補強され、塗装こそされてはいないが綺麗に修復されていた


その横でクルクルした天然パーマのアズーは毛布を敷き横向きにお腹を出して寝ている


「ここがこうで、こうすれば」


よしっと離れた作業台の上で勝手に何かを作ったシグの妹ククルは、その出来上がった物をまじまじと見つめる


ククルは眠ったままのシグの側にずっといたが、自分でも何か出来ることを探そうとアズーの家の山積みにされた道具や部品の中を漁ってそれを作り上げたようだ


それはボウガンを加工した物で、矢を取り付ける筈の場所に丸く曲がった丸パイプが設置され、それは左右に開いていた


ククルはそれを寝ているアズーに向けて放つ


ガシュッとゆう音と共に放たれ、丸パイプに繋がれていた縄が尾を引きながら、アズーの腰に入り込むと開いていた部分が一瞬で閉じ、その閉じる力に抵抗がかかった瞬間ガチャンとロックされる


「うん!うまく出来た!!」


何に使うのかよく分からないが、自分の作品に満足した様子のククルとそんな事をされても起きないアズーの部屋に慌ただしくバサロが駆けてきた


「ここに居たんだね、ククル。カザ達が帰ってきたよ!」


その言葉を聞いたククルはシグの事を思い出しすぐに立ち上がると、バサロと一緒に病院へと向かって走って行った


部屋にはボウガンとそこから伸びる縄が床這う様に伸び、それに捕えられても寝ているアズーだけが残された



カザ達はあれから少し離れた場所にジャリハートを見つけて何とか砂の街バルウまで帰ってこれた


その間ティトは一言も口を開かなかったが、バルウに着くなり


「早くシグに持って行ってあげよう」


と少し無理をしている様にも見えたが、そう言ってくれた事に少しだけホッとした


病院に入り病室まで行くと、砂バァと付き人、医師のニコルがいて、ナザルは体を起こしカザの顔を見るなり笑顔で迎えてくれた


「砂バァ、コレを」


そう言ってヘキサリーフの花蜜を薄めた水の入った水筒を渡し、砂バァはその蓋を外して中を確認する


「…間違いない、ワシが飲んだ物とおんなじじゃ」


砂バァは水筒をニコルに渡すとニコルはその水を飲みやすい様別の容器に移し、シグの体を起こして口に注ぐ


するとシグの身体全身が薄っすらと金色に輝いて、心なしか顔色も良くなって見えた


「しばらくすれば目も覚めるじゃろう。カザ、ティト。本当に良くやった。こんなにも早く戻ってくるとは思わなんだ。心から礼を言いたい。ありがとうのう」


「…よかった」


ティトはシグが治ると分かると胸をなでおろす


「…ティトのおかげで誘う樹海もすぐ見つかって、それで、緑の眷属も凄く親切にしてくれたんだ」


カザは迷ったが、ラウルの事は言わなかった


「大丈夫か?」


と少し様子が変なカザにナザルは聞く


「うん。大丈夫」


目を伏せて言うカザ


ナザルは余計心配になるが、病室にククルとバサロが入ってきて砂バァは2人に現状を伝える


「今日はもう休め。疲れたろ?」


ナザルがカザに言うとカザは黙って頷いて病室を後にする


「…バサロ、私のエアリードはどうかな?」


「さっきアズーの家に行った時見たけど、もう治ったみたい」


「…そう…ありがとう」


そう言ってティトも病室を後にした


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