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砂鯨が月に昇る夜に  作者: 小葉 紀佐人
真実と嘘
47/93

14-4


その言葉を発した瞬間森の中から別のツタが現れラウルの体に巻きついて拘束する


「ちょっ!ちょっと待って!!何でだよ!?」


と巻きついていくツタを手で抑えるカザ


「ラウルが何したのよ!!お願いだからやめて!!」


そう言われツタの動きを止める緑の眷属


「…お前はまだ2人に言ってない。帝国…そして皇帝の」


「やめろ!!やめてくれっ!!」


必死に言葉を遮ろうとするラウル


「唯一の血縁者。皇太子ラウル」


その言葉にカザもティトもラウルを見つめたまま固まる


「う、嘘だろラウル?」


何とか声を絞り出して聞くカザ


ティトは金縛りにあったように動けない


「そして、お前達も見たはずだ」


その言葉に2人は緑の眷属を見る


「大黒海…あれは月に昇ることを諦めた砂鯨の成れの果て。そうなる様に仕組んだのは帝国だ」


「…嘘でしょ…ねぇラウル!!嘘だよねっ!?」


ティトは緑の眷属の言葉を信じられずラウルを問い詰めるが、ラウルは俯き、何も言わない


「ティト、空の民よ。今、大黒海はお前の故郷に向かっている。それでもラウルを憎まずにはいられるか?」


「…何で……。」


ティトは地面に膝をついて呆然としてしまう


「それがっ、それが本当だとしても!ラウルがやったことじゃないだろ!?何でラウルを殺す必要がある!?」


カザは緑の眷属にくってかかる


「お前たちは人間だから分からぬだろうが、この者からは血の匂いと皇帝と同じ気配がする。今ここで殺さなければいずれ皇帝と同じ存在となるだろう」


……………。



「…確かにラウルの事は出会ったばかりで知らない事も多い。けどここまで一緒に来てくれた。そして友達になれると言葉にしなくても分かった!ラウルが帝国の人間だろうが!皇帝の息子だろうが!そんなことであんたが殺していい理由なんてどこにも無いっ!!」


ラウルの前に立ち、彼を守る様に緑の眷属を睨みつける


「カザ、お前はそれで本当に後悔しないな?」


「…たとえどんな事になったって、後悔なんてしない」



……………。



「…わかった。私は、ただ見届けよう」


そう言うとラウルに巻きついていたツタを解いた


「カザ、忘れるな…『とこしえの闇』はまた世界を滅ぼす…その時は近い」


そう告げると人型のツタは消え、誘う樹海全体が蜃気楼の様にボヤけていき、3人は砂漠の真ん中に残され、誘う樹海は消えてしまった


上空にパタパタと音が響きその方向を見ると、4つの羽の付いた乗り物がこちらに向かって来ていた


カザは地面にへたり込むティトを抱えるが、ラウルも下を向き立ち尽くしてしまっていて移動する事も出来ずに近づく乗り物を警戒する


それは少し離れた場所に降りると、数人の帝国の軍人と、タンクトップ姿の大男がこちらに向かって来た


「あらぁ!こんな所にいたのね!心配で探してきちゃった」


ヤヒムはラウルの前に立ちそう言って顔を覗き込む


「ラウル?どうしちゃったのよ」


とヤヒムはカザ達を見るが、カザは首を振って分からないと伝える


「なんだかラウルちゃんがお世話になったみたいね。ありがとう坊や」


と言ってウインクすると、ヤヒムはラウルを担いでクアッドの方へと歩いていく


「なぁ!!あんた!!」


カザはヤヒムを呼び止め、それに振り返るヤヒム


「ラウルをどうする気だ!?」


そう聞かれ、人差し指を口元にあてて少し考えてから


「なんだか疲れてるみたいだから少し休ませてあげるわ、心配しないで」


そう言ってヤヒムはクアッドに乗り込むと、空へと飛び立って行った


それをカザは心配そうに見つめる事しか出来なかった


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