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砂鯨が月に昇る夜に  作者: 小葉 紀佐人
真実と嘘
44/93

14-1


鬱蒼と生い茂るジャングルの草木を掻き分けながら進むカザたちは、暑さに慣れている筈なのに身体中から汗が止まらない


「…なんで…こんなに…暑いのよっ!」


「…恐らく湿度が異常に高いんだろう。サウナとかって分かるか?」


とラウルも汗だくになりながら2人に聞く


「サウナの習慣はバルウにもあるけど爺さん婆さんしか使わないよ」


「そうなのか…まぁとにかく湿度が高いと暑いってことだ」


「…なるほど、勉強に…なったよ」


カザも先頭を切って頑張るが、湿度の高い茹だるような暑さにしんどくなっていた


カザ、ラウル、ティトの順番で歩いて数分、ようやく獣道のような場所に出て来た


「やっと出たか、ここなら少し涼しいな」


と額の汗を拭うラウル


「でも獣道があるって事は、何かいるかもしれない。ここから先は慎重にい」


までカザが話した所で


「ねぇ、ラウル。あんたそんな派手な柄の服だった?」


とティトが割り込んで話す


「え?」


っとラウルは自分の衣服を見る

汚れてしまってはいるがこれといって派手な部分は無い白い服だとティトに向いてアピールする


「違う違う、背中」


と言われ覗き込もうと


「動くなっ!!」


カザが叫んでラウルの身体はピタッと止まる


カザからはラウルの背中がはっきりと見えている


その真っ白な背中と同じくらいの大きさの左右で10本はあるだろう脚のはえたサソリの様な生き物がへばりついていた


「ラウル…絶対に動くな」


そう念を押して背中から狩猟銃を抜くとゆっくりと近づき、真横から銃のサイトで引っ掛けるように引き剥がして放った


地面に落ちたそれはジタバタともがいて体勢を整えると、カザの方へと距離を詰める


素早い動きで近寄る生き物に狩猟銃を狩猟棍へと変えて構える


謎の生き物はカザの手前で飛び上ろうとした瞬間、ザクッと鋭い小型の投げナイフが刺さり地面に固定され、しばらくジタバタともがいて力尽きた


投げた方を見ると、ラウルがスッと腕を隠してカザへ近寄る


「サソリモドキに似てる様だが脚が多いな…もしかしたら毒も持っているかもしれない、気をつけよう」


そのサソリモドキモドキをまじまじと見つめ、投げナイフを抜きながら淡々と話すラウル


「気をつけようじゃないわよ!こっちがびっくりしたんだからね!」


と少し離れた場所から近寄ってくるティト


「!!…そうだな…2人ともありがとう」


「全然、お互い様なんだから気にしなくて良いよ。ティトに張り付いてたらそうゆう服を来てるんだと思って先に進むから」


「ちょっと!!ほんとにそう見えたんだからしょうがないでしょ!?」


「そうだね、ティトはほんとセンスあるよね」


カザがそう茶化すとティトは駆け寄り肩を殴ってきて、結構痛いのでやめてくださいと、あなたのセンスはこんな事に使ってはいけないと言えば言うほどティトは殴るのをやめない


「2人は仲良いな」


とその様子を見たラウルは思わず笑ってしまう


「「そんな訳あるかっ!!」」


と声を揃えて否定する2人に、さらに可笑しくて笑うラウル


ガサッ


ガサッガサッ


3人が和気あいあいとふざけてるうちにさっきのサソリモドキモドキの仲間たちが、茂みから次々に出てくる


「うぇ、気持ち悪い」


「これはマズイかもな」


「走り抜けようっ!!」


奥へと続く獣道を走り出したカザは、飛びかかってくる奴らを狩猟棍で薙ぎ払いながら進み、それにティトが続き横から飛んで襲ってくるのを頑丈そうな木の棒を拾って打ち落とし、後方から迫るのをラウルが投げナイフで仕留めて行く


3人は上手く連携しながら奥へと進む


先程の慎重に進むなんて事はすっかり忘れていた3人は獣道を抜けてかなり開けた場所に出て来た


「はぁ、はぁ、はぁ、ここまでは…追ってこないようね」


膝に手を置いて苦しそうに息をするティト


「はぁ、はぁ、そう…みたいだな」


雑草の背の低い開けた地面に転がるように倒れたラウル


「でもあいつら…何でここに入ってこないんだ?」


2人よりかは呼吸が安定しているカザは、追ってこないサソリモドキモドキの異変に疑問を抱く


「まぁ、とりあえず…気持ち悪いのは、もう勘弁してよね」


そう言いながら持ってきた水筒の水を飲むティト


カザも水筒を取り出すと、まだ立ち上がれないラウルに渡す


「…ありがとう」


そう言って水筒の水を飲んだ


カザは狩猟棍を背中にしまい周りを見渡す


開けた場所ではあるが、陽の光は遮られ、その遮る枝葉の元を辿る


「…でかいなあれ」


開けた場所の中心に他の木々より圧倒的に太く大きな木がそびえていた


「幹の太さだけで民家程あるな」


と水筒を返しに来てくれたラウルが言うが、カザは民家4つ分はあると思っていたので、ラウルの国では1軒の家があそこまででかいのかと内心驚いていた


「そ、そうだな」


水筒の水を飲みながら、家4つとは言わない事にしたカザ


「とりあえず先に進もう」


ティトも落ち着いて来たので、その巨木を横目に歩き出した3人


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