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砂鯨が月に昇る夜に  作者: 小葉 紀佐人
腐者の呪い
39/93

12-3


誘う樹海の話をし始めてから何か考え込んでいたティトは突然口を開いた


「あのね、カザに助けてもらった日、覚えてる?あのデモデモとかゆうバカ鳥に落とされる直前、わたし空からその森を見てたの!それでなんか動いてるなぁって思ってたらあの鳥に襲われたの!」


「本当に!?何で言わなかったの!?」


「え?だって言うタイミング無かったし、動く森なんて信じてもらえないと思ったから」


「おぬしは本当に天使じゃ!でかしたのぉ!!バルウに舞い降りた天使じゃ!」


そう言って砂バァはティトを抱きしめ頭を撫でた


「ってことは、えーっとここからだったら北東ぐらい?」


「うーんと…私が見つけたのはここからだとほぼ真東!でもちょっと南かも、南に移動してたから」


「そっか!分かった!行ってくる!!」


と走り出そうとしたカザ


「待て待て!落ち着け!」


とナザルはカザを止める


「ちょっとこい!」


とカザをベッドまで呼んだ


「急ぎたいのは分かる。でもちゃんと冷静でいろ」


「…はい」


「俺も昔空の民に会った時の話をした事があったろ?」


「うん」


少し落ち着きを取り戻したカザ


「あの時本当は誘う樹海を探してたんだ。あの森にはヘキサリーフ以外にもうひとつ『緑の眷属』と呼ばれる存在がいる」


「緑の眷属?」


「あぁ、俺は結局会えなかったからどんな奴なのかもわからねぇ。あの時は…お前の両親を、どうしても救いたかったんだ」


静かに話し始めたナザルの言葉を真剣に聞くカザ


「緑の眷属はこの世界の全てを知ってるらしい。俺の目の前で腐者に襲われ消えた2人を救う方法が無いか聞きに行こうと、誘う樹海を探し回ったが見つからなかったんだ。…俺には出来無かった。バルウに戻った俺は、まだ幼かったお前を、2人の代わりになれやしねぇのに、育てようと、思ったんだ」


「おぬしは立派に育てあげた。カザは全て分かってておぬしを親父と慕っておる。そして今はこの街の英雄じゃ」


「そうだな、お前はもう立派なバルウの戦士だ。悪りぃな時間とらせて」


そう言ってナザルはカザの頭を撫でた


「…俺は親父が昔の話しをしてくれるのが嬉しいんだ。だから帰ってきたらもっと聞かせてよ」


ナザルはカザがそんな気持ちでいたとは知らず、少し驚いた顔をし、目頭を押さえてそっぽを向いて頷いた


少し照れながらカザは「行ってくる」と病室を後にした


「本当に良い子に育ちましたね」


と付き人が言う


「…それは『俺と違って』ってゆう意味か?」


とナザルが突っかかる


「そんな事言ってないですよぉ、思っただけで」


「あぁあ!?なんだこらぁ!?」


さっきまでの自分を誤魔化すように声を荒げ、今にも飛びかかりそうなナザルをとめるニコル


「あっ!ほらほらっ!そうゆうところ!ぜーんぜん似てない!!」


とケラケラ笑う付き人


「お前とババァはそっくりだよ!そうゆう人をおちょくったところがなっ!!」


「なんじゃと!!小童!!」


と入れ歯を外してカチカチと鳴らす砂バァ


「ここは病室ですっ!!静かにして!!」


必死に間に入り止めるニコル


それを引いた目で見るアズーの横で、カザが出て行った扉を見つめるティト


「…カザ」

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