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砂鯨が月に昇る夜に  作者: 小葉 紀佐人
腐者の呪い
38/93

12-2


病院に着くと病室の入り口にティトが入ろうと立っていたが、入れずにいた


「おはようティト、一緒に入ろう」


とカザが声をかけると、少し目が赤く腫れているティトは「…うん」と返事をして一緒に入る


ベッドが2つ並んでる横に砂バァと付き人、その向こうに病院の先生のニコルが立っていてナザルの包帯を変えていた


「おい、ニコルちゃん。俺は怪我人だ、もうちょい優しくしてくれねぇか?」


とヘラヘラ言うナザルに


「こうですか!?こんな感じですか!?」


と力を込めて包帯を巻くニコル


ギュッギュッと力を入れられるたびに「ぐぁっ!」「ぬぁっ!!」と悶え苦しむナザルをカザとティトとアズーは冷たい目で見ていた


それに気づいたナザル


「おぉ、カザ!目ぇ覚めたか?」


と何事も無かったかのように振る舞うナザル


「悪いねお楽しみの時間に来ちゃって」


と冷めた目と声でナザルに返す


「違うんだよニコルちゃんがよぉ」


と言い訳しようとするナザルの包帯をまた強く巻くニコル


「動かないで!背中に穴が空いてるんですよ!?本当に血が止まらないからジッとして!!」


とニコルに怒られ素直にジッとするナザル


「…ほれ、カザ達が来てくれたぞシグ」


と寝たままのシグに話しかける砂バァ


カザ達はシグの側へ行くとシグは眠っていて、その左腕は肘から下が無く、巻かれた包帯は赤く血で染まっていた


それを見たティトは口をおさえ、カザも顔が険しくなり、アズーは悲しそうに見ていた


「バッツが切り落とさなば今シグはここにはおらんかったじゃろう、父親として最善を尽くしてくれたんじゃと思う。しかし、あれからシグは目を覚まさん…」


「…目を覚まさないってゆうのはどうして」


カザはシグの肩に手を添え砂バァに聞く


「…もしかすると、『腐者の呪い』かもしれぬ」


「腐者の呪いって何?」


とティトは聞いたことのない言葉に疑問を持つ


「腐者の呪いとは、身体の一部に黒い液体が付着し直ぐさま切り落とし一命をとりとめた人に稀に起こる症状です」


とニコルはナザルの包帯を巻き終わりこちらに振り返る


「まだ症例が少ないのではっきりとは分かっていないのですが、腐者の液体が血液に混ざり身体へと入ってきてしまっている可能性があります」


「え!?それって要は腐者に内側から侵食されているってことですか!?」


アズーはベッドを跨ぎそうな勢いでニコルに聞くが砂バァが口を開く


「恐らくそうじゃろう。このまま放っておけばいずれ腐者となるじゃろう。ワシの若い頃にも同じような事が何度かあっての。3日ともたずに溶けて消えてしもうた」


「なんだよそれ!何か助かる方法は無いのかよ!?」


カザは砂バァの肩を掴んで必死の形相で聞く


「…あまりに可能性が低いのじゃ、だから言わんでおこうと思ったんじゃが」


「砂バァっ!!何でもする!言ってくれ!頼む!!」


懇願し頭を下げるカザを見て同じように頭を下げるティトとアズー


「…本当に難しいのじゃ、運も無ければ辿り着けぬ場所……『誘う樹海』とゆう森を聞いたことはあるかい?」


「え?あの神出鬼没の砂漠を移動する森のことですか?」


アズーは巷の噂話でしか聞いたことのない森の話を砂バァからされるとは思っていなかったので少し驚いていた


「そうじゃ。その森は実在する。そしてその森の奥に咲く『ヘキサリーフ』と呼ばれる花があるのじゃ。その花の花蜜を飲めば、腐者の呪いは解ける。若い頃に運良く見つけ出し、それによって救われたのは…何を隠そうワシなんじゃからな。その効果は間違いない」


そう言って砂バァは自分の衣服をまくりあげると、左足の脛の真ん中くらいから下が動物の皮を貼った義足だった


「しかし、誘う樹海が今どこにあるのか」


まで砂バァが話しかけた時だった



「わたし見たよ!」

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