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砂鯨が月に昇る夜に  作者: 小葉 紀佐人
バルウ防衛戦
32/93

10-3


舞い上がる砂の中からゆっくりと進む大黒海をじっと待つ


次の仕掛け、300メートル付近に差し掛かりミゲルはバッツに点火を告げる


砂を巻き上げ、大黒海の真下で爆発したそれは大きな巨体が持ち上がり苦しんでいる姿を全員が確認する


「よし!効いてる!効いてるぞ!!」


「流石にあれだけの爆発だ!粉々になっててもおかしくねぇもんな!!」


「惜しかったなぁ!もうちょっとで俺様が小指で倒してやったのに!!」


歓喜の声が上がる中、砂煙に消えた大黒海を緊張を解かずに睨み続けているナザル達


砂煙が少しずつ晴れていく


……………。


「いない!!大黒海がいません!!」


いち早く気づいたミゲルが皆に知らせる


「跡形も無く吹き飛んだんじゃねぇの!?」と笑い出す連中もいたが、ガンザが「黙れっ!!」と怒鳴りつけて居なくなった大黒海を探す


ナザルもバサラも身を乗り出して探す



ゴパッ


ゴパッゴパッ


黒い液体が湧き出し


その場所はバルウの防壁からたった100メートルの場所だった


「テメェら構えろ!!頭を出したら打ち込め!!」


ガンザはヤグラでバズーカを手に持つ部下と守護隊に指示すると、慌てたように肩に担ぎ出した


が、大黒海は黒い泉から勢いよく飛び出し、その体躯を地面に叩きつける様に着地する


唖然として見ていたヤグラの上の連中は、叩きつけられた衝撃で大地が揺れ、それにバランスを崩す


「何なんだよアイツは!」


ナザルは何とかバランスを保ち大黒海を睨むが、進んで来ない大黒海に違和感を感じた時だった


大黒海は上下に大きく口を開き


その口の中が紫色に輝きだす


バチバチと腐石のエネルギーに似たものと周りの空気を口の中へと集めていく


どんどんと集まるエネルギーは白い光の玉となり


放たれた


それは一瞬でナザル達のヤグラの上を通り過ぎ


バルウの街の真上を通り過ぎ


遥彼方へと飛んでいくが、重力によって地面に落ち


まるで太陽が落ちてきたかのような光景が広がり


遥西の砂漠を焼き尽くした



「な、何だよあれ…聞いてねぇぞ」


ヤグラの上の男たちは大黒海の異常なまでの破壊力に腰を抜かし、逃げようとする者まで現れた


「テメェら…立てっ!!構えろ!!逃げたって何にも変わらねぇぞ!!ここで戦わなかったら全て終わるんだ!!俺は嫌だね!このクソみてぇな野郎にコイツをたんまりぶち込んでやらぁ!!!」


ガンザはもう50メートルまで近づいて来ている大黒海へ向けてバズーカを放つ


放たれたそれは顔のあたりで炸裂し、大黒海は少し怯む


その様子を見たヤグラの連中はもうヤケクソだとばかりにバズーカを放つ


炸裂弾の嵐に大黒海の歩みが遅くなるがジリジリと進んで来る


バルウの戦士達の


本当の戦いが


今始まった


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