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1話 転生したら最強の龍王でした

 隆治が会社で倒れてから一ヶ月がたった。

 その一か月は、冷静になった隆治に非現実的な状況を受け入れさせるには十分すぎるものだった。


 隆治はひと月前、常態化した深刻な長時間労働が原因で過労死したようだ。

 そして気が付けば、平成の日本でブラック企業の会社員をしていた平凡な人間の記憶を持ったまま、地球とは異なる世界に転生したのだ。


 隆治が転生した世界は、【精霊界】と【人間界】という並行する二つの世界がつながった特殊な世界だった。


 精霊界は名前の通り、精霊という体の全てを魔素という物質で形作るエネルギー生命体が住む世界で、人間や動物、植物といった精霊以外の生物は存在していない。


 人間などの精霊以外の生き物は、精霊界の並行世界である人間界で暮らしている。

 人間界の文明は産業革命よりずっと前の水準といった程度だが、地球には実在しなかった魔法という技術が発達していて、いわゆる、剣と魔法のファンタジーといった世界が広がっているらしい。


 前世でゲームやアニメが好きだった隆治としては、少しワクワクしてしまう世界だ。


 ただ、隆治が生まれた場所は精霊界だった。

 隆治は、人間ではなく精霊に転生したのだ。

 それも、精霊の中でも最強の種族である【龍王】として。


 龍王とはドラゴンの最上位種であり、ドラゴンの王族である。


 この世界でドラゴンといえば、大まかに二つの種類に分けられている。


 一つは、下級のドラゴンである【竜】。

 彼らは精霊ではなく幻獣と呼ばれる動物の一種で、人間界に生息している。

 非常に高い戦闘力を持ち、人間界では最上位クラスの強さを誇る。


 もう一つは、上級のドラゴンである【龍】。

 こちらは精霊の一種であるため精霊界に住んでいて、強大な竜よりもさらに強く、ずっと高位の存在である。

 ごく少数しか存在しない龍王を除けば、世界最強の種族だ。

 あらゆる魔法攻撃に対する耐性があり、大抵の物理攻撃を跳ね除ける硬い鱗で覆われた強靭な体を持っている。

 さらには、世界の法則にまで干渉できる最高位の魔法、【龍言語魔法】を操る理不尽極まりない存在だった。


 隆治は、そんなドラゴンたちを束ねる王族として生まれたのだ。

 当然、規格外の強さを生まれながらにして持っている


 どうしてそんな大層な存在に転生したのかは隆治にも分からない。

 もしかすると、前世の死に際で願った『あーあ、働かなくても生きていける生物に生まれたかった……』という世迷いごとが叶えられたのかもしれない。


 なぜなら、精霊は食事も睡眠も必要ない種族なのだ。

 大気中に漂う魔素を吸収するだけで、充分生活できてしまう。

 その気になれば食べることも眠ることもできるのだが、そんなものは奇特な趣味の領域。

 精霊が食事や睡眠をしようとすれば、かなりの変わり者扱いをされてしまう。


 精霊の一種の龍である隆治も当然、食事や睡眠をしなくても死ぬことなどない。

 死ぬ間際に考えた、働かなくても生きていける生物になりたい、という願いが完璧に叶えられたように思える。

 少なくとも隆治には、転生の原因などそのくらいしか思い当たらなかった。


 そのため、転生した直後は状況が分からず酷く混乱したものだ。

 だが、もしも転生の原因が前世の願いだとしたら、今回の人生、もとい龍生は、前世のボーナスステージのようなものではないか、と前向きに考えることにした。


 だとすれば今世のドラゴンとしての生活は楽しまないと損だろう。

 どうせなら、やらなくてはいけないことに追われていた前世ではできなかったような、気楽な生活を送ってみたい。

 やらなくてはいけないことではなく、やりたいことを好きなようにやって生きる。

 そんな夢のスローライフを実現させてやろうじゃないか。


 そう考えてみると、これからの生活が楽しみで仕方がなくなる。

 隆治は、アレスと名付けられた龍王として、この世界で暮らすことへの期待を膨らませるのだった。



        ◇ ◇ ◇



「はぁ……そんなふうに考えていた時期が俺にもありました」


 隆治あらためアレスは、転生したばかりの頃に考えていたことを思い出し、疲れたようにひとりごとをつぶやく。

 アレスがこの世界での生活に希望を持っていたのは、もう二十年ほど前の話だ。

 転生してから月日が経ち今では、精霊界での生活がアレスの理想とはかけ離れたものだと思い知らされていた。


 アレスは自分の置かれた環境に思いを巡らせ、再度ため息を漏らす。


 精霊界――そこは酷く無機質で退屈な場所だった。

 見渡す限りの空は白く、それどころか地面までもが真っ白。

 その上、そこにある建物の全てが謎の白い物質で構成された立方体だ。

 もちろん、飾り気などは一切ない。

 さらに、精霊界には森や山といった地形的な特徴も一切なく、風さえ吹かない。

 それどころか季節や天気といった環境の変化もなく、昼夜といった概念すらない異様な世界。

 そんなある種狂気じみた世界の景色を、アレスはもう二十年ばかり見続けてきた。


 精霊界で生まれ育ち、この世界のことしか知らないのであれば、気が狂いそうになるほど変化のないこの風景も苦にはならないのだろう。

 だが、この世界以外の知識、前世の記憶を持っているアレスには、精霊界での生活は苦痛でしかない。

 娯楽が多く情緒あふれる日本で暮らしていた記憶を持つアレスにとって、異常なほど無味乾燥とした精霊界での生活は、退屈すぎてとても耐えられるものではなかったのだ。


 転生したばかりの頃は、目新しさから精霊界を幻想的な場所だと思うことができた。

 だが、新鮮さが薄れてしまった現在では、白で統一された変化に乏しいこの世界が、巨大な精神病院か何かのようにしか思えなくなっている。


 それに加えて、精霊界の住人の性質が厄介なことも分かった。


 何もしなくても生きていける精霊たちが何を目的に生きているかと言うと、精霊界および人間界を自分の考える理想の世界に近づける、ということに情熱を捧げている。

 だがアレスにしてみれば、彼らは自分の|理想≪エゴ≫を人に押し付けるために日々努力を絶やさないという、実にはた迷惑な連中だ。


 精霊たちは自然環境に対して干渉できる強力な魔法、【精霊魔法】が使えるので、それを駆使して世界を自分好みの環境に導き、管理することを使命と考えているようだ。

 そのために、精霊たちは常日頃から自分の信じる理想について他の精霊と議論を尽くしている。


 ただ、彼らの議論は話し合いというようなものではなく、それぞれが強硬に意見を主張し合うだけ。

 その主張内容も、一貫性がなく酷く主観的なものだ。

 やれ、あの生物は興味深い生態を持っているから、生息域を拡大させるため、周辺地域の気温がその生物にとって快適なものになるよう冷害を起こすべきだ。

 やれ、人間が魔法技術を発達させてきて生意気だから、穀倉地帯で干ばつを起こして食糧難にしてやろう。

 などといった、自分勝手なことを言いたい放題である。


 その上、精霊たちの持つ理想は個人個人で全く異なるため、精霊の間で衝突が絶えない。

 さらに悪いことに、理想のためなら暴力を振るってもよく、どんな犠牲も仕方がないものだ、という偏った思想の過激派のような考え方をしている。

 そのため、暴力的な騒乱の末、結局は力の強いものの意見が押し通る、といった単純で原始的な結果に落ち着くのだ。


 そんなことをしながら世界の管理者を名乗る精霊たちだが、別に彼らが世界を作った訳でもなく、創造神のような存在から管理を任されているわけでもない。

 つまり、彼らがやっていることは、自分勝手極まりないただの神様ごっこだ。

 そのくせ自分たちのしていることを崇高な行為だと思い込んでいる。

 アレスとしては、めんどくさい奴らだ、と思わざるを得なかった。


 そして精霊たちは、そういった振る舞いをすることをアレスにもことあるごとに押し付けてくるのだ。

 『皆は世界をより良くしようと頑張っているのに、なぜお前は何もしない?』といったように。

 彼らにしてみれば、精霊は皆そうあるべきだ、と盲目的に信じ込んでいるらしい。


「はぁ、やってられるか……」


 精霊らしい活動をしないアレスのことを咎めてくる彼らのことを思い出すと、ついついため息が漏れてしまう。

 精霊の在り方にそぐわない価値観、日本人としての考え方を持つアレスにとって、彼らの相手はストレスでしかない。


 そのため、アレスは他の精霊との関わりを極力避けるため、大抵は大書庫と呼ばれる世界中の本が集められている場所に入り浸っている。

 アレスが今いる場所もそこであり、いつも通り本を読みふけっていた。


 この世界の本を読むことはとても楽しかった。

 ファンタジーな世界の歴史や魔法の知識など、この世界ならではのことが学べてたいへん興味深い。

 それに、本を読んでいるときだけは人間だったときと何も変わらない感覚でいられる。

 アレスがそんなことを考えていると、後ろから大きな影が近づいてきたことに気づく。


「またここに籠っておったのか……。もう知識は十分に蓄えておるだろうに」

「父上でしたか……」


 声をかけられアレスが振り返る。

 そこにいたのは巨大な純白の龍。

 真っ白な髭と目を覆うほどふさふさとした眉が印象的な老龍だが、年齢による衰えを全く感じさせないような王者の風格をまとっている。


 彼は今世でのアレスの父親なので、いつも通り小言を言いにきたのだろう。

 いつもアレスに文句を言ってくる父だが、暴力的な争いになる心配はない。

 父は精霊の中でも穏健派なのだ。

 何でも力ずくでも思い通りにさせようとする他の精霊と違い、話し合いができる数少ない精霊であった。


「それに、またそのような姿を取りおって……いったい何を考えておるのやら」

「私は自分の居心地の良い姿を取っているだけです。誰かに迷惑をかけている訳ではないのですから大目に見てください」


 アレスは現在、本来の竜の姿ではなく人間の姿、銀髪で端正な容姿の青年といった外見になっている。

 魔法を使えば龍が人間の姿を取ることなど簡単であり、精霊界に馴染めないアレスにとっては、龍よりも人の姿の方が落ち着くからだ。

 その外見は、人化の魔法で最も負担が少ない、龍としての容姿を反映させた姿である。


「ふう……ならば、少しは外に出て皆と議論を交わしたらどうだ? 分かっておるのだろう? お主はこの儂の後継者になるやもしれん龍王族の直系なのだぞ?」

「それは分かっています……」


 アレスの父親は、ドラゴンの王族である【龍王】のトップ、【龍神王】と呼ばれる地位にある。

 最強種の族長である龍神王は、力が全ての尺度である精霊界において、あらゆる精霊を統べる存在だ。


 その息子のアレスは、ただでさえ強大な龍王の中でも最強クラスの能力と、精霊界における絶大な権威を持っている。


 だが、それはアレスにとって都合のいいものではなかった。

 龍神王の息子だからこそ注目が集まり、余計に周囲から干渉を受ける事態になってしまっているのだ。


「ですが、父上の後継者候補なら、兄や姉がいるではないですか」

「だが、兄弟の中でもお主の潜在能力は別格ではないか。いずれ儂の力をも超えるであろうことは分かり切っておる。その力を世界のために役立たせようとは思えぬか?」

「申し訳ありませんが、私は精霊を率いる存在になどなるつもりはございません」

「ふむむ……だが、それでは他の精霊たちが黙っておらぬやも知れぬぞ?」

「……迷惑な話です」


 そんな候補者の遺志に関係なく行われる龍神王の後継者争いも、アレスにとっては大きな悩みの種だ。

 そのことについては、考えるだけでも気が滅入ってしまう。


 つまらない世界に迷惑な住人たち――面倒ごとの多い精霊界での生活に、アレスはほとほと嫌気がさしていた。


 龍は千年を生きる精霊なので、寿命まではあと九百年以上もある。

 そんな悠久の年月を、この厄介ごとだらけの場所で過ごすなど御免こうむりたかった。


 せっかく実現できると思っていた自由気ままな暮らしも、精霊界ではできそうもない。

 だが、理想の生活を送るための秘策をアレスは考えていた。

 そして、今日にもそれを実行する決意を固めていたのだ。


「まったく、儂の後を継ぐことの何がそんなに不満なのやら……」

「父上、私は……この精霊界の在り方が疑問なのです」

「……話してみよ。いったい、この世界の何に疑念を持っているというのだ?」


 思いつめた雰囲気で切り出したアレスに、今まで困り顔だった竜神王が表情を引き締める。


「精霊たちの活動についてです。彼らの努力に意味はあるのでしょうか?」

「意味がないなどということはない。我々はそういう存在なのだ。そして、我々には伝統的に世界の均衡を管理してきた実績があるではないか」

「しかし、精霊たちは世界の管理などとはとても言えないような自分勝手なことばかりやっているではないですか。皆の主張はバラバラで、そのために争ってばかり。そして、なぜ力の強いものの意見だけがまかり通る連中の行動が正しいと言えるのでしょうか?」

「うぬぬ……だが、力のあるものはそれ相応の責任を持っておるのだ。皆はその責任を果たすために日々努力をしている。それがどうして正しくないと言えるのだ?」

「私には、力あるものがただ傲慢に振る舞っているようにしか思えません。この世界に精霊の管理は本当に必要なのでしょうか? 精霊の活動は、もしや単なる自己満足なのではないですか?」

「そんなことはない! なぜお主精霊の生き方を分かってくれぬのだ!」


 龍神王は、アレスの考えていることが理解できない、とでもいうように、否定の言葉を口にした。


 彼は精霊の役割について盲目的に信じているのだ。

 アレスが何を言っても無駄である。


 ただ、価値観が違い過ぎて分かり合えないことは初めから分かり切っていたことだ。

 そして、アレスが平穏な生活を手に入れるためには、ここが攻めどころである。


「そこで、本当に精霊の行動が正しいのか見極めるために、私は他の世界を、人間界を見て回りたいのです」

「……なんだと!?」

「見識を広めれば、私の考え方も変わるかもしれません」

「……そうか……いやしかし、お主ほどの力を持つものが人間界にいくのは……うぬぬ……」


 龍神王は渋い表情で否定的なことをつぶやいた。

 そこで、アレスは用意していた切り札を切る。


「父上だって、若いころには人間界を旅していたそうじゃないですか」

「……っ!? なぜそれを知っておる!?」

「この大書庫の奥で見つけた、まるで隠されているかのように仕舞い込まれていた本に、そのようなことが書かれていたのです。『セントバニア帝国物語』、この伝記の主人公、セントバニア帝国初代皇帝の建国を手助けした召喚獣の龍王とは、父上のことですよね?」

「うぐっ……その本を見つけたか……だが、出てくる龍王が儂であると良く気付いたな……」

「父上と似た考え方をしていましたから」


 約七百年前のことが書かれた伝記に出てきた竜王は、精霊にしては温厚な性格をしていた。

 その年代において、穏健派の龍王など父親しかいないのだ。


「父上もやったことなのです。ならば私に経験させてみてもいいのではないですか?」

「うぬぬ……」


 眉間にしわを寄せて唸り声を上げる竜神王は随分と悩んでいるようだ。

 あと一押し、そう感じたアレスはトドメの一言を放つ。


「精霊界の在り方への疑問が解消すれば、龍神王の後継者としてしっかりと務めを果たすことは約束いたします」


 真剣な表情でまっすぐに見つめるアレスに、龍神王は深く考え込むように目を閉じた。


「……これも、いい経験か……分かった、そこまで言うのなら……認めよう」


 諦めたように許可を出す竜神王。

 その結果に、アレスは内心で歓喜する。

 何か志が高そうなことを言ってはみたが、もちろん、そんなものは建前で、実際考えていたのは別のことだ。

 こんなところにいられるか! 俺は出ていかせてもらう!

 アレスの本音など、そんなものだった。

 そして、二度とこんなところに戻ってくるものか、とまで考えている。


「人間界に顕現する方法は考えておるのだろうな?」

「はい、父上と同じように召喚獣になろうと考えています」


 精霊は、そのままでは人間界に移動することはできない。

 大気中を漂う魔素の性質が、精霊界と人間界では少し異なるためだ。


 精霊が直接人間界に行くためには、呼び水となる人間界の魔力が必要となる。

 そのため、精霊が人間界に行く場合には、人間と召喚契約を結ぶことが定番となっている。


 そして、その召喚者を探すための魔法書は、すでに用意してあった。

 アレスが魔法書を開いて魔力を込めると、白紙だったページに光の文字が浮かび上がる。


 そこに書かれているのは、今現在、召喚契約を結ぶために儀式を行っている人間たちの情報だ。

 彼らが召喚獣を呼ぶ目的や、その対価についても書かれている。

 それは契約文と呼ばれ、そこに書かれていることは絶対に履行しなくてはならない。


 龍王クラスの精霊を呼び出そうとする契約文は、大抵が強大な力を求める野心的な内容である。

 自分がいかに凄い魔法使いかという自慢から入り、権力者への反抗や強者への復讐といったギラギラとした目的を提示し、大勢の生贄や召喚者の寿命の半分といった仰々しい対価を約束している。

 ごく少数の例外を除いて。


 その中から、アレスにとって都合のいい契約文を探し出す。


「どうだ? 龍王の召喚者として相応しい実力と崇高な理念を持つ召喚者はおったか?」

「はい、間違いなく私に最適の理想的な召喚者を見つけました。では父上、行ってまいります」


 そう言うと、アレスは相談もせずに契約者を決めてしまった。

 召喚契約に応じて強い魔力を流すと、黄金に光り輝く召喚陣が目の前に現れる。

 龍神王の気が変わらないうちに、と考えたアレスは、さっさと召喚陣の中へと消えていく。


「やれやれ、こんなに急いで行ってしまうとは……もしや、己の理想を見つけるために燃えているのか……?」


 しみじみと、息子の成長に感動するようにつぶやいた竜神王は、アレスのいた場所に落ちている魔法書を覗き込む。


「して、いったいどのような立派で清い志を持つ召喚者のもとへと向かったのだ? どれどれ……」


『わたしは召喚術を使うのが初めてで、どうすればいいのかはよく分かってません。でも、もしも、こんなわたしでもいいよ、って言ってくれる優しい召喚獣さんがいましたら、ぜひわたしとお友達になってください! ごはんもしっかり三食用意しますし、あなたがやりたくないことは頼みません。お世話もしっかりしますし、ちゃんとお散歩にも行きます!』


「……ぶっ!? な、なんなのだこの契約文は!? 散歩に行く……? ペットにする犬か何かを召喚しようとしておるのではないかっ!? こ、こんな契約者を選ぶとは!? あやつ、いったい何を考えておるのだ!? ……い、いや、きっと、あやつにもあやつなりの深い考えがあるに違いない……そ、そうに決まっておる……」


 アレスがいなくなった大書庫に一人残された龍神王は、哀愁漂う表情で自分に言い聞かせるように独り言をつぶやくのだった。

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