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勇者の代わりは剣神様  作者: 冬空孫久
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帰還、ギルドマスター


森を抜け、馬車の所に戻り、待っていた2人に報告をすると、2人共とても驚いていた。


主に俺がボス級を1人で倒したことに。

控えようって決めたはずが…やりすぎたな、完全に。

でも、俺が助けてなきゃカフィはやられてたんだし、仕方がない。


「レスト様、またもやお嬢様をお助け頂き、感謝の言葉しかありませぬ。」

「いや、俺もカフィがいなかったらヤバかったかもだし…いいよいいよそんな頭下げなくて。」


「まーた嘘をつくのですねー。」


カフィがふてくされたように言う。


「嘘?」

「私がいなくても、たくさんのゴブリンもトロルオークも、全部1人で倒してしまえるでしょう?」


いやまあそうなんだけど。


「お前がゴブリン達の相手をしてくれてなかったら、俺もトロルオークに集中できなかったよ。だから嘘なんかじゃない。」


嘘ですごめんなさい。でも、俺の強さの限度を設定しておかないと、大変なことになるからな。


「本当ですか?」

「ああ、だから、俺の方こそ感謝してるよ。」

「ふふふーこちらこそ、ありがとうございます。」


めっちゃ嬉しそう。


段々カフィがどういう子なのか分かってきた。

初対面の相手や、親しくない相手に対してはおしとやかな〈お嬢様〉として接し、ネメスさんなどの親しい人に対しては、〈カフィ〉として接している。口調も緩くなり、態度も変わる。


今日の昼からの口調や態度の変化を見るに、恐らく俺は彼女の中で前者から後者になりつつある。つまり、彼女は俺が護衛を引き受けるだろうと思っている。


マズい、非常にマズい事態だ。


今度こそちゃんと断らねば。


「それでは、町に戻りましょう。ファレス、お願いします。」


ファレスは無言で頭を下げ、馬の手綱をとった。俺たちも馬車乗り込む。


王宮警備隊副隊長であるファレスは、基本的に無口だ。だが、ネメスさんが言うには、親しい者とは普通に話すらしい。

つまり、俺はまだ親しくはないということだ。別にいいが。


帰りの馬車の中で、カフィはネメスさんに森であったことを話していた。俺もその話を聞いていたが、あまりにも酷いものだった。

彼女が話したことを要約すると、「レストさんが凄い」だ。


カフィよ。そういうことを言うとな……ネメスさんがな……


「素晴らしい!レスト様!どうか王国騎士団に____」

「断る」


ほらな。


「そこをなんとか!貴方様の強さがあれば、魔王討伐が夢でなくなるのです!」

「断る」

「では、お嬢様の王都への護衛だけでも!」

「断る」

「そこをなんとか___」


「レストさん。」

「なんだ?お嬢様。」


俺とネメスさんのやりとりがはじまってから静かだったカフィが口を開いた。


「貴方が護衛を引き受けて下さらないのはわかりました。」

「おお。」


カフィの口調が今日の昼のときに戻っている。俺に〈お嬢様〉として接してるってことだ。やったぜ。


「ならばこの馬車から降りて下さい。」


なるほど。護衛にならないなら馬車から降りろ、か。確かに、普通の人間なら1人でこんな草原に降ろされたら困るだろうな。普通の人間ならば。恐らくカフィも本望ではないだろう。そうまでして俺に護衛やって欲しいのか?


「いいよ。降りる。馬車止めてくれ。」

「え?」


カフィが驚いている。俺が降らないと思ってたんだろうか。


「だから、馬車から降りるって。」

「ちょ、ちょ、ちょっと待った下さい。今馬車から降りたら、夜までに町につけませんよ?町までまだ距離はあるし、夜はモンスターが活性化しますよ?いいんですか?ここで降りて。」


別に馬車より早く町につくし、モンスター活性化しても倒せるし、護衛やんなくていいし、俺にとってはメリットしかない。むしろ降ろしてくれ。


「いいよ。じゃあ俺降りるわ。じゃあな。達者で。」

「わーー!ダメです!降りないで下さいー!」

「え?」

「降りちゃダメです、レストさん!私が悪かったですから、降りないで下さい!」


ええーー……

どっちだよ。口調も戻っちゃったし。


「ぐすっ…降りちゃ……ダメです……」


はぁ⁉︎?泣き出したぞ⁉︎なんで?

なんか俺が悪いみたいじゃん‼︎


「わ、分かったよ、降りない。町までちゃんと乗ってくよ。」

「……本当ですか?」

「ああ本当だ。ほら、座席に座ってるだろう。」

「ならいいです。」


な……こ、こいつ…急に泣き止みやがって……‼︎


「護衛の件は、町に戻ったらにします。」


まて、俺は断ったはずだ。


「今は、馬車に揺られてお休み下さい。」

「……ああ、そうするよ。」


今日は疲れた。……主にカフィに。






その日の夜、馬車はハストゥの町についた。


「さて、酒場に行くか。」

「私も一緒に行きます。」


「我々は馬車を返してきますので、レスト様、カフィお嬢様をお願い致します。」

「ああ。」


ネメスさん達と別れ、俺とカフィは大通りを進む。


「あっレストさん!可愛いアクセサリーが売っています。」

「ああ。」


俺に聞いてどうすんだよ。


「寄って行ってもいいですか?」

「ああ、いいよ。」

「ありがとうございますー」


どこの世界も女の子は変わらんな。俺には理解できんが。


アクセサリーなんか付けてたら戦うときに邪魔だろう。

と、以前恋愛神や装飾神に言ったら、めっちゃ怒られた。


「レストさーん。」


カフィが戻ってきた。


「可愛いアクセサリーがたくさんあって、とても楽しかったです!」

「おお、そうか。そりゃよかったな。」


カフィがバッグからアクセサリーを取り出した。


「これはレストさんの分です。」

「…俺の?」

「はい、どうぞ。」

「ああ…ありがとう。」

「ふふっ私とお揃いのにしました。」

「そうか。」

「はい!では、行きましょう。」


…はっ!もしやこれを利用して、俺を護衛にしようと……





なんてことはなく、俺達は酒場についた。昼間と変わらず賑わっている。


俺達が中に入ると、武器屋のザロップさんがこちらに気づいて、手を振った。


「行ってきたぜ、ほれ。」


俺は〈影斬〉をザロップさんに手渡した。ザロップさんは影斬をくまなく見ている。


数分後、ザロップさんがチェックを終えた。


「ああ間違いねえ。この刀は完全にあんたを認めてるよ。貰ってやってくれ。」


驚いた。刀を見るだけでそんなことが分かるとは。もしかして、結構凄い鍛治師なのだろうか。


俺と同じく驚いていたカフィが言った。


「凄いですね、見ただけで分かるなんて。」

「がっはっはっは。鍛治ギルドマスターの肩書きは伊達じゃねえってことよ!」


……は?


「鍛治ギルドマスターって……誰が?」


ザロップさんに聞く。


「俺がだよ。」

「マジで?」

「マジでだよ。」


…この陽気なオッサンが?


「おいおいお前ら、信じてねえな?ほれ。これで信じらか?」


ザロップさんが取り出したのは、鍛治ギルドのマスターカードだった。


……………マジかよ。


あまりの驚きに、俺もカフィも声が出なかった。


「まあとにかく、その刀はあんたのだ。せいぜい大切にしてやってくれ。」

「……あ、ああ、ありがとう…じゃあな。」

「おう、また暇なときは店にこいよ!」


俺とカフィは酒場を後にした。


「今日イチびっくりした。」

「ですね。」


そこに、ネメスさん達がやってきた。


「では、宿屋に戻りましょう。」








「レストさんは、何号室です?」


宿屋に入ると、カフィが聞いてきた。


「21号室だ。」

「後でお伺いしても____」

「ダメだ。」

「残念です。」


冗談じゃない。今夜のうちにこの町を出なくては。


「では、また明日。」


お嬢様御一行は部屋に戻った。


明日?会いませんよ?


部屋に戻ったら、ベッドに直行。そしてダイブ。今日はマジで疲れたからな。

だが、夜中には起きなきゃならん。まあ少しなら寝てもいいだろ。



俺は眠りに就いた。




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