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勇者の代わりは剣神様  作者: 冬空孫久
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町、自分の武器

さて、着いたはいいが、これからどうするか。


最初にすべき事は、現在位置の確認だ。

俺だって丸腰で来る程バカじゃない。

この世界の簡単な地図に、少しの食料、飲料水、コンパス、この世界の金など最低限必要な物はちゃんと持ってきた。

神の体だと全部いらないんだが、人間の体は不便なものだな。



ふと、出発前に賢神が言っていた事を思い出す。


この世界には大陸が2つあり、東西に分かれている。

東の大陸は魔物が多く、人間や他の種族はあまりいない。そして、魔王が統治しているため、魔大陸とよばれている。

かつて二つの大陸は陸続きになっていたが、あるときを堺に、2つに分割された。


俺の現在位置は西大陸の中でも西側に位置する大国、トレン王国のハストゥ岬のあたりだな。西大国を南北に分断するメテウス河の入り口だ。


この世界は長方形で、『世界の果て』と呼ばれるとてつもなく巨大な魔法壁に囲まれている。この壁は最高神のじーさんが創ったので、誰にも壊すことはできないのだ。


「じゃあ、まずはハストゥの町ってとこに行くか。仲間になってくれるやついるかな。」 


俺はハストゥの町に向けて歩き出した。


-----


ハストゥの町に着いたのはその日の夕方頃。

小さな町ながらも人々には活気があり、賑わいをみせている。魔王は世界征服とかに興味がないのか、西大陸に攻めこもうとはしない。案外欲のない魔王なのかもしれんな。


俺は商店が並ぶ大通りにでた。

日が沈むまでまだ時間があるので、宿屋に行く前に、必要な物資の調達をする。と、いっても、今のところ必要なのは武器だけなのだが。宿屋は食事付きだからな。



金は一部を除き紙幣で統一されている。通過の単位は「フェルス」という。これは、この世界を管理している管理神の名だ。管理神は神としてのランクは低いが、一神ひとりで1つの世界をしっかり管理している。俺なんかよりずっと働き者だ。


「と、武器屋はここか。」


斧を模した看板に、「ハストゥ1の武具店 武具のザロップ」とかいてある。まぁこの町に武具店は1しかないので、当たり前なのだが。中に入る。


「へい、いらっしゃい」


気前のよさそうなオッサンが武具の整理をしていた。この人が店主のザロップか。


「おう、兄ちゃん。何を探してんだ?」


兄ちゃんて。俺あんたより、遥かに年上だよ。何てこと言えるわけもないので、質問に答える。


「剣を探してんだ。刀でもいい。何かいいのあるかい?」


人化してたって剣の神だ。剣を使うは当たり前。むしろ、それ以外の事がほとんどできない。


「剣なら1つすげぇのがあるぜ。ちょっと待ってな。」


そう言って店主のザロップ(で、あろう男)は店の奥に消える。

少しして、一本の刀を持ってきた。

ほほう、これは。


「この世界に20本しかない上級剣の1つ、『黒刀 影斬』だ。その名の通り、相手の影を斬ることができる。影を斬るってのは、本人を斬るのと一緒だから、使い方次第では間違いなく最強の剣の一本だな。」


知ってる。だってそれ創ったの俺だもん。こんなのあったら面白いなー。って創って、どっかの世界に送りこんだんだが、ここにあったのか。


「何でも今から200年くらい前に、当時高名だった鍛冶師が倒した魔物の影を刀に取り込んで創ったらしぜ。」


はいそれ嘘でーす。どっから湧いたんだそのガセネタ。他の剣たちもそんな感じで創られたってことになってんだろうか。だとしたらちょっと悲しい。まぁそれより、最初の町で上級に出会えるとは、運が良かった。


「いいね。それくれおっちゃん。いくらになる?」

「いいや、金はいらねぇ。なぜならその刀は使用者を選ぶからな。生半可な実力じゃあそいつに認められなくて、まともに扱えねぇんだ。」


うわー、なんだよそのクソみたいな機能。創った奴絶対バカだろ。なんて迷惑な。…これ創ったときの俺のバカ野郎。


「で、認めてもらうにはどーすんだ?」


流石に昔過ぎて忘れちまったよ。何か変なのとか面倒くさいのじゃないといいんだが。


「おう、この刀に認められるには、こいつの影斬りの力を使って魔物討伐するんだ。20匹。」


流石俺。期待を裏切らない。………クソがっ!大変面倒な事になってしまった。


「今日はもう暗くなるからな。明日の朝もっかい来てくれ。それまでこいつは売らねぇからよ。こいつの力を使うにはコツがあるらしいからな、兄ちゃん、頑張れよ!」

「わかったありがとうよ。じゃあまた明日。」


俺は店を出た。

もう一度言おう。 クソがっ!

今俺が神の力を使えたら、あの刀創った頃の俺をぶん殴りに行ってる。まぁ、できないんだからしょうがない。宿屋を探そう。


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