81話「昼下がりの目覚めと噂話と商人と」
最近勉強ばかりしていて執筆が遅れ気味ですがご了承ください。
昼過ぎ、ニケが目を覚ました。
もふもふとした感触。
純白の毛皮がニケの枕元に広がっている。
「ん……ん? シロ!?」
突然の事に、ニケは飛び上がった。
枕元のもふもふはシロの毛皮。
呼び出してもないシロがここにいいるはずがない。
だが、ニケの目の前にいるのはシロだった。
「な、なぁニケ。そいつ召喚獣だよな?」
「え? あぁ、カラス起きてたのか。こいつはシロ、俺の相棒さ」
「相棒?そのホワイトウルフがか?」
「そうそう。一番最初に契約したんだよ」
ニケはそういうと、シロのお腹をさする。
気持ちよさそうに寝るシロは、尻尾をぶんぶんと振り始める。それほどまでに嬉しいのか。
敵ではないとわかると、カラスはベットに座り込んだ。
そもそもなぜシロがいるのか。っとニケは思った。
通常、召喚獣は主の呼びかけに応じて、召喚されるものだ。
シロは呼び出してもないのに、ニケの枕元にいる。なにか原因があるはずだが、今のニケには理解するほど知識がなかった。
ともあれ、久しぶりに見る相棒の顔。
ニケは嬉しそうに撫でている。
ガリィもあとで日の光に浴びさせてあげよう。ニケはそう考えていた。
少ししてから、ハトとフクロウが目を覚ました。
「さてと、昼食でも食べにいくか」
「それはいいんだけど……このわんちゃんなに?」
興味深そうに、ハトがシロの尻尾を触っていた。
シロは不機嫌なのか、顔を上げて尻尾をみていた。
すこししてニケに助けて欲しそうな目で訴えかけた。
「ハト、シロ尻尾触られるの嫌だって」
「あら、ごめんねシロちゃん」
そう言って、ハトはシロの尻尾を触るのを辞めた。
目を擦りながらフクロウが扉へと向かっていく。
シロを撫でるニケに、カラスが行くぞっと一言残して出て行った。
「ねぇねぇ、シロちゃんってフェンリル?」
「お。よくわかったね!」
「だって、ホワイトウルフって目が黒いもん。でもシロちゃんは黄色でしょ?伝承で読んだことあるんだ」
胸を張るハト。
ニケは、ハトの話すシロの伝承を聞きながら部屋を出て行った。
シロは雪山の神獣っということは、以前ミーチェから教授されている。
伝承に記されている事はミーチェの言ったこととほぼ同じ内容。
結局、ニケはシロの事を知ることができないでいる。
外に出たカラスとフクロウ。
行きかう商人達が、黒髪を見るや集まり始めた。
「いったいなんだ……?」
「王都で黒髪の少年を探している人がいてな、頼まれたんだ」
「頼まれた?」
「あぁ。黒髪を見つけたら伝言を伝えてくれって」
「その探してる人ってどんな人?」
カラスが商人に絡まれているところに、ニケがやってきた。
ニケは話の内容が気になったようだ。
「小柄で金髪の壌ちゃんだよ。付き添いにフードを被った女の子を連れてた」
「オラも話掛けられただ」
「俺もそうよ」
「もしかして、にいちゃんがそうなのか?」
「あぁ、その人は俺の師匠だ……」
王都にミーチェ達は先に着きニケを探していたようだ。
そのことにニケの気持ちが高ぶる。
はやく王都に行かなきゃ。っと。
「師匠?それはどういった人なんだ?」
考えているところに、カラスが会話に加わってきた。
どうやらニケの師匠、っと言うことに興味を湧かせたようだ。
「んーたしか、『西の魔女』って言ってたよ」
「「「西の魔女ッ!?」」」
その場に集まっていた商人達と、カラスが驚きながら顔を見合わせた。
やっぱりすごい人なのか師匠。っと、ニケは呑気に考えていた。
商人達がざわめきはじめた。
何の話をしているのだろうか。
「あのお方が弟子を……」
「だが男だぞ、魔法が使えるわけがない」
「王都に行く途中面白い話を聞いたぞ。黒髪の綴り手が現れたとか」
「黒髪の綴り手?」
「あぁ、現代魔法の一個手前。直筆詠唱による同時詠唱をこなすそうだ」
その話に、商人以外の旅人達が混ざり始めた。
場は騒がしくなっていく。
落ち着くと同時に、一斉にニケに視線が集まった。
無言の圧力。
半信半疑の目。
なかには好奇の目をする者までいる。
ニケは袖をめくると右手で双線を引いて見せた。
場は騒然とし、その手から引く線をただ呆然と眺めている。
「あ、あの話は本当だったんだ。君がユッケルの協会のやつらを倒して、コルックの防衛の際に助力したとは……」
「あはは、師匠達とたたかっただけだよ」
「それでも協会相手に立ち向かうのは勇気がいるだよ!」
ニケの謙遜な態度に、周りが褒め始めた。
一斉に話が広がる。
話を聞いた者は近くにいた者に。そして村から村へと広がっていく。
ひとりの商人が名乗りを上げた。
「わしは、ガメリ・レンディー! 少年、師匠に会いたいのだろう?」
「ガメリさん、それはどういうことだ?」
「いや、わしも西の魔女様に頼まれた身。できれば助力したいと思ってな」
どうやらニケを馬車に乗せてくれるようだ。
ガメリ・レンディー。
彼の知名度は高い。
なぜ高いのか。それは、彼の商人としての腕がいいのもある。
だが、一番大きいのは、王都の商人ギルドのギルド長と言うことだ。
王都に本拠地を構える商人ギルドは、人数、品数、どれをとっても帝国で敵う商人はいない。
王都の商人ギルドに入れば稼げる。
いつしか人々はそういい始め、商人ギルドは人数を増やしていった。
「これから王都に戻ろうと思っててな」
「それは、ニケを乗せていくっと言うことですか?」
「そうだ、西の魔女様の弟子と旅ができるなんて光栄だからな! がっははははは!」
「でもいいのか? ガメリさん。俺、黒髪だぜ?」
「そんなの関係ないさ。遠慮はするな、困ったときはお互い様。だろ?」
「ニケ、先に王都に向かうなら行って構わないよ?」
「カラス……そうだな。俺、先に行くよ。また王都で会おう、カラス、ハト、フクロウ」
ニケは足元に来たシロを撫でながら、3人に手を振った。
笑顔で振り返すハト。
小さく微笑むフクロウ。
またな。っとカラスが言った。
「ガメリさん、馬車に乗せてくれないか?」
「お安い御用さ! すぐに出るから先に乗っていてくれ、あの馬車だ」
ミーチェと乗っていた馬車とはまた違う、大きな馬車だ。
荷物を載せる事を考えて作られたのだろう。
商人達が道を譲るなか、ニケは何度も振り向き手を振ったのだった……
新しく商人ギルドでてきましたね。
異世界はこうでなくちゃ。
では、次回もお楽しみに!




