80話「合流と朝焼けと」
アンデットと化したデオドラとの戦闘。
ニケは文字の神リーディアと共に、魔力を存分に使いデオドラを倒した。
静まり返る湖の畔。
遠くに見える都の灯りが、黒い湖を照らしていた。
ニケは、重たい身体を引きずりながら湖を沿いを歩いていた。
その後ろを、リーディアが心配そうな顔をしながら歩いている。
「ニケちゃん、大丈夫?」
「一応大丈夫かな。ちょっと魔力が足りなくて身体が重いけど……」
ニケはリーディアに微笑み掛けた。
頷くリーディアの身体が、光と共に消えていく。
「また呼んでね!」
消え入るようなその声は、風と共に消えていった。
歩くこと半時。
橋の入り口が見え始める。
入り口の近くに3つの影。カラス達だ。
ニケを見るやフクロウが走ってきた。飛びついてくるフクロウを支えることができず、2人は揃って転がった。
「いててて、フクロウいきなり飛びつくなよ……」
「無事そうでなによりだ」
「カラスったら、すっごい心配してたんだよ?」
「い、いや。そりゃ心配するだろ?」
「心配させてごめんな。でも、あいつは倒したから大丈夫だぜ」
「それならいいのだけれど」
「終わったのなら大丈夫だな。んじゃ、王都へ向かうか!」
暗い森へと、カラスとハトが足を進める。
ニケとフクロウは起き上がると、笑いあいながらその後に続いた。
月明かりが街道を照らす。
森のざわめきが昼間に比べてよく聞こえる。
この森にも魔物がいるのだろか。
ニケは視線などを感じ取れるが、魔力が足りていない状態ではお荷物だ。
身体を引きずるように歩くニケに、ハトがポーションを渡してきた。
ミーチェからもらったポーションとは色が違う。
小さなビン。
澄んだ青色。
傾けると滑らかに動く。
「これは魔力のポーションなのだ」
「魔力のポーション?」
「そうそう。一般的な治癒のポーションは赤だけど、魔力のポーションは青なの」
「なるほどね。飲めば魔力が回復できるのか」
「うん。ニケちゃんどこかだるそうだったから、そうかなぁって」
「助かるよ。ありがと、ハト」
「困ったときはお互い様だよ」
笑うハトを横目に、ビンの蓋を開ける。
空腹だったこともあり、一気に飲み干す。
液体が胃の中に入るのを感じる。
水とは違ったその感触。
しばらくすると、お腹から全身に魔力が流れ出す。
次第と身体のだるさは消えていく。
ちょっと時間が経つと、魔力は半分以上までに回復した。
しっかりと歩き出すニケを、ハトは微笑みながら眺めていた―――
―――森に挟まれた街道を抜けた。
辺り一面に広がる草原。
雲ひとつない夜空。
ひとつひとつの星たちが、輝き、流れ、満天星空を飾っていた。
草達が、月明かりに反射して綺麗な光景になっている。
肌寒さを感じさせる風。
二つの月を背に、4人は再び歩き出す―――
――どれくらい歩いただろうか。
気がつけば星空に青みが架かっていた。
星達が薄くなっていく空。
目線を戻すと小さくだが住居が見える。
「今日はこの街で休もうか」
「休むってもう朝だぞ?徹夜だぜ?」
「徹夜は肌に悪いのに……」
「仕方ないだろ、イーディスにいたらいつ捕まるかわからんからな」
「まぁそうだけども」
ご機嫌斜めなハトをカラスは慰めていた。
村に着くがハトの機嫌は直らず、カラスは頭を抱えていた。
複雑な乙女心なのだろう。
村は小さく、住居は10軒。
宿と道具屋。他住居。
村と言うよりは休憩所のような所だ。
宿へと足を進める一同。
「いらっしゃい」
「明日の朝までお願いしたい。人数は4人」
「20シルバーだ」
腰の袋からカラスが20シルバーを払った。
奥の部屋へと案内される。
暗い部屋の中にベットが4つ。
一目散にベットに飛び込んだのはフクロウ。
やんちゃだな。っとカラスは呟いていた。
天井から吊るされる蝋燭が、小さな火と共に部屋を照らす。
現実世界との違い。
電気がないのだから仕方がない。
蝋燭の灯りでも充分に見渡せる部屋。
横目にハトを見やると、既に寝ていた。
「なぁニケ。お前はなんでそこまで強いんだ?」
「強い?俺は弱いよ」
「地面から出てた浮遊する文字とドーム状の魔方陣。どれも見た事がない、あれも全部ニケの魔法なのか?」
「あぁ、そうだよ」
「王都ではあまり使わないほうがいいだろう」
「それはなんでだ?」
「お前の力は強大すぎる。どっかの魔法使いが悪用しかねない代物だ」
「そういうことね」
ベットに寝転がりながらカラスは悩んでいた。
ニケの強大すぎる魔法。
それを危険視したのか、カラスはニケに注意を促すと眠りに付き始めた。
ニケは、シロの指輪を撫でると眠りについた―――
書き方がなかなか定まらず、右へ左へと行く日々。
そろそろ安定して書けるようになりたいです。
では、次回もお楽しみに!




