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夢にまで見たあの世界へ   作者: ゆめびと
第0章~転生、そして長い旅路~
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67話「降り始める雨と別れと悔しさと」

森の中で、オークのガオックと出合ったニケ、アシュリー。

木の上から転落して頭を打ち、気絶したニケを担いでガオックとアシュリーは馬車へと戻っていった。

馬車に戻ると、アシュリーは驚きながら事情を聞くとガオックを晩御飯に誘った。

ニケも目覚め、晩御飯を食べ終えるとガオックと話をし夜は更けていくのだった。



 ガオックとの話が終わり、焚き火がパチパチと音を立てていた。


「今から森に入るのは危ないだな……」


 立ち上がり、森を眺めながらガオックが呟いた。

 ニケは、眠気に襲われうとうととしていた。


「眠いだか?ニケ」


「あぁ。先に寝させてもらうよ」


 ニケは、焚き火の傍にいくと身を包めながら寝息をたて始めた。

 ガオックは、薪を焚き火に投げ込むとあぐらのまま眠りについたようだ。

 

 ミーチェが、目を覚ました。どうやら朝になったようだ。

 馬車を降りると、ミーチェは空を見上げた。

 

「今日は、雨が降りそうだな」


 空を覆う雲を見ながら、ミーチェは一人呟くのだった。

 焚き火の近くにあった布袋に、スープ皿をしまうと鍋を持ち上げ残り汁を捨てた。

 そのまま、馬車に片付けに行った時。ポツポツと雨が降り始めた。

 

「ニケ。雨が、降ってきただよ」


 どうやらガオックが、目を覚ましニケを起こしてくれていたようだ。

 

「ん?もう朝……?」


 半分寝ぼけている様子で、ニケが目を覚ました。

 辺りを見渡しながら、空を見上げた。


「雨降ってきてるじゃんッ!?」

 

 雨が降っていることに気がつくと、ニケは飛び上がるように立ち上がり魔編みの鞄からコートを取り出した。

 コートを羽織り、フードを被った。

 

「オラは、森に戻るだよ。話せてよかっただ」


 ガオックが、小さく手を上げ森へと戻ろうとした。


「ガオックゥゥゥゥッッ!!!」


 ニケの声ではない、別の男性の声がした。

 ニケと、馬車から顔をだしたミーチェが声の主の方向を見た。

 そこには、フードを被った冒険者と思われる男が、3人の冒険者をつれて剣を構えていた。

 後ろの冒険者は、杖や大剣を構えている。ガオックとたたかうのだろうか。

 

「今日こそ、お前を仕留めて報酬を受け取るんだッ!!!」


 先頭にいた冒険者が、剣をガオックに向ける。

 剣は刀身80cmほどの、一般的な剣だ。

 それを合図に、後ろにいた杖を持った冒険者二人が詠唱を始めた。

 すぐさま、ニケがガオックと冒険者との間に入った。

 

「やめろ!ガオックさんに何をするつもりだ!」


 ガオックを庇うように、ニケが立ちはだかった。


「邪魔をするなガキ!そいつは賞金首だ、邪魔をするならお前も消し去るぞ!」


 男は、そういうと後ろの魔法使いにやれと言った。

 だが、魔法使いたちは困惑した表情を見せると、魔法の詠唱をやめてしまった。

 

「おい!なんでやめるんだッ!あいつも殺せ!」


 男は、後ろを見ながら怒鳴っていた。


「ニケ。オラのことはいいだ。おめぇは、旅にもどれだよ」


 ガオックは、ニケを横に払いのけようとした。


「ガオックさん!だめだよ!あんた殺されちゃうんだよ?」


 その腕にしがみつくと、ニケは、声を張り上げながらガオックに訴えかけた。

 だが、ガオックの耳にニケの声は届かなかった。

 冒険者をただただ睨んでいるだけだった、


「ガ、ガオックさん……」

  

 ニケは、言葉を失い名前を呼ぶことしかできなかった。


「ニケさん!早く!」


 ミーチェは、馬車を出す準備を終えていた。

 馬車の後ろからアシュリーが、声を張り上げてニケを呼んでいた。

 どうすればいいかわからないニケは、悔しそうな顔をしながら馬車へと走っていった。


「お元気でだよ……」


 ニケは馬車に乗ると、ガオックを寂しそうに見ていた。

 ニケが乗ったことを確認すると、ミーチェは馬車の馬を走らせた。

 馬車が遠くに行くのを見ながら、ガオックは両手を上げ冒険者たちに襲い掛かっていった。

 

 馬車は、森の中にある道を進んでいく。

 そんな馬車の中でニケは、膝を抱えて小さくなっていた。


「俺は、何もできないかったのかな……」


「そんなことないと思いますよ、ガオックさんは揉め事に巻き込みたくなかったんだと思います」


 そんなニケの肩を撫でながら、アシュリーが声を掛けた。


「ニケ。あまり冒険者の揉め事に、首を突っ込むのだけはやめておけ。後が怖いからな」


 ニケを横目に見ながら、ミーチェが御者席から声を掛ける。

 

「ガオックさんいいオークなのに……なんで、なんでなんだよッ!」


 うつむいたまま、ニケは声を張り上げた。

 無言のまま、アシュリーはニケの肩を撫でる事しかできなかった。

 ミーチェも、それ以上は何も言わず馬を走らせるのみだった。

 馬車は、雨の降る中道を進んでいくのだった。

 

 しばらくして馬車は、森を抜けた。

 森を抜け、再び草木の見える風景が流れ始める。

 雨は上がり、光が雲と雲の間から差し込んでいた。

 虹が架かるその空を見ながら、ミーチェは馬を走らせていた。


 やがて村が見え始めた。

 日がもうすぐ真上に来る頃、ニケたちはナイル村に着いたのだった……。

物語が一回頭からこぼれたら戻ってこないのが最近多いのがつらいです。

新しい村に着きましたね、そろそろ街にも行きたいです。

では、次回もお楽しみに!


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