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夢にまで見たあの世界へ   作者: ゆめびと
第0章~転生、そして長い旅路~
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61話「防衛戦 戦場での奇跡」

ニケを守るため、先陣を切ったガリィ。

だが数が多く、ミーチェの魔法を使っていしても数はあまり減らなかった。

一方、オークを引きつれ中心から距離を置くアシュリーだった。


「ニケさん、戻ってきたいみたいですね」


 オークに追われながら、ミーチェたちが戻っていくのを横目に掛けるアシュリー。

 その後ろを、2体のオークが追いかける。

 外見は普通のオークだが、身体能力がおかしい。

 アンデットになると、筋肉などの枷が外れるようだ。

 桁外れの腕力、あれに掴まれたら流石のアシュリーでも危ないだろう。

 キメラを中心に展開されるアンデット陣営は、両側にオーク、その周りにアンデットといった感じの構成だ。

 アシュリーは、正面から見て右側のオークの半数と鬼ごっこをしていた。


「そろそろ、足がつらいですね」


 これまでかと、大剣を鞘から引き抜いた。

 振り返り際にオークの剣が横を掠める。

 本能のままに身体を捻り大剣を地面に突き立てる。

 

 カァァァァァァンッッ!!!!


 再度アシュリーに対して振り下ろされた剣を受け止める。

 だが、力はオークのほうが上だったようだ。

 呆然と空を眺めながら宙を舞うアシュリー。


「……え?」


 自分の置かれた状態を確認できたのは、地面に叩きつけられてからだ。

 急いで起き上がる、だが遅かった。

 オークの蹴りがアシュリーを捉えた。


「きゃあああぁぁぁぁぁッッッ!!!!」


 遠くへと蹴り飛ばされる、勢いを殺せないまま転がった。

 身体が軋む音が聞こえる。

 アシュリーは、これで終わりだと思った。

 

「こ、このまま終わってしまうのでしょうか……」


 力なく地を舐めたアシュリー。

 起き上がろうとするが、腕に力が入らない。なんどもなんども起き上がろうとするアシュリーを、嘲笑うかの様に見下すオークは、足を高くあげ踏み潰そうと勢いよく足を振り下ろそうとした。

 アシュリーは、二度目の死を覚悟した。目を瞑りただただ死ぬのを待った。

 だが、足は振り下ろされなかった。

 疑問に重い、顔をオークのほうに向ける。

 そこには、足のないオークが倒れこんでいた。

 隣にいたオークは、何が起きたのかわかっていない様子で周りを見ていた。

 そして、一人の魔法使いを見つけた。


「なにが撤退だよ!村の為に命張ってるやつ見捨てて、冒険者なんて名乗れるかよッ!」


 どうやら、冒険者のようだ。

 彼女の声に反応するように、後ろから雄叫びと共に冒険者たちが走ってくる。

 アシュリーの横を通り過ぎ、オーク目掛けて走っていく。

 先ほどの魔法使いが、アシュリーのもとに駆け寄ってきた。


「あんた、大丈夫かい?今村の入り口まで連れてってやるから」


「助かりました、ありがとうございます」


「喋れるなら大丈夫そうだな」


 彼女は、弱々しく顔を見てくるアシュリーをみつめてそういった。

 杖を置くと、彼女はほかの冒険者に声を掛けアシュリーに肩を貸しながら入り口へと歩いていった。


 ガリィは、ものすごい速さで『走り出した』。

 道中にいるアンデットなど吹き飛ばしながら、シロとミーチェと共に。

 主の下へ、その重い身体を持ち上げながら。

 目を開けたニケは、周りを見た。


「状況は変わってないみたいだな」


 何も変わってないことに対して、ニケははぁっとため息をついた。

 足元に展開されていた魔方陣が、回り始めた。

 何かが起きるのだろうか、そんなことを思っているとガリィがものすごい勢いでこちらに向かってきてるのが見えた。


「え、ガリィあんなに早く動けるの……」

 

 ガリィの全力疾走に、ニケは驚きを隠せなかった。

 今はそれどころではないことも、忘れるくらいにガリィは早かったのだ。

 ガリィの上には、振り落とされそうなミーチェが見えた。


「ニケェェェェェッッッ!!こやつを止めてくれぇぇぇぇッッ!!!!」


 ミーチェの叫び声が聞こえると、ニケは笑い出した。


「あははははは、師匠が、師匠がガリィの上に乗ってるはははははは」


「笑ってないで助けろ馬鹿者ぉぉぉぉ!!!!」


 叫んでいる間に、ガリィはニケの傍へとやってきた。


「し、死ぬかと思ったぞ……」

 

 冷や汗をかき、顔色を悪くしながらミーチェが降りてきた。

 少し手が震えていることから、相当怖かったのだろう。


「そ、それより。この魔方陣はなんなんだ」


 ミーチェは、ニケの前に来ると同時に真下の魔方陣を指差しながらニケに問いかけた。


「あぁ、これ?文字の神との契約の魔方陣っぽい」


「なぜ文字の神が……」


「なんか、俺が直筆詠唱ばっかりしてるからみたい」


 ニケは、頬を掻きながら呟いた。

 周りでは、魔法による騒音が鳴り響いていた。

 ミーチェは、横目で周りを見渡しながら魔方陣を見つめた。


「契約するのか?神と」


「あぁ、するよ」


「そうか、止める理由もないからな。主従契約と同じ感じに、契約するがよい」


 ミーチェは、そういうとガリィが走ってきた方向を見た。


「向こうは私が何とかしよう、その間に契約を済ませるんだ。いいな!」


 大鎌を構え、ミーチェはガリィの前へ出た。

 ガリィの後を追ってきたアンデットの群れが、こちらに接近してきていた。


「わかったよ。ガリィ、シロ。師匠の援護を」


 ニケは、ガリィとシロに指示をだすとしゃがみこみ魔方陣に手を添えた。


「″汝、我を主人と認めることをここに契約せよ″」


 その言葉に、魔方陣は更に光を増し始めた。

 夜明けまであと少しの空が、急に明るくなり始めた。

 

「″我が名はニケ・スワムポール″」


 ニケが、主従契約の呪文を終えると魔方陣は光と共に一瞬にして消えていった。

 辺りに再び闇が訪れ始めると、ニケの身体に異変がおき始める。

 

「ん……な、なんだこれ!?い、息苦しい……」


 背中に光が帯び始める。

 息苦しそうに、ニケは胸を押さえる。

 光は、何かを描くように動き始める。服越しでも見えるほどの光が、背中を走り始めた。


「っぐ……がはッ……っくっそぉぉぉぉぉぉッッ!!!」

 

 あまりの苦しさに、ニケが膝をついた。

 神との契約により、ニケにはかなりの負担が掛かっていた。

 シロのように、神獣の類は装飾品になり身に着けることにより、召喚することができるが。

 リーディアは、もともと精霊。精霊との契約は、身体に刻まれる刻印によって成される。

 今ニケに起きているのは、神という強大な力をその身体に刻んでいるところなのだ。

 

「はぁ、はぁ……っぐ、はぁ……」

 

 大量の汗を流しながら、ニケは耐えた。

 しばらくして、光が力を弱め始めた。どうやら刻印を刻み終えたようだ。


『大丈夫か?』

 

 目の前に薄緑色の文字が綴られる。リーディアが心配したようだ。

 終わったことを確認すると、ニケは綴られた文字を読んだ。

 ふぅっと息を吐き出すと、ニケは起き上がった。


「大丈夫じゃないわ!死ぬかと思ったぜ……」


 汗を拭いながら、ニケはその文字に声を掛けた。

 前方から、大きな爆発音が聞こえる。どうやらミーチェが戦闘に入ったらしい。

 ガリィの上が安全だとわかったのか、ミーチェは触手を振るうガリィの上で詠唱をしていた。

 ニケの方へと向かってくるアンデットを、シロは噛み付いたり引っ掻いたりしていた。

 『引っ掻く』という表現より、『引き裂く』と言おうか。

 その大きな爪を振るい、アンデットを蹴散らしていた。


『んじゃ、綴ろう?』


「軽く言ってくれるなよな……」


『大丈夫、私がついてる。それに文字の精霊達も、呼べば来てくれるはずだよ』


 綴られる文字を横目に、ニケは身体に感じる暖かさに身を預けた。


「ここに綴ろう。文字の神、リーディアの名のもと。我、ニケ・スワムポールが命ず!」


 一本の魔線を引きながら、ニケは天を仰いだ。

 目を瞑り、自分の中にあるリーディアの力に意識を向ける。

 深呼吸をし、目を開ける。指は、自然と文字を綴り始めた。


「綴ろう!″我、文字の神との契約を果たした者。汝ら、文字の精霊に告げる。集え!我が下に。集え!綴るために。集え!文字の神に捧げる文字を成すために!綴り手は一人、我が名はニケ・スワムポール。我が声に応え、その姿を顕現せよ″!」


 文字の神と一体化したニケは、もはや文字の神そのものの力を引き出していた。

 足元から、広大な魔方陣が展開される。その大きさは、半径20m以上……ッ!!!

 魔方陣から、魔法が発動した。空間が、少し薄い緑色の光に包まれる。まるで、オーロラのように辺り一面を包み込み始めた。

 やがて、地面が薄く光り始める。地面から、薄緑色に輝く文字がいくつも現れ、空へと上っていく。


「こいつらが、文字の精霊……」


 手のひらサイズの文字が、無数に現れ始める。

 その光景に、ミーチェ含める冒険者一同も呆然と眺めていた。


『我が同胞達よ、我が主に力を!!』

 

 リーディアの文字に反応し、文字の精霊達はニケの足元へと集まってきた。

 その光景は、神々しくニケの身体を纏い始める文字達は美しかった。


「これからよろしくな、精霊さんたち」


 ニケの言葉に、足元の文字達が吹き上がった……。

あかん、ニケちゃんかっこいいやばいほれそう。

ってことでご愛読、最新話だけ読んで下さった方々ありがとうございます。

そろそろ旅を再開したいんですがね、行く先々でドラマが……

まぁなんやかんや自分自身が読みたい小説を書いているのであまり気にしてません。

では、次回もお楽しみに!

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