56話「鳴り響く鐘の音」
やることのないアシュリー。
時間は徐々に過ぎていったのだった。
夜が更けて、辺りが静かになりはじめた。
「朝は……まだですか……?」
何もすることがないアシュリーは、寝ることもできずただただ窓から外を眺めていた。
アンデットになった身体は、肉の身体の喜びすらなくただただ生ける屍の一文字だった。
「なんで、アンデットになってしまったのでしょうか……」
アシュリーは、二つの月にささやきかけた。
だが、返ってきたのは静寂のみだった。
目の前に見える通りは、営業を終えた様子で人の行き来が見られなかった。
「外に出たいけど、寝ている二人を放置して行くわけにもいきませんし……」
やることがなく、ただただ夜が明けるのを待つアシュリーだった。
そんなアシュリーの気持ちを知ってか知らずか、夜はゆっくりと更けていった。
遠くの空が青くなり始めた頃だった。
カン!カン!カン!カン!
鐘の音が村中に鳴り響いた。
「きたッ!」
アシュリーは立ち上がると、ミーチェの肩を揺らした。
「ミーチェさん!起きてください!」
起こしてもおきないミーチェの肩を、両手で掴むとアシュリーは更に激しく揺らした。
「ミーチェさぁぁぁぁぁんッッ!!!」
激しく揺らされて、ミーチェは目を覚ました。
「……吐きそう。や、やめてくれ、アシュリー」
顔色を悪くしながら、ミーチェはアシュリーの肩を叩いた。
ミーチェが起きると、アシュリーはニケのもとへ歩み寄った。
アシュリーは、ニケの肩を叩きながら起こし始めた。
「ニケさん、起きてください」
「アシュリー……私、より対応が良くないか?」
ふと疑問に思い、ミーチェはアシュリーに声をかけた。
「え!?そんなことないですよ!」
驚きながら、アシュリーはミーチェに答えた。
ニケは、目を覚ますと外に響き渡る音に気が付いたようだ。
「この鐘の音は?」
身体を起こすと、窓の外を眺めた。
ミーチェは、ベットから降りると身体を動かしていた。
「さて、広場に急ぐとしよう」
顔色は先ほどよりよくなっていた。
鞄を肩に掛けると、ニケはベットから降りた。
「いくか!」
ミーチェは、それを確認するとドアへと歩いていった。
アシュリーは、大剣を背負うとミーチェの後を追った。
ニケは、窓から見える村を見てから部屋を立ち去った。
階段を降りたところで、ミーチェが受付に鍵を返していた。
「先に行っててくれ。後から追いかける」
「わかった」
ニケは、ミーチェに返事をするとアシュリーと共に外に出た。
「広場に人が集まっているみたいだな」
出てすぐに広場の方向を見るニケ。
広場には、村人の全員だろうか。かなりの人数が集まっていた。
村長が話をしている様子だ。ニケとアシュリーは、広場へと向かった。
「たった今報告があった。ユッケル方向から、大量のアンデットが接近中とのことじゃ」
その言葉に、村人たちからざわめき始めた。
「なんでこんなときに……」
「わ、私たちはどうなっちゃうんだい!?」
そこらへんから、声があがった。
「みんな聞いてくれ!」
大声をだしたのはルトだった。
ルトは、村長の横に立つと村人たちに向けて話し始めた。
「今この村には、西の魔女さんが来てくれている!俺達冒険者と、共に戦ってくれるんだ!」
それを聞くと、村人達が話を始めた。
「西の魔女だったさ……」
「協会狩りしかできないんだろ?大丈夫かよ……」
不安の声が募るなか、ミーチェがニケたちと合流した。
「どういう状況だ?」
「なんか、アンデットたちがこっちにきてるんだとさ」
やはりかっとミーチェは、つぶやいていた。
そんな中、ルトは話を再開していた。
「なんとかなるさ!俺達冒険者に任せろ!」
胸を叩くルトと、それに歓声を上げる村人たちだった。
村長の家に村人達は避難していった。
それを見ながら、ルトはミーチェを見つけると駆け寄ってきた。
「ミーチェさん、今回はよろしくおねがいするよ」
ルトは、ミーチェに手を差し出した。
ミーチェは、その手を握り返すと小さく微笑んだ。
「それじゃ、迎え撃ちにいくか!」
ルトは、後ろを振り返ると冒険者たちに声を掛けた。
冒険者達は、雄叫びをあげた。
ユッケル方面に移動を始めた冒険者を見ながら、ミーチェはニケにささやきかけた。
「無茶だけはするでないぞ」
「わかってるよ」
ニケは、そう言うと冒険者たちの後に続いた。
「いざとなったら、私が助けるから大丈夫ですよ」
アシュリーが、すれ違い際にミーチェにそう言った。
「まぁ、何事もなければいいのだがな」
ため息混じりに、ミーチェはそうつぶやいた。
入り口に向かう冒険者を眺めながら、ミーチェも入り口へと向かっていったのだった。
そろそろ別の小説が書きたい!ってなり始めてきました……。
近々別の小説も書き始めるかもしれませんが、こちらの小説は休載する予定などはありませんのでご安心を。
では、次回もお楽しみに!




