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夢にまで見たあの世界へ   作者: ゆめびと
第0章~転生、そして長い旅路~
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48話「困惑」

トレントの攻撃で気を失ったニケ。

残されたミーチェ、アシュリー、シロの一同。

トレントは、未だに倒せていない……。


 ニケが、気を失ってすぐの事。


「アシュリー!無事か!」


 ミーチェは、急な斜面を木につかまりながら降りてきた。

 気を失ったニケは眼中にないのか、トレントはアシュリーのもとへとゆっくりと歩いていた。


「右手が動きませんけど無事です!」


 右手を上げるアシュリー。どちらかといえば、右肩から腕をあげてる感じだった。

 ミーチェは、アシュリーのもとへ着くと腕を見ながら言った。


「逃げ切るにしてもニケを置いてはいけぬ。アシュリー、まだたたかえるか?」


 座り込んでいるアシュリーの前に、しゃがみこむミーチェ。


「そうですね、片手だけでもたたかえますが……」


 右手を見ながら、アシュリーは答えた。

 トレントとの距離はおよそ30m。


「私は、ニケの回復に向かう。それまで持ちこたえてくれ」


 アシュリーと話をしていると、ミーチェの足元にシロが寄ってきた。


「シロ、お主はアシュリーの手伝いをしてやってくれ」


 シロは小さく咆えると、その場にお座りした。

 アシュリーは起き上がりながら、トレントを見た。


「まずは、斧を回収しなきゃ……」


「では、頼むぞ!」

 

 ミーチェは、川を渡りトレントの反対側を走りながらニケのもとへと向かった。


「いきましょう、シロさん」


 そういうと、アシュリーはトレント目掛けて駆け出す。

 その後ろを、シロは舌を出しながらのんびりついてきていた。

 トレントにだいぶ近づいてきた、斧を探すアシュリー。

 斧は、トレントの背後に落ちていた。


「ぬ、抜けたんだ!」


 駆けながら、アシュリーは詠唱の構えに入った。


「あんま使いたくないけど、状況が状況だから……ッ!」


 トレントとの距離は、残り10m。


「″風よ、我は風と共に駆けるもの、汝、我に風の加護を与えよ″!ウィングステップ!」


 『ウィングステップ』――風属性第二位階補助系統魔法。術者に風の加護を与え、瞬時に意識した方向へと回避ができる。

 

 アシュリーの足元に、魔方陣が展開され始めた。

 魔法が発動し、アシュリーの身体は風を身に纏い始めた。


「シロさん!待っててください!」


 アシュリーが指示を出す、シロはその場で構えた。

 トレントの正面を、無視して通り過ぎようとするが枝による連撃が道をふさぐ。


「何度も同じ手には掛かりませんよッ!!!」


 アシュリーの身体が、横から押されたかのように動く。

 一度ならぬ、二度、三度も。

 枝を避けながら、斧のもとまでたどり着いたアシュリー。

 

 ―――ニケのもとへとたどり着いたミーチェ。


「まったく、無茶しよって」


 急斜面の岩を背に、座り込むようにして動かないニケの頬に触れながら、ミーチェはつぶやいた。


「″大いなる水よ、我が呼びかけに応えよ、汝、かの者の傷を癒したまえ″!ウォーターメディック!」


 『ウォーターメディック』――水属性第四位階回復系統魔法。洗練された、清らかな水を呼び出し、対象、もしくは術者の傷を癒す。


 ミーチェの前に、魔方陣が展開され魔法が発動する。

 魔方陣から、透き通った水が溢れ出し、ニケの身体のいたる部分に付着した。

 水は青白い光を帯びながら、蒸発していく。


「これで動けるようにはなるだろう」


 そういいながら立ち上がると、ミーチェはアシュリーのもとへと駆け出した。


 ――左手で斧を持ち上げ、引きずるようにして駆け出すアシュリー。

 トレントが、アシュリーの方向へと向きを変え始めていた。


「振り向き際が、勝負どころ!」


 トレントと目が合う、咄嗟に左に避けるアシュリー。


「視界に入ったら、枝の攻撃がきますからね……」


 慎重に対処しなければっとつぶやきながら、アシュリーはトレントの懐へと駆け出す。

 その背中へと、身体を回しながら斧を叩きつける。

 だが、思っていたほどダメージは入らないようで斧はすぐさま抜けてしまう。


「やっぱ、片手じゃ厳しいですか」


 すぐさま距離を置く。

 そこに、ミーチェが駆け寄ってきた。


「すまない、一応回復魔法をかけてきた」


「大丈夫ですよ、思っていたほど時間掛かってなかったようですし」


 トレントが二人を視界に捉えたようだ。

 咆哮をあげると、大股で歩き出す。

 ズシン、ズシンと重い足音がこだまする。


「どうする……」


 魔法を使うにしても属性は不利。ダメージに期待ができない。

 ミーチェの得意とする魔法は、基本的に対人の魔法だ。魔物相手では、あまり効果がないのだ。

 アシュリーは右手が使えない分、攻撃力が著しく低下している。

 このままでは、消耗戦になりどちらかが倒れるだろう。


「私が、前に出ます。その間に、ミーチェさんはニケさんと共に離脱を!」


 そういうと、アシュリーは斧を構えた。


「馬鹿者!一人では、食い止めれる相手ではないぞ!」


 力なき左手を引っ張るミーチェ。

 アシュリーは、困った顔をしながら振り返った。


「で、では、どうすればいいんですか!」


 少し涙を浮かべながら、アシュリーは小さく叫んだ。


「ど、どうしようもない……」


 珍しくミーチェが、黙り込んでしまった。


「どうしようもないなら、倒せばいいんじゃないか?」


 その声に、ミーチェ、アシュリーは振り返った。

 先ほどまで気を失っていたニケが、そこに立っていたのだ……。

久々に行き詰って書くのに時間が掛かってしまいました……。

今後もこういうときが多くなると思われますが、頑張っていこうと思います。

では次回もお楽しみに!

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