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夢にまで見たあの世界へ   作者: ゆめびと
第0章~転生、そして長い旅路~
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46話「油断」

森で、トレントと遭遇した一同。

逃げるに逃げれない状況になり、戦闘を余儀なくされた。

そんな中、ミーチェが魔法を詠唱した。


 ニケたちが戦闘しているのを、ミーチェは見ていた。


「あやつら、苦戦しておる……トレント相手に、闇属性も水属性も不利」


 どうしたものかっと、ミーチェは悩んでいた。


「せめて、あの硬い木片を吹き飛ばせれば」


 悩んでいてもしかたがないと、ミーチェは詠唱をはじめた。


「″闇の力よ。我、力を求める者なり。汝、その力を持って、敵と共に爆ぜろ!″ネクロボム!」


 詠唱を終えると同時に、ミーチェは叫んだ。


「ニケ!伏せろ!」


 ――目の前で展開された魔方陣から、魔法が発動された。

 小さな火の玉が出てきたのを見ていたニケ。


「っげ、この魔法って……ッッ!!!」


 小さな火の玉が、更に圧縮され始めた。


「アシュリー!伏せろ!」


 慌てて起き上がりながら、ニケはアシュリーに指示を出した。


「わ、わかりました!」


 トレントの真後ろにいたアシュリーは、その場に伏せた。

 それを見ていたシロも、伏せた。


「間に合ってくれぇぇぇぇぇッッ!!」

 

 ニケは、小さな火の玉を背に駆け出した。

 少し離れてからだ。


 ドォォォォォォォンッッッ!!!!!


 小さな火の玉が、爆発を起こした。


「っく……」


 背中からの衝撃に耐えれず、ニケは吹き飛んだ。

 吹き飛んだ先は、川辺から離れた森の中だった。


「ニ、ニケさん!大丈夫ですか!」


 アシュリーが起き上がり、声を張りながらニケへと問いかけた。


「大丈夫だ!それよりトレントは!」


「煙で覆われてて見えません!」


 紫色の煙がトレントを覆いつくしていた。

 煙は、すぐに風に流された。

 トレントは、正面の木の装甲を弾き飛ばされ不気味な顔の右目が見えていた。


「な、なんだあれ……」


 なんとも言えないトレントの顔に、ニケは鳥肌を感じながらつぶやいた。

 顔を露出したトレントは、一言で言うなら『悪魔』という言葉が合うくらいおぞましい顔だった。

 怒り狂ったのか、トレントは枝についていた葉を全部落とした。


「ま、ますいんじゃ……」


 ニケは、飛ばされた拍子に離してしまった大剣を拾い上げると駆け出した。


「アシュリー!なんかやばそう!」


「わ、わかってます!枝を武器に使うつもりです!気をつけて!」


「わかった」


 前かがみ姿勢のまま、大剣を構えながら駆け出すニケ。

 アシュリーは斧を構えなおし、トレントの背中へと向けて斧を振り下ろした。


「やっぱり硬い……ッ!!」


 斧を抜こうとしたとき、トレントの枝がアシュリーに連撃を放つ。

 抜きかけの斧を諦め、回避に専念するアシュリー。

 先端の尖っている枝は、殺傷力が高そうだ。

 全部一気に突かれたらアシュリーはいくらアンデットとはいえ、厳しいものがあるだろう。


「っく……」


 アシュリーの右腕に枝が刺さる。

 トレントは、それを勢いよく横に薙ぎ払った。


「きゃぁぁぁぁッッッ!!!!」


 川に向かって、放り投げられるアシュリー。

 それを横目に見ながらも、ニケは止まらない。


「このやろぉぉぉぉッッ!!!」


 木の装甲の弾けた部位へと、攻撃を繰り出す。

 それをさせまいと、トレントも枝と幹による同時攻撃を仕掛けてくる。


「っく、まだまだッッ!!!」


 視界がスローモーションになり始める。

 この感覚はっと考え込むニケ。だが、今は考えている余裕などない。

 複数の枝が、ゆっくりとこちらへと迫ってくる。

 ニケは、身体を捻りながら枝を避けながら懐へと近づく。

 頭上に振り下ろされる幹を、大剣の刀身で受け流す。

 受け流した大剣を、そのまま思い切り地面に叩きつけ身体を浮かす。

 ゆっくりと回りながら宙を『舞う』ニケ。

 迫り来る枝を蹴りながら、トレントの顔へと近づいていく。


「これで終わりだぁぁぁぁぁぁッッ!!!!」


 大剣を前に突き出し、一直線上にトレントの目を捉えた。

 あと1、2mほどのところで右から幹が迫る。


「しま……ッッ!!!」


 反応が遅れた。ゆっくりの世界でも、視界外からの攻撃には対応できない。


「ぐはッ!?」


 幹が右横腹に練りこむ。徐々に視界が元の速度へと戻っていく。


「っが、あぁぁぁぁッッ!!」


 薙ぎ払われるニケ、腹部の肉がえぐられた。

 同時に、肋骨が折れる音が何回か聞こえた。


「ぐふッ!?」


 滝つぼの横の急斜面に、背中から叩きつけられた。

 

「ニケ!しっかりするんだ!ニケ!」


 ミーチェの声が聞こえる。だが、ニケは遠のいていく意識の中ミーチェに謝るのだった。


「ご……めん、し……しょ………」


 そこで、ニケに意識は途切れた。

書いててなんだこれやばwってなってました!

でも読み返して面白いのでアリです!

今回は、なかなかに戦闘シーンが濃い気がします。

では!次回もお楽しみに!

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