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夢にまで見たあの世界へ   作者: ゆめびと
第0章~転生、そして長い旅路~
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44話「動く木」

水浴びをしに、下へ降りると間が悪くアシュリーの上半身裸体を目にしてしまったニケ。

アシュリーはすぐさま立ち去っていった。

ニケは、あとで謝罪しようと思いながら水浴びを終え、皆と上流するため急な斜面までやってきた。

後ろからガサガサと音がするので、振り向くとそこには……。


 ミーチェがシロを撫でていると、シロが立ち上がり滝つぼを見だした。


「ん?どうかしたのか?」


 ミーチェも見ると、アシュリーがこりらへと駆けてきていた。

 急な斜面を器用に跳ね上がりながら上ってくるアシュリー。


「お、お主も身体能力がよいのだな……」


 上り終え、膝に手をつき息を荒くしているアシュリーに、ミーチェがすこし引き気味に話しかけた。


「え?なんのことですか?」


 何事もないかのように答えるアシュリー。

 ミーチェは、苦笑いを浮かべながら言った。


「い、いや。なんでもないのだ、忘れてくれ」


 頭を押さえながら話すミーチェに対し、首を傾げるアシュリー。

 だが、シロが見ていたのはアシュリーではなかったようだ。

 アシュリーに見向きもせず、ニケを見つめているようだった。


「ニケに、ついていかなくて良かったのか?」

  

 ミーチェは、シロの背中を撫でながら問いかけた。

 シロは尻尾を振りながら、ニケの背中を見守っている。


「ふむ。アシュリー、なぜ駆けてきたのだ?」 


 ミーチェは、立ち上がりながらアシュリーに問いかけた。

 アシュリーは頬を少し赤くしながら答える。


「ニ、ニケさんに……その、裸体を見られたといいますか……」


 俯きながら喋るアシュリーに、ミーチェは頭を掻きながら申し訳なさそうに言った。


「あー。私が、ニケに行けと言ったのだが……間が悪かったな、すまない」


 そう言うと、頭を下げるミーチェ。


「い、いえいえ。少し、恥ずかしかっただけですから。大丈夫です」


 アシュリーも、へこへこと頭を下げた。


「さて、あの馬鹿弟子が出てくるまで待つか」


 ミーチェは、川に足をつけながらアシュリーを横へと誘った。

 川辺に座ると、ミーチェはアシュリーと話し耽るのだった。

 少ししてからシロが、唸り始めた。


「どうかしたのか?」

 

 ミーチェは、立ち上がるとシロの傍へと向かった。

 アシュリーもそれに続いた。

 シロの見る方向を見るが、裸のニケ以外ほかに異変はないように『見えた』。


「なにかがおかしい」


「わ、私にはなにもわかりません」


「いや、先ほどと何かが違う」


 ニケは、服を着るとこちらへと歩き出した。

 それと同時に、ミーチェは嫌な予感がしていた。


「なにかが……くる」


 ミーチェは何かを察したのだろうか、険しい顔をしていた。

 アシュリーは、ミーチェの顔を伺うが目線はニケの方向へと釘付けだ。


「動き出した!」


 ミーチェが、言うと同時にニケの後ろの木が動き出した。


「あれは、『トレント』ですね……」


 『トレント』――木の形をした魔物。木に化け、実を実らせ動物を誘き寄せて食らう。もちろん人間もだ。

 大きさは、6mほどだろうか。動きは鈍いが、ゆっくりとニケに近づいている。


「ニケ!気をつけろ!」


 ミーチェは叫んだ。

 

 ――振り向いたらそこには、大きな木が『いた』。

 すると、ミーチェが気をつけろっと叫んでるのが聞こえた。


「な、なんだこいつ」


 少しずつだが、動いているようだ。

 ニケは、距離を置く。だが、後ろは急な斜面。急いで上っている間に迫られるだろ。


「覚悟決めろってかッ!!!」


 左手に魔力を送り込む。

 左手が光を帯びたところで、右手を合わせる。

 イメージを構築、硬く、大きく、切れ味のいい……。

 手を離し始めると、そこにはいかつい大剣が握られていた。


「思ってたより、軽いのがすごいよなぁ」


 両手で握りながら、木に対して構えた。

 すると目の前に影が下りてきた。


 ――ニケが、練成するのを見ていたミーチェ、アシュリー、シロ。

 すぐさまシロが駆け下り始めた。

 

「わ、私も行ってきますッ!」


 そういうとアシュリーは飛び降りていった。


「この高さを、飛び降りるのは無理だな」


 飛び降りていった、アシュリーを見ながらミーチェはつぶやいた。


「しかたない、後衛に専念するしかないのか」


 ミーチェは、詠唱を始めた。


「″水よ我が元へ来たれ、その力を持って敵を打ち倒せ″ウォーターハンマー!」


 トレントの真上に、魔方陣が展開され水の塊が生成されはじめた。


 ――目の前にいたのは、シロだった。


「シロ、きてくれたのか!」


「あ、あの、私もいます」


 後ろを見ると、アシュリーもいた。


「その大剣、私に貸してくれませんか?」


 アシュリーは、トレントを見ながら横へ歩いてきた。

 トレントは、人が増えたことに驚いているのか動かなくなっていた。


「あ、あぁ」


 歯切れ悪く、ニケは大剣をアシュリーに渡した。

 トレントの真上に魔方陣が展開された。


「師匠の魔法か」


 即座に左手に魔力を送り込む。

 左手が光を帯びはじめたところで、右手を合わせる。

 イメージを構築、大きく、切れ味がいい……レイン兄のあの斧を。

 手を離し始める。

 レインの持っていた斧そっくりの……いや、瓜二つの斧が練成された。

 ニケはそれを握り締めた。


「レイン兄……力借りるぜッ!!!」


 トレントに、水の塊が叩きつけられたと同時に、ニケとアシュリー、シロは駆け出した。

 今は亡き者に対しての気持ちの現われか、斧はまばゆい光を帯び始めた……。

視点の切り替えが慣れてきましたね、3人の会話よりこっちのが書きやすかったです。

さてさて、新しい仲間のアシュリーは一体どういう戦い方をするのか!

次回にご期待ですね。

次回は、皆様から呼んでて楽しいっと言われる戦闘シーンになりますね。

私自身も書いていて楽しいので、読んで楽しんでもらえるのは嬉しいです!

では、次回もお楽しみに!

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