43話「いつも傍にいる相棒」
ミーチェ、アシュリーが水浴びをしている間、ニケは見張りをすることになった。
最初は、覗くだの言い出していたがやる気がおきずシロと座り込んでいるだけだった。
結局、なにもせず辺りを見ていたニケ。
「流石にね。常識だよな」
横に伏せているシロに声をかけた。
だが、相変わらずシロはあくびをしているだけであった。
「暇だな」
ニケは、あくびをするシロの隣で足を抱え込みながらあくびをした。
「ニケ。そろそろお主が入る頃だぞ」
一足先に、ミーチェが上に上がってきた。
まだ髪が乾いてないようで、タオルで拭きながら上ってきていた。
「シロは、相変わらず暇そうだな」
ニケの前まで来ると、横にいたシロの頭をなでながらミーチェが話かけてきた。
「アシュリーは、もうすこしかかるだろう」
「まだ水浴び?」
「いや、死んだときにできたであろう傷を縫っておる」
「生々しいからやめてくれ」
苦笑いを浮かべながら、ニケは小声でつぶやいた。
「たたかいのときは、血も涙もないのによく言うじゃないか」
「戦闘のときは、何も考えれなくなるんだよ」
そういいながら、立ち上がるとニケは滝つぼへと降りていった。
「シロ、お主は行かぬのか?」
太陽をまぶしそうに眺めるシロに、ミーチェが問いかけた。
シロは、こちらを向くと瞼を何度も開けたり閉じたりしていた。
どうやら、まぶしかったらしい。
「あほなのか……?」
呆れながらミーチェは、シロの隣に座り込んだ。
「フェンリル様も、お疲れなのかね」
ミーチェは、シロの背中を撫でていた。
滝つぼに行くと、アシュリーが背中を向けて腹部を見ていた。
「アシュリー、俺そろそろ水浴びしたいんだけど」
ニケが、声をかけるとアシュリーは少し驚いたようで、肩を震わしていた。
「い、いつからいたんですかっ」
勢いよく振り返ったアシュリー。
服装が乱れ、上半身の裸体があらわになった。
「っあ……」
あわてて胸元を隠すアシュリー。
ニケは、脳が停止したのかまったく動かなくなっていた。
「あ、あんまり見ないでくださいッ!!!」
アシュリーの平手打ちが、ニケの右頬にクリーンヒットした。
「あぶッ……!?」
反応が遅れ、半回転しながら地を舐めることになったニケ。
「っは!?俺は何を」
「それは、こっちのせりふです!」
アシュリーは、そのままミーチェのもとへと走っていってしまった。
その背中を申し訳なさそうに見守るニケであった。
「とっさに見ちまったけど……あとで、謝らないとなぁ」
頭を掻きながら、木陰で服を脱ぐニケ。
「服も洗わないとなぁ。あー、でも洗剤とかないか」
魔編みの鞄を木陰に置き、服を持ち滝つぼへと入っていく。
水はひんやりしていて気持ちよさそうだ。
「シロもくればよかったのに……」
途中まで入り、腰をつけながらニケは呟いた。
ここ最近、戦闘ばかりでシロとあまりのんびり過ごせていない。
いつも一緒にいるため、すこしでも離れると寂しさを感じるニケであった。
「にしても、久々に風呂に入りたいもんだ」
次の村で宿に泊まれればっとニケは小さな夢を抱いていた。
なんやかんやで、太陽が森より高い位置に来ていた。
「もうそろそろ、戻らないとな」
水から上がると、魔編みの鞄からタオルを取り出す。
途中洗っていた服は手で持っていくとして、新しい着替えを鞄から取り出す。
「なんか、同じの二着って落ち着かないな」
服を持ち上げながら、文句を言っていた。
「次の村で、服とかも買わないとな」
鞄を肩に掛け、急な斜面を上ろうとしたときだった。
ガサガサ……。
後ろから、木が揺れる音がした。
「ん?」
振り向いてから気づいた。
木が……近づいていることに……。
書いていて思った、ニケは変態にしたくないっと。
てことで、今回はシロが傍にいないときのニケの心境を書き込んでみました。
なにがともあれ、ニケにはシロがいないとってなりますからね。
では!次回もお楽しみに!




