38話「アンデットの襲撃」
突然の鎧の音に、目を覚ますミーチェ。
見ると、アンデットの群れがこちらに迫っていた。
急いでニケを起こすミーチェ。
ニケはおきると、掛け声と共に駆け出した。
「私の口癖が、移ってしまったな……」
ミーチェは、そうつぶやきながらニケの後を追いかけた。
ニケは、石造りの橋の上につくとアンデットにいきなり襲われた。
「あぶねッ!!」
鎧を着たアンデットは、剣を振るいながらニケに襲い掛かる。
周りには、狩人みたいな格好のアンデットや、軽装をしたアンデットがいた。
「まだ、日が上がっていない。アンデットは昼間はとろくさいが、夜は活発に動くから注意するがいい」
「それ、先に言ってくれるッ!?」
ニケは、剣を持ったアンデットの攻撃を受け止めながら叫んだ。
剣を受け止めながら、ニケはアンデットに蹴りを入れた。
体勢を崩すアンデットに、刀を突き刺す。
「こいつら、こんなに動くようになるの?」
ニケは、ミーチェに問いかけながら別のアンデットに切り掛かる。
軽装のアンデットは、ダガーを構えるとニケの刀を受け流す。
そのまま、ニケは回し蹴りを食らった。
「っく……ッ!?」
右からの腹部への衝撃に、ニケは対応できずに呼吸が乱れた。
腹部を押さえるニケに、軽装のアンデットはダガーで突きをしてきた。
顔面に向け、ダガーが寄ってくる。
ニケは、左手で腹部を押さえながら右手に握る刀で受け流す。
受け流した拍子に、軽装のアンデットは前屈みになった。
そこに、刀を振り下ろすニケ。
「動きが……違いすぎるだろッ!!」
軽装のアンデットの左腕を、切り落とす。
軽装のアンデットは、落ちた左腕からダガーを拾い上げる。
「拾わせるかッ!」
構える前に懐にもぐりこみ、喉目掛けて刀を突き上げる!
刀身は、顎と喉の間に突き刺さり後頭部へと貫通する。
力なくうなだれるアンデットから、刀を抜き取りミーチェの盾となるニケ。
ミーチェは、それを見ると詠唱に入った。
「″闇よ、我が元へ来たれ、その力を持って魂を宿し、敵を討ち滅ぼせ!″!『ネクロソウル』!」
『ネクロソウル』――闇属性第五位階魔法。漆黒の闇の魂を宿した、火の玉を5つ召喚する。召喚された闇の魂は、術者を守る。
魔方陣が展開され、魔法が発動する。
5つの青白い炎の魂が、ミーチェの周りをうろうろとうごめく。
「師匠。はやく!」
シロが、敵の多さにこちらに退いてきた。
それをみたニケは、ミーチェに急ぐように促す。
「間に合わないッ!」
次の詠唱の準備をするミーチェを横目に、ニケは双線を引きながら走り出す。
「綴る!″雷電よ、我に力を、衝撃と共に敵を弾け″雷電の大咆哮!」
ニケの左手に、魔方陣が展開される。
シロと、入れ違いに迫り来るアンデットたちに立ち向かうニケ。
「くらえッッ!!!」
ドゴォォォォォンッッ!!!!
爆音と共に、雷電の大咆哮が放たれる。
放たれた雷電を帯びた衝撃波は、アンデットたちを勢いよく吹き飛ばした。
「こい!ガリィッ!」
ニケは、ネックレスを持ち上げるとガリィを召喚した。
石造りの橋の中央に、魔方陣が展開されガリィが姿を現した。
「ッッッッッ!!!」
咆哮とともに、現れたガリィ。
「ガリィ!アンデットを近づけるなッ!」
ニケが、指示をするとガリィはご自慢の4本を構えた。
近づくアンデットをガリィは、薙ぎ払い、叩き潰し、触手で突き上げた。
「師匠。早く!」
「わかった」
瞑想を終えると、ミーチェは詠唱に入る。
「″漆黒の闇に命ず。汝、我との契約の元。その姿を見せたまえ″!我が元に来たれ!ギルティーサイス!」
魔方陣が展開され、その手に2mほどの鎌が握られた。
「さぁ、アンデット狩りと洒落込もうじゃないかッ!!!」
「あぁッ!!」
ニケは、掛け声と共に刀をアンデット目掛けて投げつけた。
投げつけられた刀は、喉に刺さりアンデットは倒れ込んだ。
「シロ!咆哮でガリィを援護!師匠は、漏れ残しの処理を!」
「私は、雑用かッ!」
鎌を振りながら、ミーチェは悔しそうに叫んだ。
「いや、俺が魔力切れになったときのために控えててッ!」
ニケは、双線と魔線を引きながら駆け出す。
「綴る!″我、光の力を求めるもの。射抜け、その光と共に″ライトニードル!」
「綴る!″雷電よ、我に力を、衝撃と共に敵を弾け″雷電の咆哮!」
左手に、二重の魔方陣が展開され、右手に魔方陣が展開された。
ガリィの傍を駆け抜けるニケ。
目の前には、アンデットたちが群がっていた。
ニケは、左手を前に突き出しライトニードルを2発連続で放つ。
魔法が発動し、複数の光の矢が2回襲い掛かる。
アンデットの群れめがけて放たれた、光の矢は前方にいたアンデットの頭や、腹部、足などに刺さった。
その場で止まらず、アンデットの群れの正面へを駆け込むニケ。
「くらえぇぇぇぇッッ!!!」
雷電の咆哮が放たれる。
アンデットたちは、くの字に吹き飛ばされながら身体に雷電が走っていた。
視界が、スローモーションになっていく。
ゆっくりと吹き飛ぶアンデットたち。
ニケは、構わず駆け出す。視界はゆっくりと動くが、身体はそれ以上に早く動いていた。
左手に魔力を流し込み、太刀を練成する。
太刀を握ると同時に、ゆっくりと吹き飛ぶアンデットたちを薙ぎ払った。
「うおおおおおおおおおおッッ!!!!」
掛け声を発すると共に、視界が元の速度に戻っていく。
最近、戦闘シーンを書くときにどうしたらもっと描写がわかるかなと考えながら書いてますが。
なかなかこれといって上手くかけないのが、つらいです。
今回も、上手く想像してもらえればいいなと思ってます。
なんやかんやで書くのが楽しいです。
では、次回もお楽しみに!




