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夢にまで見たあの世界へ   作者: ゆめびと
第0章~転生、そして長い旅路~
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36話「召喚術」

焚き火を囲み、食卓に浸った一同。

食べ終えたあと、焚き火を見ながらのんびりするニケに、ミーチェが声をかけた。


 食事を終えた一同は、焚き火を囲っていた。


「ニケ。忙しくて、何も教えてやれなかったが……」


 ミーチェは、そういいながら自分の魔編みの鞄から魔道書を取り出した。

 シロを撫でながら、ニケはミーチェの取り出した魔道書を見た。


「お主は、召喚術を学んだほうがいいと思ってな」


「召喚術って、契約以外何かできるの?」


「そうだな、基本的には召喚して召喚獣をたたかわせるのが召喚術だ」


 ミーチェは、魔道書を眺めながら話し出した。


「お主の場合は、錬金術も使えるのでな。共にたたかう、と言ったほうがいいのだろうか」


「確かに、シロと一緒にたたかってきたな」


 ニケは今に至るまでの戦闘を思い返した。

 シロとの連携や、シロが庇ってくれたこと。どのたたかいにも、シロは重要な立ち回りをしていた。


「そして、今回新しく契約したオーガ・リック……」


 何か言いたげな顔をしながら、ミーチェは話を進めた。


「オーガ・リックの生態について、先に話しておこう」


「食人草ってこと以外、なにもわからないからな」


 ニケは、首元のネックレスを撫でた。撫でたネックレスが、小さく光るのが見えた。


「あれ、なんか光ってるんだけど……」


 光を増すネックレス。宙に浮き始めると、魔方陣が展開された。


「ニケ!呼び出したのか!?」


 突然の事に、少し距離を置くミーチェ。

 魔方陣が光り始めると、そこには小さいオーガ・リックが現れた。


「ち、小さい……?」


 先ほどはあんなに大きかったのにっと、眉を寄せるミーチェ。

 シロの大きさも、伝承の10分の1程度なのも何か原因でもあるのだろうか。


「なんで小さいんだ?」


 そういいながら、小さなオーガ・リックをつつくニケ。

 小さくなったオーガ・リックは、4本の触手でニケの指を撫でていた。


「契約獣が、小さくなるのは聞いたことないぞ……」


 再び魔道書を開くミーチェ。

 それを横目に、オーガ・リックを肩に乗せるニケ。

 シロは、肩に乗るオーガ・リックのにおいを嗅いでいた。


「どうしたんだ?シロ」

 

 ある程度においを嗅ぐと、シロは興味をなくしたのかニケの傍で寝転がった。


「仲間と、判断したのではないか?」


 シロの行動を、ミーチェは察したかのように言った。


「喧嘩しないだけいっか」


 ニケは、そういうとシロを撫でた。

 魔道書を見ていたミーチェが、何かを見つけたかのようにニケに見せた。


「ここに書いてあるのが気になってな」


 そういうと、ニケはミーチェが開いたページに目を通した。


「召喚獣が、本来の大きさでない理由?」


 ページには、召喚したとき本来の大きさにならな理由がいくつか書かれていた。

 『なぜ本来の大きさではないのか』――あげられる理由はいくつかある。まず、契約した魔物の詳細を知らない。これは、召喚術の初心者によく見られる事だ。召喚する際、微量の魔力で呼び出したりすると、召喚獣は本来の姿、力を発揮できない。


 本には、そう記されていた。


「呼び出すときの魔力……」


 いつも、ただ呼び出すだけのニケは、どうやら心当たりがあったようだ。


「何事にも、魔力が必須ということだな」


 勉強になったとミーチェは、頷いた。

 

「可能性の話だが」


 ミーチェは、気がついたことを話し始めた。


「私は、お主に直筆詠唱しか教えておらん。たぶんそれが原因だろう」


「そういえば、師匠は呪文詠唱だもんな」


「魔法は、初心から学ぶものだ」


 そう言いながら、ミーチェは腰を上げた。


「ニケ。一度オーガ・リックを戻し、再度呼び出してみろ」


「また、小さいままだと思うんだけどなぁ」


 ニケは、そういいながらオーガ・リックに触れた。


「ありがとう、戻っていいぞ」


 ニケが、そう言うとオーガ・リックは光と共にネックレスへと消えた。


「呼び出すときに、オーガ・リック本来の姿を想像するのだ。たたかった時を思い出すのだ」


「わかった」


 ニケは、ネックレスを持ち上げた。

 イメージの構築、大きく、触手による激しい連撃、あの咆哮……。


「おいで、オーガ・リック」


 ネックレスが光りだした。

 先ほどの魔方陣よりも、桁違いな大きさの魔方陣が展開される。

 魔方陣が次第に光を帯び始めた。

 あまりの眩しさに、目を瞑るミーチェとニケ。

 目を開けると、焚き火の傍には横3mほど、高さ3mほどあろう巨体が現れた。


「成功したのか?」


 ミーチェは、目を開けながらその巨体を見上げた。


「そうみたいだな」


 ニケも、その巨体を見上げた。

 本来の姿で召喚されたオーガ・リックは、触手でニケを撫でるのだった……。

一日1話更新の目標が守れませんでした……。

バイトで時間が遅くなり、深夜の投稿となってしまいました。

さぁ、今回はミーチェが召喚術について、ニケに講義してくださいました。

おかげでオーガ・リックは本来の姿に!

今後どうなっていくのか楽しみですね。

では、次回もお楽しみに!

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