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夢にまで見たあの世界へ   作者: ゆめびと
第0章~転生、そして長い旅路~
28/93

27話「夢を語る者と旅立ち」

シロが実はホワイトウルフではなく、クルス山脈の守り神だった。

ミーチェからいろいろと聞き、シロに対して少しわかったことが嬉しかったニケ。

ミーチェが寝るといい、ニケも一緒に寝た。

そして、異世界に来て4日目の朝が来た。


 夜が、明けようとしていた。


 アォォォォォォォォンッッッ!!!!!


 シロが、遠吠えをしていた。

 シロの遠吠えでニケが、目を覚ました。


「ん~。身体がバッキバキだぜ……」


 背伸びをして、首を左右に振るニケ。

 ミーチェは、まだ寝ているようだ。


「昨日は忙しかったからな、起こさないでおこう」


 そう言いながらニケは、裏口へと向かった。

 裏口の扉を開け、シロを呼ぶ。


「おいで、シロ」


 指輪に呼びかけると、村の方向からシロが走ってきた。

 ニケのもとへ来ると、身体をスリスリしてきた。


「はは、おはよう。シロ」


 ニケは、シロをわしゃわしゃと撫で回した。

 すこししてニケは立ち上がった。


「朝飯、探しいこっか。おいで、シロ」


 向かうは村、昨日は災難なことに村人は全滅。

 いまさら家捜ししても、何も言われないだろう。

 家の正面へ向かおうとすると、朝日が昇り始めた。

 

「朝は気持ちいな」

 

 まぶしそうに手で朝日を隠しながら、ニケはつぶやいた。

 家の正面から、村へ続く丘の道を下る。 

 小さな路地を入り、ゆっくりと進む。


「昨日はいろんなことがあったな、初めて依頼を達成したと思ったら村はこの様。俺は、冒険者になっていろんなところに冒険するのが夢だったんだ」


 共に歩くシロに、夢を語るニケ。

 路地を抜け、そのまま露天市にでた。

 左手に、冒険者ギルドがある。


「一目だけでも……見ていこうかな」

 

 冒険者ギルドは二階立ての木造だ。

 村の家事が北口だけでよかったと、そう思うニケ。

 玄関先は2、3段くらいの階段を上り大きな扉が待ち受ける。

 扉を寂しい目をしながらなでるニケを、慰めるかのように寄り添うシロ。


「入ろうかっ」


 シロに小さく微笑みかけ、扉を開けた。

 内装は酒屋のようだった。

 右奥に掲示板のようなものがあり、机が5つほどあり、各机に椅子が5、6個置いてある。

 机などの置くには、カウンターがあり、その多くにお酒などが並んでいた。

 部屋の左奥には階段があり、二階はここからでは良く見えなかった。


「ここは、食事を取るところだったのかな?」

 

 カウンターの置くに厨房が見える。

 ニケは、中に入ると掲示板のもとへ向かった。

 依頼書だ、遠出の護衛から村周辺の魔物討伐などいろんなものが貼ってある。


「俺も、ここで仕事したかったな。一緒に冒険する仲間とさ、野宿とかして、火を囲んでみんなで同じ鍋の飯食ってさ」


 夢にまで見たギルドにいるのに、なぜか涙がでてきた。


「俺……この村で、師匠と……楽しく過ごしたかった……」


 うつむき、歯を食いしばりながら涙が1つ2つと床に落ちる。

 

「過ぎたものは仕方がない。今更、どうこういっても仕方がないことだ」


 入り口の扉に背を預け、腕を組みながらミーチェが話しかけてきた。


「師匠……」


「この村はもう、人は寄り付かぬだろう。そうなれば、私も生活ができなくなる」


 確かに、森に住まうミーチェの生活日常品をそろえる手段がなくなった。

 だが、ニケにはミーチェの言うことが上手く理解できないようだった。


「それは、どういうことだ?」


「だーかーらー!私はあの家を出て、旅に出るといっておるのだ!」


「た、旅?師匠が?俺はどうなるんだ?」


 はぁっとため息をつきながら、ミーチェは中に入ってきた。

 ニケの目の前まで来ると、ミーチェは身を乗り出しながら言った。


「可愛い弟子を見捨てていくと思ったか、馬鹿者め!」


 そういいながら、ニケの頬に手を添えた。


「お主は、魔法を学びたいのであろう?」


「あぁ。もうこの村みたいなことがないように、それを阻止できるような力が欲しい」


「ならば、共に来い。私が魔法を教えてやる、得意属性だけだがな」


 それを聞くと、やっと理解したかのように目を輝かせるニケ。


「ありがとう。師匠!」


 そういいながらニケは、ミーチェに抱きついた。


「だ、抱きつくな馬鹿者!」


 ニケの腕の中で、暴れるミーチェ。

 ニケは、すぐさまミーチェを解放した。


「まったく、喜ぶのはいいが。まずは、身支度だ」


 そう言いながら、出口へと向かっていくミーチェ。

 その後に続くニケと、シロ。

 こうして、旅立つことになった一同だった……。

いろんな人から指摘、誤字等教えていただき、自分自身で自分の小説を読むのが楽しくなってまいりました。

ブクマ、評価、コメント等ありがとうございます。

アクセスだけでも最新話だけでも読んで頂き、見ていただき感謝です。

では、次回もお楽しみに!

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