21話「広場での戦闘」
広場に集まるアンデットたち。
ミーチェの指揮の下、広場への突破を試みる一同……。
もうすぐ広場が見えるだろうところには、アンデット達が群れを成していた。
来るときに起きていた、北口の火事は収まったようだ。
「マジかよ。おい姉さんこりゃまずいぜ…」
「そんなものわかっておる。私達がやらねばならないことだ、覚悟を決めろ!レイン」
「そんなもの、協会の連中といるときからしてるぜ」
「師匠。これは流石に正面突破は厳しいんじゃないかな」
「そうだな、ここで数を減らさなければ包囲されて終わりだ」
数はおそらく、70を軽く越えているだろう。
この村の人口は、150人前後。
焼死体の数が多いのは、北口のみのはず。
「アンデットの数が少ない気がする」
「姉さん、そりゃどういうことだ?」
「焼死体と首のない死体は、来るときそんなになかった。それを考えても数が少ないのだ」
「北口と、広場しか俺は見てないけど、焼死体は北口のみしかなかったぜ」
「俺が殺したのは皆、首がないはずだ…。まさか、こんなことになるとはな……」
流石に、罪悪感が大きいのだろう。
レインは、申し訳なさそうにアンデットたちを見ている。
「今は、悔やんでいる暇はない。レイン、お主が犯したことは許されないだろう。ならば、奪った命の分いろんな人を救って見せろ。それがお主の罪滅ぼしだ」
「わかってる。だから俺は、あのウィッチを倒す!」
レインは斧を構えなおした。
「ニケ、魔法で前方にいるアンデットの数を減らすぞ」
「わかった」
「レイン、数が減ったらこちらに流れてくるだろうから、広場に入り北口方向を頼む。私は南口を、ニケとシロはウィッチの元へ!」
「あいよ!」
「了解!」
ニケは、左手の小太刀を地面に突き刺すと左手を構えた。
双線をだし、詠唱の準備にかかる。
ミーチェも、詠唱を始めた。
「綴る!″我、光の力を求めるもの。射抜け、その光と共に″ライトニードリング!」
「″水よ、その脅威を持って敵を薙ぎ払え、その大きな力を持って敵を一掃せよ″!ウォータースパイラル!」
ニケは、二つの魔方陣を左右の手に展開させた。
魔法が発動し、複数の光の矢が前方にいるアンデット達に放たれた。
5、6体は倒れただろう。
だがそれでも足りない。
すると、ミーチェの魔法が発動した。
ニケの倒したアンデットの骸あたりに魔方陣が展開された。
魔方陣が光を増し、水が流れ出す。
流れ出した水は徐々に渦を巻き始めた。
やがて、高さ15mはあろう渦巻きの柱が出来上がった。
「薙ぎ払えッ!」
ミーチェの言葉と共に、渦巻きの柱は前進を始めた。
ゆっくり、アンデットたちを巻き込みながら。
巻き込まれたアンデットはしばらくすると、すごい速さで吹き飛ばされていた。
広場のあちらこちらへ、壁に打ち付けられるもの、地面に頭から突き落とされるもの。
集団に突っ込んで、ボーリングのようになぎ倒していくもの。
「師匠すげぇ……」
「見惚れている場合ではない!いくぞ!」
ミーチェは、ニケに注意するとすぐさま詠唱の準備に入った。
「うおおおおおおおおおおッッッ!!!」
先陣を切ったのは、レインだった。
レインは、広場に入ってすぐ北口に向け走りこむ。
斧を横から薙ぎ払い、アンデットたちを薙ぎ倒していく。
首を叩き落されるもの、腹部から斧をくらい、上半身がもげるもの、下からの振り上げにより切り上げられるもの。
「うっひょぉ、レイン兄すげぇ。俺の負けてられないぜ!いくぞ、シロ!」
ニケは、小太刀を抜き取り広場へと走り始めた。
そのあとに続くシロ。
「くらえええええええええッッ!!!!」
走りこみと同時に、右足を軸に両足を地面に着け時計回りをしながら刃を立てた!
回転するニケの斬撃をくらい、腹部に深い傷を負うもの、手を切り落とされるもの。
後ろに続くシロは、吹雪の障壁を展開させた。
高く飛び、爪で脳天から叩きつけられるもの、足を噛まれ振り投げられるもの、喉を噛み千切られるもの。
シロの身体は、返り血により徐々に赤く染まっていく。
「″大いなる闇の炎よ、我が呼びかけに応え、その熱を持って敵を焼き殺し、灼熱の地獄と化せよ″!ヘルフレイム!」
ミーチェは、南口手前に向けて魔法を放つ。
大きな魔方陣が展開された。
今までに見たことがないくらい大きい、直径10mはあるだろう。
魔方陣が光を帯び始め、魔法が発動する。
第5位階闇魔法『ヘルフレイム』――闇属性範囲魔法の中でももっとも威力のある魔法だ。
魔方陣の中心から、蒼い炎が噴出す!
魔方陣の中にいたアンデットたちは、蒼い炎に呑まれそのまま倒れていった。
「師匠やべぇ……」
ニケは、ミーチェの魔法の強大さに気づく。
「俺も早くあんな風になりたいぜッッ!!!」
左手の小太刀をアンデットに向けて投げる。
小太刀は、アンデットの頭に刺さると光となり消えた。
ニケは、右手の刀でアンデットを切り刻みながら直筆詠唱を繰り出す。
「綴る!″雷電よ、我に力を、衝撃と共に敵を弾け″雷電の咆哮!」
左手を銃のように構え、二重の魔方陣を展開する。
「吹き飛ばせぇぇぇぇッッッ!!!!!」
中央から迫り来るアンデットたちに向け、魔方陣を同時発動させる。
二発の魔法が放たれると同時に、アンデットたちは勢いよく吹き飛ばされる。
焦げにおいがあたりに立ち込める。
その隙間を縫ってシロが走り出す!
アンデットを前に、足を踏ん張り大きく息を吸うと
今まで聞いたことがない咆哮を上げた!
アンデットたちは、咆哮が放つ衝撃に耐えようと踏ん張っている。
「シロ……?」
今までにない咆哮を放つシロに、すこし不安を感じるニケだった……
いやぁ、複数人の戦闘シーンはどうやれば、っとなっていたので自分なりに書かせていただきました。
今回も戦闘ですねぇ、最近戦闘シーンが多い気がw
ご愛読者の方々に感謝です。
ツイッターなどでここ誤字ありますよっと言ってくだった方々に感謝です
後日大型修正します。
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では、次回もお楽しみに!




