14話「一難去ってまた一難」
魔物退治を終え、村に向かう一同。
中身のない話をしんがら、楽しく歩いていると。
村から煙が立ち上っているのが見えた...
村でいったい何が!
川辺を、歩み去っていく一同を影から見つめる目線があった...。
「ん?ニケ、どうかしたか?」
「いや、誰かに見られてた気がして」
「それは、気のせいではないのか?」
「疲れてるのかもな!」
振り返って後ろを見るニケに、ミーチェは声をかけた。
実際なにもないのかもと、つぶやきながら歩き始めるニケ。
ミーチェは、その視線とやらを気にしていた。
「村って何があるんだ?」
「そうだな、市場と居酒屋に宿、あとは冒険者ギルドがある」
「俺、冒険者ギルド行ってみたい」
「村観光は後ほどな。先に、村長の元へ行かねばならん」
「今回の依頼って、報酬とかでるのか?」
やっぱ異世界の依頼って言ったら、レアアイテムとかの報酬だよなぁっとゲーム知識で思っているニケ。
「基本的に、お金が多いぞ?」
「え、アイテムとか装備はもらえないのか?」
「そうだな。武器屋などの報酬で、店のものをくれる場合はあるが。基本的にはお金だ」
「山分けだよな?」
「いや?お主は3分の1だ」
横目にニケの表情を伺いながら、ミーチェは言った。
まじかよっと、言いながらうなだれるニケ。
「そろそろ、シロ呼び出せるかな?」
「指輪を見れば、一目瞭然だ」
「あ、ほんとだ。おいで、シロ!」
ニケは、シロを召喚した。
すると、シロは申し訳なさそうにニケに擦り寄ってきた。
「すまなかったな、シロ」
ニケは、シロの頭を撫でながら謝罪をしていた。
いい光景だなとミーチェは、思っていた。
「村長のところに報告を終えたらお昼にしよう。流石の私でも、身体を動かして空腹だ」
「そうだな。いつもの味が薄い飯以外が食いたいぜ」
「それは、私の飯への侮辱か?ん?」
「冗談だって!冗談!ごめんって」
「ふん。わかればよいのだ。わかれば」
何気ない、会話をしながら村へを歩みを進めていく。
しばらくしてから、異変に気づき始めた。
「師匠。焦げくさい、進む方向からだ」
「なに?私には、わからん」
「シロもするだろ?この焦げくさい臭い」
シロも、嗅ぎ取ったようで小さく咆えた。
「ほら、シロもするって」
「まさかな...」
しばらくして、森を抜け草原に出た。
あれが村だろう...。
だが、しかし家々から出る煙とはあんなに大きいものなのだろうか。
「っな!村が燃えておる!」
「マジかよ!そりゃ大変だぜ、火事か?」
「違う...あれは、火事なんかではない」
家々が燃え始めたのを確認すると、ミーチェは走り出した。
「師匠!どこへ!」
「決まっているだろう!村の者を助けに行くのだ!お主も来い!」
ミーチェに続くニケ。
村でいったい、なにが起きたのだろうか。
村の囲いを抜け、二人が目の当たりにした光景はなんとも残酷な光景だった。
「ひどい...いったい誰がこんなこと...」
焼死体、頭部のない死体、はらわたと裂かれた死体...。
魔物の仕業なのだろうか...。
だが、火を使う魔物がここら辺にいるのだろうか。
「ニケ、二手に分かれて生存者を探して情報を得るのだ!しばらくしたらここに集合。まだ犯人がいるかもしれない、常時武器を携帯しておれ!よいな!」
「わかった!師匠、気をつけて!」
ミーチェは、村の左側へと走っていった。
ミーチェに言われたとおり、錬金術で刀を練成した。
「にしても、これはひどすぎる...。誰かいないかー!」
転がる死体を、わき目に進むニケ。
どの死体も、装飾品等は取られていない。
盗賊などの仕業ではないようだ。
少しして、開けたところにでた。
「ここは、広場か?」
広場の隅の井戸に、子供の死体が横たわっていた。
「なんてひどいことを...」
突如、シロが咆え出した。
シロの咆える方向に視線を向けた。
そこには、大きな斧を持った血まみれの男が立っていた。
男は、若く茶色の髪をしていた。
身長は、ニケよりも高く筋肉質だった。
「お前が!お前がこれをやったのか!」
「くくく、そうだ。この俺がやった!だからなんだ!これも、この村の者たちが協会に『寄付』をしなかったからだ!」
「協会...?」
確か、ミーチェが言っていた。
魔法を嫌い、村の者たちに集る集団だとか。
「それで、この仕打ちはあんまりじゃないのか?」
「なんだ、貴様もこの村の者か?それなら容赦はしないぞ!」
「俺は、この村には住んではいない。だがな、子供にまで手を出すなんて...お前は人間のクズだ!」
そういうと、ニケは刀を構えた。
「シロ、急ぎ師匠の元へ。俺はこいつを食い止める」
シロは心配そうにこちらを見たが、すぐに来た道を走り出した。
「お前の腐った根性叩きなおしてやんよ!」
「貴様みたいなガキが?笑わせる!」
男は斧を振りかざし走ってきた...!
最悪、足は遅いようだがあの斧に触れたら一発KOだ!
考えている間に、間合いをつめられた!
「っく!っそぉぉぉぉッッ!!!」
振りかざされた斧を刀で受け流し、懐から背後へ抜けながら右脇に切り込んだ。
「あっぶねぇじゃねぇかッッ!」
そのまま、振り向き際に背中を切り上げるニケ。
っが、男も振り向きながら斧を振るってきていた。
まずい...動きがスローモーションになる...。
このままじゃ、刀が触れる前に斧が俺の胸元に...!
考えるより先に身体が動いていた。
刀から左手を離し、反射的に練成を行なっていた。
カァァァァンッ!!!
左手に小太刀を練成し、そのまま受け止めた!
「貴様!錬金術師か!」
男は、ニケが練成したことに怒りを覚えたようだ。
今のうちに、距離を置く。
「そうだ、だがそれがどうした!」
「錬金術も、魔法ではないかぁぁぁぁッッッ!!!」
男が斧を横に構え、突進してくる!
ニケも、小太刀と刀を構え直し突進する!
「うおおおおおおおおおッッッ!!!!」
雄たけびと共に、金属のぶつかりあう音が広場に反響した...
もう、異世界ものっていうより戦闘ものなんじゃないかってほど頭のなかでの回想がすごいことになっています。
でも、自分で読み返して楽しいので、OKです!
自分は、今まで読んだことのないまったりとした異世界ものが書きたかったのですが。
これはこれでありかと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ブクマ追加、毎度毎度確認させていただいておりますが、追加していただけるだけでもモチベにつながるので感謝です。
では次回もまたお楽しみに!




