11話「雨中の戦闘と後悔」
ロッククラブとの長期戦に苦戦する一同。
戦況はあまりいいといえない状態となってしまった。
前に出すぎてニケを庇ったシロが負傷。
敵に囲まれた中で泣いてしまうニケ...
雨が降り出した。
あれから、何度も魔法を連発したせいでもう魔力がない。
数は、最初より減ってきている。
どうする...。
ミーチェのほうに、目を向けた。
肩で呼吸をしているミーチェ。
魔法使いに近接戦の長期戦はつらいか...。
「くそったれがあああああああッッッ!!!!!」
ニケは、声を荒げながら走り出す。
「馬鹿者!今飛び出たら...」
ミーチェの声が聞こえた。
何を言ったのか、聞こえなかった。
―――っえ、突然視界が回る。
まさか、攻撃を食らったのか...
痛みはない...走った方向を見ると、シロがニケに体当たりをして庇ったようだ。
「シロォォォォォォッッ!!!!」
シロの腹部に、ハサミが刺さる瞬間がスローモーションに見える。
深く、深く。
刺さったハサミが、シロを持ち上げる瞬間を目の当たりにした。
シロの腹部から、血が吹き出ると同時にシロの身体は、光に包まれた。
「な...なんで...」
「馬鹿者、早く退け!」
「師匠...シロが...シロを助けないと...」
「もう、手遅れだ!立て!一旦退くぞ!」
「でも、シロが...」
パァァァァン!
ミーチェが、ニケの頬を叩いた。
「今は、それどころではないだろう!現状を考えろ!早く立つんだ」
「っく...」
ニケは、泣きながら立ち上がって後退を始めた。
ミーチェも、大鎌を振り回しながら牽制をし、後退を始める。
ロッククラブたちの姿が、見えないところまで後退した。
「お主、何を考えている。シロがもし、パーティーメンバーだったらどうなっていたかわかっておるのか!」
「...っう...わ、わかってるさ...俺が...俺が一人で前に出たから...シロは...シロは俺を庇って...」
「わかっているならよい。最悪、シロが召還獣であったことに感謝することだ。召還獣でなく、ペットなどだったら、二度と会えなくなっていたのだ」
「あぁ...シロ...っう...ぐぅ...ごめん...」
泣きじゃくるニケを、横目にミーチェはやれやれとつぶやいた。
「今後、こういうことをするな。勝手な行動は、パーティーを乱す。わかったな」
「わかった...」
「ニケ、指輪を見てみろ。色が黒いだろ」
「指輪?」
「あぁ。シロとの契約の証だ」
「うん、黒い」
「それは、シロを召喚できないってことだ。時間がたてば、白に戻るはずだ。そうすれば再度召喚ができる」
「わかった」
ニケは、だいぶ落ち着いてきたようだ。
ミーチェは、寂しそうに指輪を見るニケに対して、昔の自分を照らし合わせていた。
「ニケ。悲しいことは、誰にでもある。だが今は、乗り越えろ。自分が、成すべき事に集中するのだ」
「わかってる。わかってるさ。あいつ等を...シロの仇を...」
「仇、か。あまり、殺意だけで動く出ないぞ。先ほどの、二の前になるだけだ」
「冷静になれって事だろ...わかってる」
「わかってない!お主は、何の目的でここにいる!村の人を、守るためだろ!目的を履き違えるな!己の失敗を、そのようにぶつけていてはなにも成果は得られんぞ!」
「じゃぁほかにどうしろっていうんだ!確かに、俺のせいでシロは死んだ!だから...だから、あいつらを倒すだけだ!」
「それが、わかってないと言っておるだろう!もうよい。ここで休んでおるがいい」
そういうとミーチェは、詠唱を始めた。
「″漆黒の闇に命ず。汝、我との契約の元。その姿を見せたまえ″!我が元に来たれ!ギルティーサイス!」
ミーチェは、大鎌を呼び出し歩き出した。
「師匠...」
ニケのかすれた声はミーチェには届かなかった...。
話が急ピッチに進んでいるようでそうでないようで。
自分自身書いててこうなるとはっと今思っております。
次回はどうなってしまうのか。




