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トーチ・リリィの行方  作者: 鈴木 澪人


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6/10

出会い

アハト視点になります。

  ターヴィ隊長の失踪から10年が過ぎた。

隊長級の失踪なのに捜索期間は3日間という異例の短さだった。


俺は、上官に何度も掛け合ったが失踪場所が危険地域だったので結局うやむやにされ強制的に終了となった。


最終判断としては、ターヴィ隊長のドックタグが決め手となった。


「俺があの時、率先して探索できていたら・・・。」


俺が怪我で入院している間に全てが終わっていた。

ふいに思い出しては後悔ばかりしていた。

ターヴィ隊長の後を継ぐように俺が隊長になったが、俺も含め誰も喜べなかった。ただ、ターヴィ隊長の名に恥じないように働く姿は周囲から一目置かれる状態にまでなってしまった。


「ターヴィ隊のアハトはムードメーカー」

などと呼ばれていたが今は黙々と任務をこなしていた。



「アハト、もう少し前を向きましょ」


妻になったマナはいつも俺を支えてくれた。

そして、10歳になるイサークも俺の心の支えとなっている。


「父さん、僕あのお菓子屋さんを見に行きたいんだけどいい?」


イサークが指さす雑貨屋は今子供たちに人気のお店だった。


「ああ、お小遣いの範囲でかうんだぞ」


「そんなこと言ったらイサークは全てのお小遣いをお菓子にしてしまいそうね」


「こっ今回はちゃんと考えて買うもん!」


イサークは顔を少し膨らませながらそのお店へ走っていった。


「イサークがお店のお菓子を買い占める前に私達も行きましょう」


マナが苦笑いをしながら俺を急かすように手を引いた。


 イサークから遅れて数分後、お店を覗くとイサークが色々とお菓子を説明していた。隣にいる少年はイサークよりも年上のように見えるが・・・。


「だから、これが今一番アツいお菓子なんだって!」


イサークが興奮気味に説明していると


「でも、これはとても綺麗な色をしてると思うんだけど」


「もぉ~。女みたいなこというなよ~。こっちのほうがかっこよくて美味しいの!」


「ん?かっこいい上に美味しいのか!それは少し悩むかもしれない」


「じゃあ、両方買えばいいじゃん。君お金持ちっぽいし」


俺は二人の会話を微笑ましく聞いていたが、少し雲行きが怪しくなってきたので間に入ることにした。


「イサーク、そういうものの言い方をするんじゃない。失礼だぞ。少年、うちの息子がすまな・・・」


俺はイサークと話している少年に謝ろうと彼を見ると・・・。


「はっ?え?」


髪と瞳の色は全然違うが、まるで・・・


「ターヴィ隊長?」


俺は思わずその名を呼んでしまった。

するとその少年は不思議そうに俺を見て


「あなたはどうして僕の名前を知っているの?」


と不思議そうにこちらを覗いてきた。


「あっそうだ、お菓子に夢中で自己紹介もしてないや!」


と息子がその少年に自己紹介をしようとすると


「ああ、君は僕の友達のアハトってやつにすごく似てるんだ。もしかして、アハトの弟か?」


その少年の言葉に、俺は動揺していると


「アハト、イサーク。お菓子はもう選んだの?」


マナが声をかけてきた。


「アハト・・・?」


その少年は俺とイサークを交互に見た後、首を傾げた。


「もっもし君がよければ、少し話をしないか?」


俺はその少年に怪しまれないように微笑みながら提案すると


「・・・。ああいいよ。ちょうど喉が渇いていたんだ。近くに美味しそうなケーキ屋があったからそこでなら話をきいてもいい」


俺は昔の控えめなターヴィ少年しか知らなかった為、この無邪気な少年をみていると少し可笑しくなって笑いをこらえていると。


「べっ別にケーキが食べたいわけじゃないからなっ。あなたが僕とお話しがしたいというから・・・」


最後の方は顔を真っ赤にしてフンっと横を向いてしまった。


「そんなことは思っていませんよ。さあ、一緒に美味しいケーキを選びに行きましょう」


そう言いながらその少年をお菓子屋から連れ出した。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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