ターヴィ少年
少し短いです。
ターヴィをD25地区から連れ去ったあの日から10年が過ぎようとしていた。
本来なら33歳になっているはずのターヴィだが、体も心も15歳のまま何年も時が過ぎようとしていた。
「ターヴィ様が魔族の体に肉体改造されてから10年が経ちますね。なかなか本来の年齢に戻られないのは何か原因があるのでしょうか?」
ラウロはターヴィの靴を脱がしながら不思議そうに呟いた。
「そうだな・・・。ターヴィが15歳の時に何か精神的に負荷がかかる出来事があったんだろうな。なんとなくは記憶が流れてきた時に見たが、残念ながら私には理解ができなかった」
アルフォンスはターヴィを寝室に連れていくとベッドにそっと寝かしつけた。
頭を撫でた後、そっと頬を触る。ターヴィは少しむず痒そうにした後、再び眠りについた。
「ターヴィ様の資料をあちら側に請求しますか?」
ラウロが確認するとアルフォンスは上着を脱ぎながらそれをラウロに渡し
「そうだな・・・。上の者に確認してからにしよう。むやみにあちら側と接触するのはお互いにあまり良くないからな」
「かしこまりました。それでは私はこれで失礼します」
ラウロは上着を持ったまま部屋を出た。
数日後、アルフォンスは上位魔族からあちら側に出かける許可をもらうとターヴィを一緒に連れていくことにした。
ラウロは最後までターヴィがあちら側に行って何かのきっかけで混乱することを心配していたが、ターヴィは初めての外出だったので嬉しそうにアルフォンスにひっついていた。
「ターヴィ様、くれぐれも知らない人についていってはいけませんよ。困った時はアルフォンス様を呼んで下さいね。」
「ラウロ、あちら側では魔法の使用は禁止されているぞ。それこそターヴィが捕まってしまうではないか」
ラウロがあまりにも心配するのでアルフォンスは笑いを我慢できず肩を震わせていた。
「お館様、私も何度かご一緒させていただきましたが、とても誘惑が多い場所だと思っています。もしターヴィ様がフラフラと誰かに付いていってしまったら・・・。」
ラウロは一人で何かを想像したらしく角が少し大きくなってしまった。
あまり感情的にならないラウロは角の拡張を自分で察知しすぐに元に戻したが恥ずかしかったのか「うぉほん」と咳払いでごまかした。
「お二人とも気を付けていってらっしゃいませ」
ラウロの言葉を背に受けたターヴィとアルフォンスは転移魔法で一気に|D25地区に飛び立った。《攫った場所》
手を繋いでいた二人だったが、アルフォンスがそっと離しターヴィと向かい合わせになる。
そして、ターヴィの身なりを確認し納得したのか一つ頷いた後
「これから、ターヴィが元々生活していた人間界に向かうよ。そして、私は用事があるからしばらくターヴィと別行動をしようと思う。ターヴィは元々こちら側の人だったのだから不自由はないと思うが万が一身に危険が起こりそうになったらこれを握りなさい」
そういってアルフォンスは綺麗な腕輪をターヴィの左腕につけた。
「魔道具の一種で私に連絡がいくようになっている。すぐに向かうので少しの間だけ自分で何とかするんだよ。毎日訓練しているターヴィだから大丈夫だよね?」
「うん!僕こう見えても強いからね。護身術だけで大丈夫だよ!」
「そうか、それは心強いな。それと、もう一つ魔法は使ってはいけないよ」
アルフォンスはターヴィの角のない頭を撫でた。
「魔法を使うと本来の姿になってしまうからね。あちら側では魔族は敵の象徴になっているから子どものターヴィでも容赦なく抹殺しにくるよ。そして、ターヴィはそれを返り討ちにする力がある。気を付けるように」
アルフォンスの言葉をターヴィは一生懸命聞いた後「はい」と答えた。
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