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ルナ・ホルト  作者: ルナ
1/1

「黒咲ルナ ― 笑ウ能面(わらうのうめん)」

黒咲家の縁側。

ホルトが新聞を読んでいる横で、ルナが能面のパンフレットを眺めている。


『京都・朱雀座跡地。夜ごと能舞台から笑い声が聞こえる。

近づいた者は、笑顔のまま凍死。

舞台中央には“紅の能面”が安置されているという。』

報酬:京都老舗スイーツ詰め合わせ。


ルナ(きらきら笑顔):「抹茶スイーツセットだって!!!」

ホルト:「そのテンションで“凍死事件”行くな。」

ルナ:「だって京都だよ? 和傘に舞妓さんに金箔ソフト!」

ホルト:「事件解決より観光リストの方が長ぇ!!」


ホルトがため息をつく中、

ルナは「舞台に立ってみたかったんだよね〜」と

とんでもないフラグを立てた。


夜。京都の山腹。

廃寺の奥にある能舞台は、

月明かりの下で赤黒く染まった木が鈍く光っている。


ルナ(感嘆の声):「わぁ……すごい、本物の舞台だ……!

         ねぇホルト、ちょっと上がってみていい?」

ホルト:「ダメに決まって――」

ルナ:「(すでに上がってる)」

ホルト:「やっぱりな!!!」


舞台の中央には、古びた能面が安置されていた。

その口は笑っているようで、泣いているようでもある。


ルナ(顔を近づけて):

「ねぇホルト、この面、悲しそう……」

ホルト:「触るなよ。呪具は見るだけにしろ。」

ルナ:「うん、見るだけ見るだけ〜(手を伸ばす)」

ホルト:「おい!“見る”に手は要らん!!」


能面の目が赤く光り、舞台の上に霧が立ちこめた。


能面の声:「――舞いなさい。笑いながら凍るまで。」


ルナ:「え? わたし踊るの好きだよ?」

ホルト:「それ返事じゃねぇ!!!」


霧が舞台を覆い、笛の音が響く。

ルナの体が勝手に動き出す。

能面の“舞”が彼女の体を操っていた。


ホルト(毛を逆立てて):

「憑依型だ! 踊るな、ルナ!」

ルナ(涙目で笑いながら):

「体が勝手に……! でもリズムは悪くないっ!」

ホルト:「感想言ってる場合か!!」


観客席――誰もいないはずの場所に、

氷の観客たちが座っていた。

笑顔のまま凍りついた顔がずらりと並ぶ。


能面の声:「笑って、凍りなさい。永遠の舞を。」


ホルト:「ルナ、意識持て! “面”が魂を吸ってる!」

ルナ(かすかに):

「……笑えって……誰かが……泣いてる……」


能面の霊が実体化し、

“紅い能装束”をまとった女の影が現れる。


ホルト:「出たな、“紅ノべにのおきな”。

     笑わせて魂を凍らせる――最悪の娯楽型妖だ!」

ルナ(目を開け、微笑む):

「じゃあ……私の番だね。楽しい舞、見せてあげる!」


ルナが刀を抜く。

その動きがまるで舞のように流麗。

足捌き、袖の揺れ、全てが一つの“型”になっていく。


ホルト:「……お前、いつの間にそんな技覚えた。」

ルナ:「踊りながら覚えた♪」

ホルト:「怖ぇわ!!!」


能霊とルナの舞が交錯する。

袖が触れ合うたび、氷の花びらが舞い、

刀が唄うように鳴る。


ホルト(分析しながら):

「舞台の結界は音で動く! “拍”を外せ!」

ルナ:「了解、二拍半いくよ!」

ホルト:「そこでも使うのかそのリズム!!」


能霊の笛の音とルナの足音がズレ、

空間の“凍結の拍”が乱れる。

能霊の動きが止まった一瞬、

ルナは舞うように刀を突き出す。


一閃。


紅ノ翁:「……笑わなくても……いいのね……」

ルナ(静かに):

「うん。泣いても、怒っても、生きてる顔が一番きれいだよ。」


能霊は微笑み、

面はパリンと割れて光に溶けた。


ホルト:「……終わったか?」

ルナ:「うん。舞台、きれいにしたよ♪」

ホルト(周囲を見渡す):

「お前、それ“更地”だよ!!」


舞台は跡形もなく崩壊。

観客席も半分吹っ飛び、氷が溶けた跡が池のようになっている。


ルナ:「だって、踊ってたらテンション上がっちゃって〜♪」

ホルト:「除霊じゃなくて破壊舞踊だコラァ!!!」


ルナ(肩をすくめて笑う):

「でもね、あの人、最後は笑顔じゃなかったよ。

 ほんとに、心から、泣けた顔だった。」

ホルト:「……それはたぶん、“安らぎ”ってやつだ。」

ルナ:「へへ、それなら大成功だね!」

ホルト:「いや大失敗だわ!!!」


二人の笑い声が夜風に混ざり、

壊れた舞台の上に新しい月の光が差した。

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